FEATURE 2017.03.07 クラウドファンディングって実際どう?成功の秘密やメリットを、ローストホースの代表に聞いてきた

アイディアはあるけど起業する資金がない。そんな状況を救ってくれる方法のひとつに、「クラウドファンディング」があります。銀行からの融資ではなく、ネットを通じて支援者を募り、資金集めをするというこの方法。成功の秘訣やメリットやデメリットを、クラウドファンディングで大成功した飲食店、ローストホース代表の平山 峰吉(ひらやま みねきち)さんに聞きました。出資金を集めたい人、必見です!

クラウドファンディングをはじめたきっかけは「お客さんからの紹介」

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──平山さんは、ご自身で新店舗を立ち上げる際にクラウドファンディングを利用されていますね。

はい、もともとは前の店を共同経営者とともに経営していたのですが、独立を考えていました。そのため、運転資金やお店の調度などを整えたくて、資金集めの方法を考えていたんです。そのときに、前の店の常連さんに相談したところ、「自社のサービスでクラウドファンディングというものがある」と紹介され、はじめることにしました。

※平山さんが使ったのは、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの提供するクラウドファンディングサイト、Makuake

リターンは「選べない」のがいい

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──通常、投資といえばその見返りはお金です。クラウドファンディングは、資金を投資する代わりに「リターン」といってファンディングの実行者が用意している返礼品を得られます。ローストホースでは、そのリターンはどのように決められたのですが?

基本のリターンは1種類のみ。会員権を10,000円(税抜)でお渡しするというものです。そこにTシャツがつくとか、ネームプレートを置きますとか、おまけつきのプランはありましたが、それを含めても4つだけでした。

──他のクラウドファンディングのプロジェクトを見てみると、さまざまなリターンを揃えているものがあります。そうはされなかったんですね。

はい、選択肢があまりに多いとむしろ選びづらいということで、選択肢は極力少なくしました。実はこのリターンの設計も、前の店の常連さんたち何人かといっしょに考えたんです。店の閉店後に店内で、頭を突き合わせて(笑)。

会員権というアイディアもそこで生まれました。モノではなく、飲食のクラウドファンディングというのは当時初だったので、どうやれば成功するか、常連さんたちと一緒にかなり時間をかけて考えました。

会ったことのない人からも資金が送られる

──実際にローストホースのクラウドファンディングがはじまると、すぐに資金調達に成功されました。結果をどのようにとらえましたか?

飲食系ファンディングでは最速最高額の達成だったと記憶しています。僕の場合ラッキーだったのは、TwitterやFacebookで拡散してくれる人がいたこと。Twitterでかなりフォロワーを持っている人が常連さんにいて、拡散してもらえました。

加えて、その人はWeb関連の仕事をしている人だったんです。自然とそのフォロワーはWeb業界の関係者。Web業界の方々って、一般の人に比べて新しいモノやサービスに対する感度が高かったり、ネットを通じてお金を使うことに抵抗のない人が多い気がします。そんな人たちの目に触れたことで、多くの資金を集めることができました。

──実際にクラウドファンディングを利用してみて、印象が違ったことなどはありますか?

クラウドファンディングって、リアルな人脈がお金に変わるものだと思ってたんです。友だちに直接「お金出して」って言い辛くても、「クラウドファンディングやってるから協力して」というお願いならしやすいかな、というくらいのイメージだったんです。

でも違いました。SNSで見てくれた人や、「知り合いが支援していたから」という人が資金を提供してくれたんです。ネットならではだなと思いました。

うちの会員さんでWeb業界の人が多いのは分かるんですが、弁護士さんが何人もいるんです。それは、Twitterで弁護士さんが拡散してくれた結果、同じ業界の人が複数会員になってくれるという現象もおきました(笑)。

最初からお客さんがいるのは大きなメリット

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──資金調達ができたことはもちろんですが、そのほかどんなメリットがありましたか?

会員権をリターンにしたので、オープン当初からお客さんがいる状態でした。これがいちばんのメリットでしたね。普通、飲食店の経営はオープンから3ヶ月間は、お客さんが入ってこないので耐える時期です。そのための運転資金を準備しておく必要があります。ですが、ローストホースの場合はオープン当初から会員のお客さんでいっぱい。いままでずっと、満席なんです。

お店の物件を決めるときにも役立ちました。クラウドファンディングが成功したあとに店をかまえる場所を探したんですが、最初は難航したんです。僕は個人事業主なので、資本を持っている企業に比べて、大家さんになかなか信用してもらうことができなかったんです。だけど気がついたんですよ、ローストホースにはすでにお客さんがついていることに!

そこで、物件交渉の際にクラウドファンディングのページを印刷して持っていき、大家さんに「うちはもうお客さんがたくさんいる店なんです、だから安心してください!」と説明したらOKをいただけたんです。家賃を払えることが伝わったんでしょうね。「最近の若い人ってこういう面白いことをやっているんだね」とも言ってもらいました。

クラウドファンディングでつくったお店だから、お客さんがあたたかい

──ローストホースのお客さんは、ネットのサービスを通して常連となっています。普通のお店の常連さんとはまた違うのではないかと思いましたが、平山さんはどんなふうに感じていますか?

うちのお客さんはみなさんあたたかいですよ(笑)。お客さん自身が出資してオープンした店だということもあって、まるで仲間のように見守ってくれています。

新しいメニューを提供しはじめたばかりのころって、実験的なレシピになることがあります。完成にいたるまでブラッシュアップを続けるわけですが、タイミングによっては“アタリハズレ”のようになることももちろんあります。だけどお客さんは、僕のやり方に付き合ってくれるんです。出資から参加しているという状況もあってのあたたかさだと思っています。

それから、僕はお店がオープンしている日は、必ず店にいます。だって、みんな僕に資金を出してくれたわけです。僕の顔を見て。その責任を果たすために、お店にいるんです。

それから、さっき弁護士さんがたくさんいるといいましたが、「何かあったら相談しなよ」と言ってくれています。それもメリットと言えばメリットですね(笑)。

成功の秘訣は「人の顔が見えていること」

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──今回の成功の秘訣はどんなところにあったと思っていますか?

飲食の場合は「人の顔が見えていること」が大事だと思います。ファウンダーが誰なのかはっきりさせておくということです。クラウドファンディングのサイトでは、ファウンダーのプロフィールを書いておくところがあります。たとえばそこに企業のロゴが入っていると、いったい誰に対してお金を出しているかわかりませんよね。その店に行ったら誰が迎えてくれるのか、それがはっきりしている必要があります。

──平山さんがご自身の顔写真と、個人の名前で勝負したように、ということですね。たとえばローストホースの2号店を、また同じようにクラウドファンディングでつくることはあるんでしょうか? 

それはないですね。熊本にある、日本の馬肉シェアの7割を持っている千興ファームという会社が、一番いい肉をうちに卸してくれています。2店舗分はありません。最高のものを出すのが、このローストホースです。

ここは僕の最後の店。いまの会員さんに向けて、最高のものを出すんです。

TEXT:PreBell編集部 PHOTO:合田和弘

 

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