フランス式SNSとの付き合い方

NEWS 2017.02.14 炎上知らず?フランス式子どもへのSNS教育法【世界各国ネット事情】

SNSの発達によって、多くの人とつながれるようになった反面、まだまだ成熟しきっていない子どもたちには危険とも思える場面があるのも事実。炎上にネットいじめ、ネットストーカー……。心配ごとはいろいろとありますが、子どもたちに、SNSとの上手な付き合い方を教えられるでしょうか。

そのヒントが、愛と自由の国、フランスにあるかもしれません。

今回はフランス在住のライターが、フランスでのSNS教育についてレポートしてくれました。キーワードはもちろん愛と自由、そして“ペンギン”です。

仏日通訳翻訳・ジャーナリスト
ボッティ喜美子

フランス在住。東京で長らく広告・PR業に携わり、1998年に渡仏。パリとニースで暮らした後、2000年からパリジャンの夫の転勤で南米ブエノスアイレスへ3年、出産も現地で。パリに戻り、地中海の街マルセイユへ転勤して13年。南仏拠点で時々パリの実家へ、家庭優先で仕事しています。英語・スペイン語も少々。

子どもたちはどうしたって、SNSに興味を持つ

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親が禁止していても、年齢制限があっても、自宅にネット環境がなくても、どこかで簡単にアカウントをつくれてしまう現在。ひとつだけだったり、複数こなしていたり、フランスの子どもたちも多くが何らかのSNSアカウントを持っています。

学校での宿題や研究発表の課題をパソコンで作成することもよくあるし、調べものなら携帯でもささっとできてしまう時代。利便性も相まって、インターネットの利用時間は日本同様に年々増えています。小学生でも毎日平均50分ほど、中学生・高校生なら2時間という調査結果もあります。

参考:http://www.blogdumoderateur.com/etude-ipsos-junior-connect-2015/

そう、フランスでも子どもがSNSに興味を持つことはあたりまえ! だから、それを見越した教育をフランスでは大切にしています。

インターネットやSNSを頭ごなしに禁止してはしていません。小学生のときから学校ではパソコンの授業があるし、インターネットの危険性も教えられます。家庭次第で、その年齢に応じたSNSにアカウントを持たせ、ルールを決めて使わせているんです。

たとえば、小学生ならクラブ ペンギン(Club Penguin)から

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そんなフランスでは、入門編として好まれているSNSがあります。それがクラブ ペンギン(Club Penguin)。我が家の場合も、クラブ ペンギンが息子にとっての最初のSNSでした。今は14歳の彼が、兄姉を持つ友だちから教わってきたのがきっかけです。

2012年ごろ、フランスの中学生を中心に注目されはじめたクラブ ペンギン。すぐに小学生たちにも伝わり、瞬く間に人気が広がっていきました。

今ではディズニーの傘下にあるこのクラブ ペンギンのアプリは、安心して子どもに使わせられる工夫がいっぱい!

ペンギンのアバターをつくり、本名でもニックネームでも、好きな名前でアカウント登録できますが 『親のメールアドレスを入力しないと、登録申し込みができない』というところにひと工夫が。そのアドレスに送られてくるフォームに必要事項を入力してはじめて、登録が完了、遊べるようになるというしくみです。

友だちと傷つけ合うコミュニケーションが生まれない仕組み、定型文

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クラブ ペンギンをはじめると、アプリの世界のなかでゲームなどができるのですが、1人で遊んでいるだけならふつうのゲームアプリと変わりませんよね。クラブ ペンギンがSNSたるゆえんは、友だちとつながると、メッセージ交換やチャットができ、アプリ内で友だちと待ち合わせして、一緒に行動できるというところ。

ここにもひとつ、工夫があります。メッセージやチャットは、あらかじめクラブ ペンギン内で定められている定型文でしか行えないのです。

子どもたちはいずれInstagramやFacebookにステップアップしていきますが、クラブ ペンギンを使っているあいだに、人を傷つけるコミュニケーションは行わないこと、ネットに一度載せたもの・書いたものは、自分が消してもインターネット上からは消えない、ときちんと理解させるのです。

子どもどうしのソーシャルの付き合い、親はどうやって口を出す?

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我が家では、長いこと、 “インターネットはかならずリビングで”を習慣にしていました。一方で、親があまり目を光らせてしまうと雰囲気が悪くなるので、子どもに呼ばれないかぎり、心配でもクールに見守るというスタイルを貫いています。

私の周囲の家庭では、

  • 宿題を済ませてから
  • 使っていいのは1日◯◯分以内(30分など)
  • 友だち申請は親も知っている相手だけにすること(知らない子から話しかけてきても返事はしない)

というルールを決めて守らせていることが多いよう。

フランスの子育てには不文律もないし、人の意見にふりまわされることもありません。出自や職業・宗教に係わらず、価値観は家庭ごと、ママンごとそれぞれ。ただ、どう育てたいかという意識の近い親同士の繋がりを持つことは大切で、それが、安心してSNSをはじめさせていくベースになっている気がします。

クラブ ペンギンを経て、Instagram、Facebookへ……

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クラブ ペンギンでSNSデビューを済ませた彼らは、周囲の年長者が使っているInstagramやFacebookに興味を持っていきます。

まずは、Instagramの非公開アカウントから。クラブ ペンギンのときのように、知っている友だちとの交流を、でも、今度はチャットの定型文ではなく、自分で撮った写真や言葉で表現していくことを覚えていきます。

もうこの頃には、小学生でも、ソーシャルでの自分の発言の重さを理解してくれています。

だからといって、これからどんどんSNSの世界を広げていくのに100パーセント安心ということはありません。ただ、はじめから禁止してしまったら、いつ誰にSNSのマナーを教わるんでしょう? そういうものを教えないうちに、内緒ではじめられてしまうかも。

禁止するよりも、親の愛情に見守られているという安心感の中で、わからないこと、疑問や不安について話しながら、自由にのびのびと馴染んでいかせられるのがいいですよね。

自由にさせてもらえること=信頼されているという責任感

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大人の世界で言えば、子どものネット利用は車の運転と同じ。危険を考え出したらキリがありません。でも、便利なものを周りの誰かが使っていたら「自分も」と思うのはごくごく自然なこと。

『危ないからハンドルを握らせない』のではなくて、『見守りながら慣れさせていく』こと。どうすれば安全を守れるのか、どんなことに注意しないといけないのかを身につけさせることが大事だと、私の周りの多くの家庭では考えています。

子どもを愛しているからこその心配は付き物ですが、それは、子どもも言われなくても感じるもの。自由にさせてもらえること=信頼されているという責任感も生まれてくるようです。

PHOTO:ボッティ喜美子

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