FEATURE 2017.06.29 “無駄づくり女王”Youtuber藤原麻里菜は、「無駄なものを合理的に作る」がモットー

仕事をする上で常に求められている「効率化」。多くのタスクをこなすあの人はどのように仕事をしているのでしょうか。今回は「会社を休む理由を生成できるマシーン」を作ったことで有名なYoutuberの藤原麻里菜さんにインタビューをし、仕事術をお伺いしてきました。一見、誰の役にも立たなさそうなものを作り続けている藤原さん。ですがその製作中は意外にも明確なゴールに向かって、タスクの見える化を徹底しているそう。そこにはサボりがちな自分をいかにコントロールしていくかという藤原さん流の仕事術がありました。

「効率的に無駄づくり」をしている人に話を聞く

日本企業の社会問題にもなり、見直しが進められている残業時間。「会社からは残業時間を減らせと言われるけれど、仕事量が減るわけではないし、もっと効率的に仕事をしなければならない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

今回はYoutubeチャンネル「無駄づくり」で、無駄な発明品を週1のペースで作品を作り続けている藤原麻里菜(ふじわら まりな)さんにインタビューを行いました。定期的にものづくりをしている彼女がどのように効率的に仕事をしているのか、一体どんなスケジュールで仕事をこなしているのかなどを伺ってきました。

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  • 藤原麻里菜
  • 1993年生まれ。よしもとクリエイティブエージェンシー所属。2013年から無駄なものづくりをアップする、Youtubeチャンネル「無駄づくり」を開始。週1のペースで作品づくりをしており、チャンネル登録数は4.5万人以上にのぼる(※2017年6月現在)。現在Youtube以外にもWEBメディアでの執筆やテレビへの出演等で活躍中。

サボり癖を正すために全てのタスクを書き出す

今回は藤原さんの所属事務所、よしもとクリエイティブ・エージェンシーにお邪魔してきました。まず藤原さんがものづくりを始めたきっかけからお伺いしていきます。

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「昔からものづくりが好きで、小さい頃から粘土で何かを作ったり絵を描いたりしていました。父がデザイナーでMacが家にあったので、小学校のころからパソコンでも絵を描いて遊んでいました。その延長線上でテキストサイトをみるようになったんですが、そこには変なものを作る人たちがいっぱいいて、私もやってみたいなと思ったんです。そういった思いを漠然と持っていたなかで、『無駄作り』を始めたのは4年前からです」

最初はダンボールでピタゴラスイッチ的な作品を作っていたそうですが、アイデアを実現するのに電子工作が必要なのがわかると、ネットで調べたり、詳しい人に教えてもらいながら、どんどん技術を取り入れていったのだとか。

「私が作業している『DMM.make AKIBA』は、わからないことがあると周りの人に聞ける環境なので、いつも助けてもらっています。特にIoTデバイスに詳しい方が多く、最近だとMESH*1を教えてもらいました。IFTTT(イフト)*2と繋げてIoTできるのがとても便利で、特にモーターなどに繋げられるGPIOタグ*3は作でもよくつかうようになりましたね」

藤原さんの作品にはMESHなどのIoTデバイスをつかったものが多く、たとえば遠隔操作で味噌汁を作ってもらえるマシーンというものがあります。これはIFTTTをつかって、MESHを遠隔操作することで実現しているのですが、そでだけではなく「Googleカレンダーに登録した予定が始まる時間に、MESHが作動して味噌汁をつくる」ことも。インターネットを活用した作品もあります。

お母さんが遠隔操作で味噌汁を作ってくれるマシーン【一人暮らしに役立つ?無駄発明 Vol.4】

  • *1 MESHとは、センサー、ライト、ボタン、明るさセンサー、といったさまざまな機能をもったブロック状のIoTデバイスのこと。たとえば、専用のアプリをつかってこれらを組み合わせることで、人が通った時に音を鳴らす、ぬいぐるみを動かすと音声が再生されるなどといったことができるようになる。
    MESH関連記事:日々の生活が少し楽しくなるIoT 「MESH」と描く世界とは
  • *2 IFTTTとは、Webサービス同士を連携することができるWebサービスのこと。たとえば、お気に入りをしたツイートを自動でEvernoteに保存をする、といったことができるようになります。
  • *3 GPIOタグとは、MESHの製品のひとつ。電子工作の無線化やなどができるようになるすこし上級者向けの電子タグです。
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IoTデバイスといった新しい技術も機敏に取り入れながら、これまで作ってきた作品の数は、なんと200点にものぼります。Youtubeチャンネル「無駄づくり」のチャンネル登録者は4.5万人を越え(※2017年6月現在)、WEBメディアでの執筆やテレビ出演といった多忙な日々を過ごしている藤原さん。そんな彼女なら、仕事を進める上で効率化のためにデジタルをフル活用しているはずですよね?

「とにかくタスクを書き出すということを意識しています。サボり癖があってダラダラしてしまう性格なので、自分を何かで正さなきゃいけないんですよね。そんな自分を律するためにも、アナログとデジタルの両方のツールをつかって、タスクを全て書き出し、それぞれのタスクにかかる時間を把握し、仕事をすべて見える化しています」

そんなタスクを見える化するためのツールを紹介していただきます。それは…なんとメモ帳でした! スマホですらない、ない…。

「メモ魔なので、思いついたアイデアはすぐにメモに書き出します。文章で書くというよりもビジュアルでメモしていますね。私の場合、困ってることとか嫌だなという負の感情からアイデアが作られることが多いです」

ほぼ日手帳と、方眼のノートを常に持ち歩いているそうほぼ日手帳と、方眼のノートを常に持ち歩いているそう
「気持ちを素直に伝えるTシャツ」をひらめいたときのメモ「気持ちを素直に伝えるTシャツ」をひらめいたときのメモ

意外にもタスクの管理は手帳……! てっきりガントチャートなどをバリバリにつかっているのかと思っていました。

暇がものづくりの原動力

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次にスケジュール帳を見せていただくと、どの月も始めの1週間がスカスカ。これにはどんな理由があるのでしょうか。

「月初めの1週間は何もしない期間を作って、残りの3週間はひたすら仕事に打ち込むというサイクルで仕事をしています。暇な時間がないとやろうという気持ちにならないので、初めの1週間には何も予定をいれません。昼まで寝て、YoutubeやNetflixを観たり、喫茶店にいったりしています。その代わり残りの3週間はとにかく仕事に励みます。締切からタスクを逆算し、日ごとに割り振ったものを手帳に書き出して、それを元に進めていきます。忙しい週だと毎日12時間仕事をして、ご飯食べて、寝るだけのときもありますね」

忙しかった1週間のスケジュール忙しかった1週間のスケジュール

記録することでそのときの気持ちが見えてくる

何もしないということが仕事への原動力に繋がると教えてくれた藤原さん。仕事と休みをそれぞれまとめることでメリハリをつけているのだとか。それにしても1週間丸々休みにするというのには驚きです……! また、スケジュール帳をつかってタスクを書き出すことは、メンタル的な手助けになっているそう。

「仕事が終わらなかったり、山積みになっていたりすると過去の自分を責めてしまうんですよね。『なんであの週にちゃんとできなかったんだよ』って。そんなときを振り返る環境があることで、『この週これをやってたからしょうがない』といった風に割り切れるようになりました」

そのときの気持ちをイラストにすることで後から見返したときにパッとわかるそうそのときの気持ちをイラストにすることで後から見返したときにパッとわかるそう

では、タスクを振り分ける時の時間の目安や、管理はどのように行っているのでしょうか。

「『Toggl(トグル)*4』というネットサービスをつかって、どのタスクにどのぐらい時間がかかっているのかトラッキングするようにしています。これをつかうようになってから、工作はもちろん、執筆や動画製作といった作品を見せるところにも時間がかかっていることがわかるようになりました。新しい仕事のお話をいただいたときにも、タスクにかかる時間が見えることで、来月どのぐらい時間が空いていてどのぐらいの仕事量なら受けられそうか計算できるようになりましたね」

やっとネットサービスが出てきた! では、Togglをつかって作業時間を可視化してみると、どれぐらいの割合でしたか?

「1日の大部分を工作につかっていることがわかりました。もともと工作に時間を割いていると思っていたのですが、記事の執筆や、できあがった工作を紹介するための動画制作、イベントへの出演など他のタスクと比べると、自分の意識よりもさらに時間をつかっていることがわかりました。連載もはじまったので、工作の時間をしっかり確保する必要があることがわかってスケジュールの管理がしやすくなりましたよ」

  • *4 Togglとはタイムトラッキング(時間の計測)をすることができるWebサービスです。PC、Andoird、iPhoneなどのデバイスで利用することができ、実際の作業時間を可視化することができるようになります。

「無駄づくり」制作の裏側には、アイデアというゴールに向かって、アナログとデジタルの両方を上手くつかい、徹底的にタスク管理する藤原さん流の仕事術がありました。

働いているのは自分の幸せのため

ここまでタスク管理をメインにお話を伺ってきました。デジタルとアナログ、両方をつかいながら細かくタスク管理をしている藤原さんですが、なぜそうまでして無駄をつくっているのでしょうか?

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「無理をせず自分の好きなことをするということはとても大事にしています。結局なんのために働いているのかを考えたときに、社会のためというよりも、私は自分の幸せのためだったりするので、その自分が辛かったら元も子もないと思うんです。苦手な人とストレスを溜めながら、それでも目標達成のために頑張って働くというのもすごく尊敬しています。でも、私はそれより『好きなようにやっていいよ』と、私自身を理解してくれるクライアントを探すことに労力をつかうようにしています。そんなクライアントのためにはめちゃくちゃ頑張りますし、辛いこともあるけど仕事を楽しく感じられるようになりました。元々は好きでやってきたので、仕事になったことで『もうやりたくない』と自分に思わせないように努めています。」

仕事で悩んでいる読者の方に向けて、実践してほしいアドバイスもお伺いしました。

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「偉そうなことは言えないんですが、一般的な社会常識の範疇を越えて理不尽なことを言われたら、怒ってもいいんじゃないかなと思います。例えそれが目上の人だとしてもです。上の世代の方からしたら『ゆとり世代』とか『甘えてる』とか言われるかもしれません。だけど『そんなの知らねーよ』とハッキリ言うことも大事だと思うんですよね」

ときに怒ることも重要だというアドバイスをしていただきました。ちなみに藤原さんの場合は無理なことは無理! とはっきり伝えることもあるそうです。最後に藤原さんの今後の展望をお伺いします。

「無駄づくりじゃなくても、いずれ作ったものを製品化したいと思っています。つい最近まで水道代も払えないぐらいの生活をしていたんですけれど、ようやく連載だけで生活できるようになってきました。なので今後は、少し余裕が出た分を学費に当てて、プログラミングやCADをちゃんと基礎から学ぶことで、作品作りに活かしていきたいなと思っています」

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一見、無駄なものを作っているように見える藤原さんですが、その裏側には自分の性格を理解し、合理的に仕事を進めていく藤原さんだからこそ、とてもユニークな作品が生み出されているようです。「タスクを見える化する」「月の初めは1週間休む」「ストレスを溜めない仕事の仕方を貫く」という仕事への取り組み方は、「自分らしく働くということ」徹底的にと向き合い続けた結果生み出されたものなのかもしれません。

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:PreBell編集部

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