みんなのインターネット

2017.07.04 情報のやりとりは電話でしていた?…ネットがない時代、電化製品の主役は固定電話だった。【マンガでチラ見、前ネット時代】

今から20年ほど前、私が女子中学生だった頃。もうインターネットというものはあったけど、まだ一般家庭にはそこまで普及していなくて、もちろん私の家にもインターネットは来ていなかった。思えばいろんなことが今と違っていたと思う。それは一世帯にひとつの固定電話があって当たり前だった時代。ホコリよけのカバーを本体にかけたりなんかして、あの頃、電話は家のなかの主役みたいな感じだった。

当時は個人宅に家族で共有してつかうことが前提の固定電話があった。そんな固定電話のエピソードとしてよく出てくるのが「彼女の家に電話すると親が出て気まずい」というやつ。でも私は女子だし、あんまりそういう記憶はない。よく覚えているのは、友だちと長電話して怒られたということ。でも、怒られたのは長電話している最中じゃなかった。月末だったかな? 電話料金の明細を見た母に怒られた。学校外の友だちとの電話で、向こうが携帯電話を使っていたから、固定電話同士の通話よりもずっと値段が高くなってしまったからだ。

そして「ダイヤルQ2*1」。普通の電話料金の他に情報料を払うことで、いろいろな情報を得ることができた。今で言えば有料メルマガみたいな感じだろうか。バンギャ*2だった私は、好きなバンドのファンクラブから送られて来た番号に電話をかけて、そこからさらにダイヤルQ2にお金を払って、公開番組の観覧募集とかそういうのを必死に聞いていた。ファンクラブにお金を払って入会して、さらにダイヤルQ2でもお金を払っていたなんて、今思うとけっこうな金額をつかっていた。でも、インターネットのない時代にはあれがキラキラ輝く情報の宝庫に見えた。貴重な情報源だったから。

  • *1 ダイヤルQ2 とは「0990」で始まる番号に電話をかけることで、有料で情報提供をしてくれる番組を利用できるサービスがありました。ニュースや人生相談、経済などさまざまな番組があったようです。ほかにも、募金の方法のひとつとして使われていたこともあるようです。
  • *2 バンギャとは、ヴィジュアル系バンドの熱心なファンのことを指す場合が多く、バンギャルと呼ばれることもあります。
ライブのチケットだって電話で取る

そんな時代だから、もちろんライブのチケットだって電話で取るのが当たり前。よく「公衆電話が優先される」「病院の電話が繋がりやすい」「開始時間より数秒前から繋がる」なんて言われていた。若い人たちには「何それ」って感じかもしれないけど、チケットの申し込み時間を1秒でも過ぎてしまうことがないように、117*3に電話をかけて時報を聞いて、時計の時間を正確に合わせたりしていたのだ。それだけではなく、私が独自に研究した結果(もちろんネット検索じゃなく自力での研究だ)、NTTよりも東京電話*4の方が繋がりやすいという結論に至り、東京電話を使っている友だちに頼んで代わりに取ってもらってた。うん、実際にそれでチケットは取れていた。高3で自宅にネットを導入してからは、チケットがとりやすくなったのでその友だちとは疎遠になってしまったなぁ。

  • *3 117とは、NTTが提供している電話サービスのひとつ。有料で時報を聞くことができる電話番号のことで、24時間、現在の時間をリアルタイムで教えてくれます。
  • *4 とはTTNetが1998年に開始した中継電話サービス「東京電話」のこと。

それとラジオ好きだった私は、ラジオ番組にもよく電話をかけていた。各番組が伝言板的なものを持っていて、そこにメッセージを吹き込むと、ラジオDJがそれを番組で流してくれたりした。友だちと公衆電話から電話をかけてネタみたいなメッセージを吹き込んでいたな。ラジオはテレビと違って一対一みたいな、自分に話しかけてくれてる感がすごく好きだった。テレビも深夜番組はそんな感じがしたけれど。とにかく、青春な感じがする。

「○時に電話するから電話の前にいてね」みたいなコミュニケーションや、ちょっとした情報のためにダイヤルQ2でお金を払う情報への渇望感はもう無くなってしまった。でも、チケットを取るための電話方法をひたすら研究していたあの熱意や、ラジオに電話をかけてメッセージを吹き込んでいた経験のおかげで、計画を立てて、実行し、効果をチェックしてさらに次の計画につなげるというサイクルを自然と身につけていた。このサイクルが今の仕事にも活きているのだと思うと当時の自分にすこしだけ感謝している。

(34歳 女性 IT企業勤務)

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