GAFAMが「冬の時代」に突入している。その理由と今後の流れについて徹底解説
2010年代から現在は「ITバブル」と呼ばれ、ITに巨額のお金が集まっている時代です。
その中でもGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)と呼ばれる企業群は群を抜いた業績を見せています。
実際、GAFAMの中のGAFAの4社の時価総額だけで、約7兆500億ドルとされており、4社だけで日本企業全ての時価総額(約6兆8,600億ドル)を抜いています。
こういったニュースが報道されている中で、GAFAMの業績に影が見えていることに気づいている方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、GAFAMが突入している「冬の時代」について解説していきます。
- GAFAMの業績低下、株価低下を指して「冬の時代」と言われている。
- ドル高の影響、広告費の減少、新しいプラットフォームの台頭が冬の時代突入の背景と言われている。
- 具体的には、従業員の大量解雇や新規採用停止といった動きを見せている。
目次
2010年代に入ってからGAFAMは急激に成長してきました。
投資の世界においても、GAFAMに投資をしないことは間違っているとの考えも出てくるほどでした。
ですが、最近GAFAMの成長に影が見え始めており、これを「冬の時代」と呼ぶ人もいます。
GAFAMに具体的にどのようなことが起こっているのか、それは大きく分けて以下2つが起きています。
・株価の急速な下落
・業績の低下
1つ目が、GAFAMの株価の急激な低下です。
2010年以降、急激な右肩成長を見せてきたGAFAMを含むIT業界全体の収益が下がることがありました。
実際、2022年のGoogleやAmazonの株価が20%以上下がったといわれています。
永遠に続くとも思われていたITバブルが、こういった株価の低下で陰りが出てきています。
もう1つが業績の低下です。
株価が縮小すると、投資家の投資が少なくなり、業績にも影響が出てきます。
実際、7-9月期の決算において、GAFAMと言われるほとんどの企業が業績の低下を見せています。
この大きな2つの流れから、GAFAMが「冬の時代」に突入しているのではないかと考えられています。
なぜ、このような冬の時代に突入していると考えられているのでしょうか?
その理由は、大きく分けて以下の3つがあるとされています。
・ドル高の影響
・広告費の減少
・GAFAM以外の新しいプラットフォームの台頭
以下に詳しく解説していきます。
1つ目の理由が、ドル高の影響です。
米国は今までにない、ドル高の影響を経験しており、2022年10月には1ドル150円のドル高円安となったことがあります。
グローバルに展開しているGAFAMは、ドル高の影響を強く受けます。
というのも、GAFAMのサービスの多くは米ドルで決済されます。
そうなると、米ドル以外を使う国にとってはサービス内容が変わらないのにもかかわらず、サービスが値上げされていきます。
たとえば、日本において、Appleが販売するiPhoneの値段もその影響を受けています。
例をあげると、iPhone11が発売された当時は、標準モデルのiPhone11の値段が74800円でした。
ですが、ドル高の影響もあり、現在は徐々に値上げされ、10万円を切らないモデルがほとんどになっているため、結果として、多くの人には手の出しづらいモデルとなっています。
これと同じことが、Googleへの広告費、MicrosoftのOffice利用料等、GAFAM全てのサービスで起きており、売り上げが下がります。
結果として、米ドルを使わない国でのサービスが、GAFAMの業績が下がる影響の1つとなっています。
2つ目が、広告費の減少です。
金利上昇や業績の低下はGAFAMにとどまらず、他の企業にも影響が出始めています。
業績が下がると、多くの企業が広告費を削減します。
それに伴い、GAFAMへ広告を出す企業の広告費が下がってきています。
実際、YouTubeの親会社のAlphabetの2022年第3四半期決算によると、前年比で1.9%の減少となっています。
広告費収入が減った損失を埋めるため、YouTubeは「ショッピング機能」を追加することの検討を始めています。
こういった広告費の減少の波がGAFAM全体に押し寄せることで、業績の低下に繋がっていると考えられています。
3つ目が、GAFAM以外の新しいプラットフォームの台頭です。
GAFAMの提供するFacebookやInstagram、YouTubeの他にも様々なSNSが台頭してきています。
その中でも最大のものが、中国のByteDanceが運営するTikTokです。
TikTokのアクティブユーザー数は10億人と言われており、今後も伸びていくと推測されています。
この流れに伴い、従来GAFAMに流れていた広告費もTikTokに流れる可能性があります。
実際、この流れを見越したYouTubeやInstagramが、TikTokと同じような短い動画に特化した「Shorts機能」と呼ばれる機能を追加し、広告を載せるようになりました。
他サービスが台頭し、ユーザーがそこに流れることが、GAFAMが「冬の時代」と呼ばれる理由の1つともなっています。
「冬の時代」と呼ばれるGAFAMは、実際にはどのような動きを見せているのでしょうか?
以下に実際に出てきている動きを解説していきます。
1つ目の大きな動きが、大幅な従業員の削減です。
以前までは業績の向上に伴って多くの従業員を採用してきましたが、近年の業績悪化に伴って従業員の削減を実施しています。
実際に、FacebookやInstagramを運営するMetaが全体の約1割の社員である、1万人以上の解雇に踏み切っています。
その他にも、Amazonが1万人以上規模で従業員の解雇をするとの発表がありました。
今後もGAFAMの業績が下がるにつれて、こういった大幅な従業員の削減が見られる可能性があります。
2つ目の変化が、新規採用の停止があったことです。
GAFAMは2010年以降の成長から、多くの従業員を採用してきました。
ですが、その従業員新規採用の流れもストップするということがありました。
2022年7月、Googleは「今後の新規採用の数を見直す」として、2週間の新規採用停止を実施しました。
その後も「採用の人数を抑えていく」との発表もありました。
今まで成長するにつれて従業員の数を増やす一方であったGAFAMも、業績の悪化に伴って、従業員の抑制に踏み切っています。
冬の時代と言われているGAFAMですが、今後も成長が見込まれている点もあります。
その理由の1つが、成長分野に大きな投資を行っているという点です。
GAFAMは単なるIT企業ではなく、成長分野に投資を行うことで成長をしてきた企業で、その投資は冬の時代と言われている現在も変わりません。
現在GAFAMが大きな投資を行っているのが、ヘルスケアの領域です。
ヘルスケアの領域は日本国内だけを取っても、2025年までに約35兆円の規模になると予想されています。
世界全体を考えても、少子高齢化の流れが進んでいくため、ヘルスケア領域は今後の成長分野だと考えられています。
そういった成長分野に、GAFAMは投資を行っています。
実際、Googleの親会社であるAlphabetは2021年1月にFitbitの買収が完了し、Apple Watchを作るAppleとのヘルスケア領域での開発競争が進むと考えられています。
そのため、現在「冬の時代」と言われているGAFAMも今後の成長が見込まれる点が多いと考えられています。
今まで右肩上がりの成長を見せてきたGAFAMも成長に影が見え始めています。
実際、従業員のカットや新規採用の停止等も始まっています。
ですが、成長分野にも積極的に投資も行っており、今後の成長を期待できる点も大いにあります。
ぜひ今後ニュースをチェックする際には、GAFAMの成長の動きやその背景にも注目してみてください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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