SpaceXの衛星ブロードバンドインターネット「Starlink(スターリンク)」とは?日本でのサービスについても徹底解説
テスラ社を創立したイーロンマスク氏は様々な事業に関わってきました。
最近ではTwitterを買収し、実質的なTwitterのオーナーにもなりました。
そのようなイーロンマスク氏が手がけるもう一つの会社がSpaceXであり、その会社が運営しているサービスが「Starlink(スターリンク)」です。
あまり知られていない会社ですが、沖縄県や一部の離島を除く日本全国でもサービスが開始されました。
この記事では、Starlinkについて徹底解説をしていきます。
- Starlinkは個人向けの衛星通信サービス
- 現在日本でもサービスが開始されており、アンテナを設置することでどこでも高速通信ができるようになる
- 衛星を使うことで場所の制限がないため、従来圏外だった場所でも通信を行うことができる
- 今後サービスは徐々に展開されていき、日本では2023年に離島を含めた全地域で使用が可能になる
- スマホ等から直接通信ができるようになるプロジェクトが作られており、実現すれば地球上に「圏外」の概念が無くなる可能性がある
目次
まずStarlinkを行っているSpaceXの事業内容について解説していきます。
SpaceXは宇宙に関する事業を複数行っている民間企業です。
具体的には、以下の2つの事業を行っています。
・Starlink
・Starship
1つ目の事業はStarlinkの事業です。
StarlinkはSpaceXが独自に打ち上げた衛星を使うことにより、地球上どこでもネットを使用できるようにするサービスです。
衛星を使用することで、従来の光回線が使えないケースでもネットを使用することができます。
実際、ロシアとの戦争の影響でネット関連施設が破壊されたウクライナにStarlinkを無償提供したことがありました。
このことで、ネット関連施設が破壊されてしまった地域でもネットが使えるようになりました。
もう1つの事業はStarShipです。
Starshipとは、今後の月や火星開発や移住を見越したビジネスです。
具体的には、StarShipとStarHeavyという2つのブースターを使って貨物を宇宙に輸送することを目指した事業です。
StarShipは2段階のブースターに分かれており、第一段階ブースターがStarShipで、第二段階ブースターがSuper Heavyと呼ばれています。
2段のブースターを使用することで、大きな貨物の輸送を実現することが可能になります。
現在はStarShipのプロトタイプのテストが進められており、SpaceXのHP上で動画が公開されています。
Starlinkのサービス内容としては「衛星を使ったネット通信」が挙げられます。
Starlinkの事業を展開するSpaceX社は、2018年に打ち上げを行なって以来複数回の衛星打ち上げを行っています。
最新のものは2023年2月現在、最新の打ち上げは2022年12月に実施されています。
Starlinkはそのようにして複数回打ち上げられた衛星を使ったネット通信サービスです。
一般家庭であれば、高さ60cm、幅60cm程度のアンテナを導入することにより、衛星通信を行うことができます。
開けた空に向かってアンテナを設置すれば、キャンプ先や山奥などのモバイル回線が通ってないような場所においても、高速通信を行うことが可能です。
Starlinkのサービスの特徴として以下3つがあります。
・場所や周囲の環境を選ばずにネット通信ができる
・光回線と変わらない速度での通信
・広いサービス地域
以下に詳しく解説していきます。
1つ目が場所や周囲の環境を選ばずにネット通信が可能なことです。
通常のネット通信では基地局の施設の管轄外だとネット通信ができません。
なので、山奥や森の奥深くといった場所では圏外となり、ネット通信が出来なくなります。
そういった場所に建物を立てたとしても、Wifi等の設備を導入することは非常に難しいです。
ですが、Starlinkは衛星を介してネット通信を行うため、空が開けていて、アンテナを設置できる場所であればどこでもネット通信を行うことができます。
基地局の設備も必要ないため、災害の多い日本でも緊急時に光通信やモバイル通信が使えなくなっても問題がありません。
実際、ロシアとの戦争で基地局が破壊されたウクライナの地域でもStarlinkであればネット通信が可能になった地域もあります。
このように、場所の制約が無いことが最大の特徴です。
2つ目が光回線と変わらない速度での通信です。
現時点で日本国内で使用可能なStarlinkのサービスは現在使用可能な光回線とほぼ変わらないスピードで通信ができるとされています。
この速度は2023年2月時点での通信速度のため、今後もっと早い通信速度が実現する可能性もあります。
今後、基地局を介した光回線を代替する手段としても普及していく可能性があります。
3つ目の特徴が、広いサービス提供地域です。
Starlinkのサービスは、アメリカとの政治的な関係が芳しく無い地域を除き、ほぼ全世界で使用可能になることが見込まれています。
日本を含むアジアオセアニア地域も例外ではありません。
2023年2月現在、日本では沖縄県と小笠原諸島の一部離島を除き全ての地域で使用可能となっています。
2023年中には、日本の国土全てで使用可能になることが見込まれています。
Starlinkのホームページによると、北朝鮮、シリア、アフガニスタン、当局の規制が厳しい中国を除き、今後はアジアオセアニアの全ての地域で使用可能になる見込みです。
サービス開始になれば、砂漠や山岳地域などの今まで通信が行えていなかった地域でも、都市部の光通信並みの通信速度で通信が行えるようになる可能性が高いです。
現在ではアンテナを使用した形で通信が可能になっているStarlinkですが、今後はスマートフォンや通信機器単体で通信が可能になることが見込まれています。
現在、砂漠の真ん中や海上、山奥などの圏外で通信をしようとした場合、従来のガラケーのような衛星電話という大きな機器を持ち歩く必要があります。
将来的には、Starlinkのサービスを使用すればこういった機器を無くすことができる可能性が高いです。
Starlinkは2022年8月、アメリカの通信大手のT Mobileと新規のプロジェクトを立ち上げることを契約しました。
プロジェクト名はCoverage Above and Beyondと呼ばれ、まず全米の砂漠や山奥などを含め、米国の国土内全てにおいて、衛星電話やアンテナ無しの通信ができるようになることを目指したプロジェクトです。
2023年末までにはベータ版を開発することを目標としており、今後こういったサービスが広がれば、地球上でスマホ1つで高速通信が出来ない場所は無くなる可能性さえあります。
Starlinkはイーロン・マスク氏が創設したSpaceX社の事業の一つであり、高速衛星通信を可能にする事業です。
衛星通信を使用すれば地上の基地局が機能しなくなっても通信ができるため、災害が多い日本では注目されている事業です。
現時点でこのサービスを使用するためには、開けた空が見えるところに大きなアンテナを設置する必要があります。
ですが、現在このアンテナを介さないで直接スマホ等の通信機器で衛星と通信をするプロジェクトが開始されています。
今後このプロジェクトが進むにつれて、「圏外」という概念が無くなるかもしれません。
ぜひ今後はニュースをチェックする際、このStarlinkのサービスについても注目をしてみてください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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