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持続可能な世界を創造する。「セルフ量り売り」のパイオニアが切り開く未来とは

UNEP国連環境計画の報告書によれば、日本の1人あたりのプラスチックごみは年間32kgに相当し、アメリカについで第2位と環境に与える負荷が増大しています。

こういった状況のなかで、株式会社寺岡精工は「新しい技術で量り売りを“再発明”する」というミッションのもと、常識にとらわれない新たな量り売り製品やソリューションで持続可能な社会に貢献してきました。

今回は、株式会社寺岡精工 執行役員 スケール・メディアソリューション事業部長 渡邉直浩氏から、2023年10月にオープンした斗々屋の新業態店舗「CIRTY BIOSK by Totoya」で利用されている最新のテクノロジーや世界の動向についてお話をお伺いしています。

便利でエコな量り売りソリューションが体験できる「CIRTY BIOSK by Totoya」

事業内容をお伺いしてもよろしいでしょうか?

私たち寺岡精工スケール・メディアソリューション事業部は、TERAOKAグループのなかでも、容器包装ごみや食品ロスをなくす「量り売り」という分野でお客様をサポートしています。

当社は開発から製造・マーケティングまでのビジネスシステムすべてを現地化した「グローバル・ローカリゼーション」を推進し、現在では世界146カ国に販売・サービス網を展開しています。量り売り分野においても、世界中で製品・ソリューションを提供しています。

「CIRTY BIOSK by Totoya」は斗々屋の新業態ですが、どのようなコンセプトの店舗ですか?

2023年10月にオープンしたフォレストゲート代官山内にある「CIRTY BIOSK by Totoya」には、寺岡精工のセルフサービス計量器や対面計量レジなど当社の量り売りソリューションを納入しています。

斗々屋は、日本初のゼロ・ウェイストなスーパーマーケットを展開しており「CIRTY BIOSK by Totoya」は3店舗目の直営店になります。

新店舗の名前「BIOSK」は、オーガニックという意味の「BIO」そして小売店の「KIOSK」を組み合わせた造語が由来で、キオスクは便利な反面、使い捨てゴミが発生しやすい業態ですが、「BIOSK」は便利でエコな売店を目指します。

店頭にはリターナブルの瓶(返却可能、デポジット制)に詰められた厳選された食材、調味料、おつまみなどが並び、マイ容器持参や量り売りでの購入も可能で、ゴミが出ない、ゼロ・ウェイストなキオスクが東京で実現されています。

ゼロ・ウェイストなキオスクを支える最先端テクノロジー

「CIRTY BIOSK by Totoya」では、どのようなテクノロジーが活用されているのですか?

計量からラベル印字まで簡単に操作出来るセルフサービススケール「SM-6000」が導入されています。商品什器に取り付けられたモーションセンサー「e.Sense」から送信された商品情報を受信し、画面上に商品選択ボタンを自動で表示するので、量り売りに慣れていないお客様でも快適に買物できます。

さらに、計量POSレジ「RM-3800」は日本初となるリターナブル容器のデポジット管理機能を搭載し、キャッシュレス対応も可能にしました。野菜や果物は、量り売りでも個数売りでも販売が可能です。

量り売りは、現在の日本では馴染みがあまりないように感じますが、世界的にはどのような状況なのでしょうか?

かつての日本では、味噌も醤油も酒も自宅から容器を持参して「量り売り」で売られていましたが、現在はデパ地下のお惣菜やお肉コーナーでみられる程度です。

一方、欧米のスーパーマーケットでは対面・セルフ問わず「量り売り」を取り入れているお店は多いです。ただ「セルフ量り売り」については、現地で実際にやってみると、容器の重さを引いたり、商品番号を入力する際に手間がかかり面倒です。

そういった課題を解決したのが、先ほどご紹介した「SM-6000」と連動する「e.Sense」で、フランスをはじめとする欧州では日本に先行して、2019年からサービスを展開しています。

食品ロス・プラスチックゴミ削減だけでなく「人材ソリューション」にも貢献

欧米では量り売りが主流なのですね。斗々屋のように量り売りを導入している店舗は日本でも増えているのでしょうか?

最近では、ナチュラルローソンでもセルフサービススケール「SM-6000」を設置し、洗剤やナッツの量り売りを実施しています。

また、2023年11月にオープンした麻布台ヒルズのSDGsを軸としたファミリーマート(ファミマ!!)では、ナッツ・チョコレート・グミなど常時購入できる量り売りコーナーが開設されました。

さらに、ドールのフルーツロスとプラスチックゴミの削減を目指した「バナナエシカルバリューチェーンプログラム」、近畿を中心に展開するスーパー平和堂のお米の量り売りでもセルフサービススケールをご利用いただいています。

セルフサービススケール「SM-6000」や計量POSレジ「RM-3800」のテクノロジーによって、環境問題以外にも解決できることはありますか?

お煎餅屋さんなど従来の量り売りのお店では、対面で計量する人が必要でした。私たちのシステムを導入することで、作業の削減と効率化を実現し、計量作業にかかる人員を減らすことができます。

現在は人材の確保が非常に難しい時代なので、テクノロジーを駆使して、本当に人が必要な接客や企画などに人材を注力していただけたらと思います。

課題は日本市場の拡大。今の時代に合った「量り売り文化」を実現したい

食品ロスやプラスチックゴミ削減だけでなく人材ソリューションにもつながっているのですね。事業部としての課題はありますか?

寺岡精工は世界中で量り売りソリューションを展開していますが、年間の対面販売やセルフサービス向け計量器の売り上げは海外が4万台に対して日本は1500台ですので「日本市場の拡大」がこれからの課題です。

「量り売り」は日本に昔からあった文化ですから、お客様がやってみたいと思うような便利で楽しい買物体験を実現して、浸透させていけたらと思います。

日本中どこのスーパーでも量り売りができて、卵1個、バナナ一房から買える世界が当たり前になるといいですね。

将来の展望について教えていただけますでしょうか?

大手の企業だけでなく、環境に対する意識の高い方が個人で量り売りのお店をスタートするケースが増えて、2023年には全国で100店舗に迫る勢いです。

こういった企業や個人、ひとりひとりの取り組みが大きなうねりとなるように、創業から培ってきた寺岡のテクノロジーでサステナブルな世界の実現に貢献できればと思います。

終わりに

key point

・国連環境計画の報告書によると、日本での1人あたりのプラスチックごみの量は世界第2位と、世界の環境に与える負荷が増大している。
・株式会社寺岡精工は「新しい技術で量り売りを“再発明”する」というミッションのもと常識にとらわれない新たな製品やサービスで持続可能な社会に貢献してきた。
・スケール・メディアソリューション事業部は、TERAOKAグループのなかでも、容器包装ごみや食品ロスをなくす「量り売り」という分野で、最先端の技術を駆使してお客様をサポートしている。
・2023年10月にオープンした斗々屋の新業態「CIRTY BIOSK by Totoya」に、セルフサービススケール「SM-6000SSR」、計量POSレジ「RM-3800」などのセルフ量り売りソリューションを導入している。
・量り売りは「日本の市場拡大」がこれからの課題である。

いかがでしたでしょうか?

食品廃棄は世界全体で毎年約13億トン発生しており、排出温室効果ガスの量に換算すると、中国、米国の国全体の排出量に次ぐ水準と推計されています。

2015年の国連サミットで取り決められた「持続可能な開発目標」では、2025年までに、あらゆる種類の海洋汚染防止と大幅な削減という目標が掲げられています。

私たちひとりひとりが地球環境に対する意識を持ち、日々の買い物など小さな行動から変えていくことが明るい未来につながるのではないでしょうか。

intervieweeプロフィール

渡邉 直浩

株式会社寺岡精工 執行役員 スケール・メディアソリューション事業部 事業部長

株式会社寺岡精工

1925年に開発した「寺岡式敏感自動バネ秤」を皮切りに、電子はかりやPOSシステム、計量包装値付機などさまざまな精密機器を開発。世界146カ国にネットワークを持つグローバル企業。流通小売分野へのソリューション提供を強みとしており、これまで培ってきたノウハウや技術を活かし、食品製造・加工分野や製造・物流分野、飲食分野などへ事業領域を拡大している。

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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