2016.08.18 インターネットが変える教育 未来はどう変わる?
チョークと黒板、紙のノートと教科書のイメージだった教育の現場が、インターネットの普及によって大きく変わり始めています。クラウドやビッグデータの登場で、これまでにない学習方法やカリキュラムが生まれてきているのです。
インターネットが教育に導入されることのメリット
教育にインターネットが利用されるメリットは大きく2つです。
ひとつは、学習履歴(ログ)が残るため、個々の学習者がどれだけ理解・習熟したかが可視化されることです。これによって習熟度を正確に判断し、適切な指導をすることが容易になります。
もうひとつは、柔軟に教育カリキュラムをカスタマイズすることが可能になったことです。これまでは決められた内容を、決められたスピードで学ぶことしかできませんでしたが、習熟度に合わせて学ぶタイミングや量、難易度を調節できます。
新たなテクノロジー導入により、教育業界に再編の動きも
インターネット経由での遠隔学習が実用的になったこと、そして学習者それぞれのデータを詳細に解析できるようになり、教育業界では異業種からの新規参入が相次いでいます。
有名なところでは、受験対策を中心に、スマホ・タブレットでのアプリ学習環境を整備して急伸するリクルートのオンライン学習サービス「スタディサプリ」があります。また、家庭教師のトライによる映像授業サービス「Try It」のようにサービス提供方法を変えるケースや、学校教育向けにタブレット端末などを活用するベネッセとソフトバンクの合弁事業「Classi(クラッシー)」のような学校側を巻き込んでサービスを提供する事例も出てきました。
教育制度の主眼は「考える力」の育成へと変化
このように教育を取り巻く環境、そして枠組みに大きな変化が起きていることからか、2021年から始まる新たな大学入試制度では「考える力」の育成を主眼に据えられています。従来の学力の枠にとらわれない、問題解決能力や「知識・技能を使える能力」が求められるようになると考えられており、詰め込み型の受験勉強とはまったく違った評価基準が設けられる可能性があります。
「世界算数大会」が、「考える力」時代へのヒントになるか?
「考える力」に注目が集まる中、算数を通じて発想力を競う世界大会が開かれます。それが第4回(2016年11月17日 - 2016年11月19日開催)を迎える、親子で参加できるオンライン大会「世界算数」です。
これは、ソニー・グローバルエデュケーションが開催する算数・思考力の世界大会です。
小学生を対象とした「G1~G6」までの6つのコース、より高度な思考力を求める中学生以上向けの「OPEN」コース、OPENより難易度の高い、中高一貫校の生徒向けの「MASTER」コースの全8コースが用意されています。
記憶力よりも解き方を生み出すためのアプローチ方法が「5つの思考回路」が重視されており、腕試しをしたい大人にも楽しめる内容です。公式サイトにはカテゴリ別の多彩な例題も掲載されていますので、11月に開催される本大会の前に、夏休みに親子で、あるいは仕事の合間の頭の体操に、各々の自由なスタイルで取り組んでみるのも良さそうですね。
学習者の生活スタイルや能力に合わせて学習方法を自由に選べるオンライン学習サービス。それらの普及に伴い、より自由な発想力を求められる時代がきているかもしれません。
TEXT:ワタナベダイスケ
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