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2016.12.13 かかしもネット化が常識に!?IoTが変える「食」の未来

モノのインターネットともよばれるIoT。コンピューターや携帯端末のみならず、さまざまな分野で私たちの生活を変え始めています。

農業をはじめとする「食」も、そのひとつ。「食べ物とインターネットって、どう関係があるの?」と、一見、お互いに結びつかなく思えますが、実は急速にIoT化の波が押し寄せている分野なのです。普段、あまり意識することなく口にしている食べ物も、テクノロジーの恩恵により届けられたものかもしれません。今回は、そんな農業をはじめとする「食とIoT」の分野をお届けします。

「食の安全」にも貢献する技術革新

近年食の安全に対する注目の高まりを受けて、特に重要視されているのが、管理体制です。食物が、誰の手により、どのような環境で育成され、どのように消費者まで届けられたのかを一目瞭然に管理し、消費者自らがそれを確認できるシステムです。筆者も、実際に大手スーパーの店頭などで、食物に添付されたバーコードを読み込むことで、生産者・育成・輸送情報を一括して確認できる仕組みを体験してみると、非常に大きな安心を感じられました。

IoTで農作物の発育状況を管理し生産効率もアップ!

IoTは、管理だけでなく、農作物自体の発育状況の経過観察などにも活用されています。

これまで、生産者個人の経験やノウハウに頼る部分が多かった農作物の育成についても、IoTにより正確に発育状況などを把握することで、作物に対して最適な栽培技術や知見がインターネットを介して効率よく知ることができるようになりました。

例えば、PSソリューションズ社製の農業ソリューション「e-kakashi」は、携帯電話モジュールを内蔵した“ゲートウェイ(親機)”と、3年間電池で駆動しあらゆる条件で快適に設置が行える“センサーノード(子機)”をセットで使用することで、屋外でも安定したクラウドからの機器遠隔監視とデータ送受信を実現する、その名の示す通りまさに現代のかかしです。

温度・湿度センサー、土壌水分/ECセンサー、日射センサー、温度センサーなど、さまざまなセンサーを備えていますので、専用アプリケーションから、インターネットを介して作物の育成に必要なデータを、いつでもどこでも視覚的に確認できます。その中でも驚くべき機能は、栽培管理技術、ノウハウをまるで料理のレシピのようにデータベース化した「ekレシピ」です。センサーデータを組み合わせ、管理作業の提案、計測値の適正判断、収穫時期予測など、栽培現場での作業を効率的サポートします。自宅で手軽においしい野菜を栽培できる未来も、そう遠くないかもしれませんね。

e-kakashi  

生産現場と消費者をつなぐインターネット

これまでは消費者が、食物の生産者のことを知ることはわずかでしたが、IoTの進化により、その機会が増加しています。2016年春に米国でサービスが開始された「KAKAXI」は、生産者と消費者の双方向コミュニケーションを可能にする直配型の農業ソーシャルネットワークです。SNS上で生産者と消費者が交流し、お互いに顔の見える関係を構築することで、より直接的に消費者と繋がった農地の実現を目指しています。

農地に設置した小型モニタリングデバイスで定期的に農場を撮影し、同時に各種センサーで温度、湿度、日照時間も測定し記録します。撮影された作付けから収穫までの栽培現場の様子は、SNS上に公開して消費者まで届けられます。食物が、どんな畑で、どのように育てられているか、その様子を可視化して伝えることで、その安全性やストーリーをより身近に感じられるようになるのです。また、記録されたデータにより、農作物を効率的に管理することが可能です。

KAKAXI 

このように農業のIoT化により、私たち消費者が、より安全に、よりおいしい食物を、より手軽に安く手に入れられる「食」の世界は、急速に近づいているのです。IoTは、これからますます私たちの身近な存在として、農業をはじめとした様々な分野を、大きく変革し続けていくことでしょう。

 

TEXT:内山秀樹
Image via. Thinkstock / Getty Images

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