プロゲーマーが競い合うeスポーツとは?基礎知識や楽しみ方を紹介
「ゲームは遊び」というのが一般的な認識です。しかし今、格闘ゲームやアクションゲームといったコンピュータゲームによる対戦を新たな競技と捉えた「eスポーツ」が世界的に盛り上がっています。事実、梅原大吾をはじめとする職業としてのプロゲーマーが日本人にも続々と登場し、オリンピックの正式種目入りが議論されているほどです。
こうした状況に理解が追いつかない…という人のために、今知っておきたいeスポーツの概要や種目(ゲームジャンル・タイトル)、楽しみ方などを紹介します。
目次
最近よく耳にする「eスポーツ」。ゲームをしているのにスポーツ? どうやら海外で流行っているらしい? プロゲーマーって? そんな気になるeスポーツの概要や歴史、今後の展望を紹介します。
eスポーツとは、コンピュータゲームによる対戦をスポーツとして捉えた名称のことです。TVゲームやPCゲーム、スマートフォンゲーム、そしてゲームセンターに設置される業務用ゲーム機など、そのプラットフォームはさまざまです。
eスポーツは使用されるゲームタイトルごとにルールが異なり、選手やファンもそれぞれのゲームソフトごとに分かれています。人気ゲームの大会には高額な賞金が出ることも珍しくありません。
eスポーツで採用されているゲームタイトルは、一人称視点のアクションゲームであるFPS(ファーストパーソンシューティング)から「コール オブ デューティ」「カウンターストライク」など、三人称視点のアクションゲームであるTPS(サードパーソンシューティング)から「Splatoon」など、リアルタイムシミュレーションゲームであるRTS(リアルタイムストラテジー)から「スタークラフト」など、格闘ゲームから「ストリートファイター」「鉄拳」など、スポーツゲームから「ウイニングイレブン」など、パズルゲームから「テトリス」「ぷよぷよ」などとさまざまです。
eスポーツには「プロゲーマー」と呼ばれるプロの選手が存在します。日本においては「JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)」が発行するプロライセンスを所有している選手、企業が運営するプロチームと契約している選手、企業と個人間で契約している選手といった3つのパターンがあるほか、それらを組み合わせた選手が存在しています。
プロゲーマーは、大会の賞金やスポンサー料などの収入を得ており、アメリカでは日本円で億単位の賞金を得ることができる大会があるほどで、世界中でeスポーツが盛り上がっていることがわかります。こうした賞金は、大会の競技タイトルを開発したゲーム会社や大会のスポンサー企業などから支払われます。
現在のeスポーツの歴史は、90年代後半以降の世界的なパソコンの普及に伴う、PCゲームやオンライゲームのプレイヤー数の増加が背景にあります。これにより、PCゲームによる対戦が興行として注目され始め、2000年に韓国eスポーツ協会が発足。同年にドイツでもエレクトロニック・スポーツ・リーグ社が設立され、その他の国々にもeスポーツ関連の企業や団体が設立されていきました。
一方、日本ではPCゲームよりも家庭用ゲームやスマートフォンゲームの人気が高かったため、eスポーツには乗り遅れている状況が続いていましたが、2010年に梅原大吾が日本人プロゲーマー第一号となったことをきっかけにプロ選手が次々と誕生。eスポーツが認知されるようになりました。現在ではネット上の動画コミュニティはもちろん、テレビ番組でもeスポーツが題材として度々取り上げられるようになりました。
米調査会社Newzooによると、eスポーツの2017年市場規模は700.9 億円、視聴者数3億3500万人と試算されており、その規模は拡大し続けていると言われています。その活況を象徴するのが、2024年パリオリンピックでの正式種目としてeスポーツが候補として上がっているという事実です。
オリンピックの正式種目化は、eスポーツにとって重要な論点のひとつとなっており、2018年には日本におけるeスポーツ3団体、一般社団法人日本eスポーツ協会、一般社団法人e-sports促進機構、一般社団法人日本eスポーツ連盟が合併し、一般社団法人日本eスポーツ連合が設立されました。同連合の会長、岡村秀樹は「eスポーツがアジア競技大会のみならずオリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れ、選手団の派遣や国産ゲームタイトルの供給などが実現できるよう積極的な施策を行ってまいります」とeスポーツのオリンピック正式種目への採用を見越した活動を行うことを表明しています。
eスポーツの基本的な楽しみ方は「Twitch」「YouTube」「ニコニコ動画」といった動画配信サービスで配信される大会を視聴することです。それぞれの番組には基本的に実況者や解説者が出演しているため、ゲームタイトルのファンから初心者まで広く楽しめるようになっています。
また、多くのプロ選手は個人でもゲーム動画を配信しており、大会以外の場でもファンとのコミュニケーションを行なっています。
日本人のプロゲーマーも数多く活躍しています。「ストリートファイター」などの2D格闘ゲームプレイヤーの梅原大吾、マゴ、ときど、「ウイニングイレブン」などのサッカーゲームプレイヤーのマイキー、「カウンターストライク」プレイヤーのLaz、「コールオブデューティ」プレイヤーのGreedZzといったさまざまなプロが存在します。
自分が好きなゲームタイトルを入り口として動画を視聴し、好きなプロゲーマーを見つけることがeスポーツの楽しみ方の基本と言えるでしょう。
もしeスポーツのゲームタイトルを既にプレイしていて、腕に自信があるという方はeスポーツにプレイヤーとして参加てみるのもいいでしょう。大会はオンラインのものからオフラインのものまであります。
大規模な大会であれば、世界的な大会の日本版であり2018年1月末に開催された「EVO Japan 2018」、日本を代表する大会「闘会議」といったものがあります。こうした大規模な大会は、大会ごとに参加方法が異なります。例えば、闘会議の場合、各地で開催される予選に勝ち抜いていくことで本選に出場できるというシステムになっていて、プロクラスのゲーマーたちと競い合うこととなります。
一方で、オンライン上で誰もが気軽に参加できる大会として「JCG CHALLENGE」「ESL Play」といったサイトが運営するものもあり、オンライン上で日々大会が開催されています。まずはこうした大会に参加して、自分の腕を試してみるといいでしょう。
カプコンが2019年春にeスポーツリーグを開始するように、近年はゲームメーカーによる大会開催が広まっているほか、アジア競技大会の正式競技への採用決定など、2024年のオリンピック正式競技採用へ向けその規模を拡大し続けています。
2018年2月の平昌冬期オリンピックでは、オリンピック公認大会としてRTS(リアルタイムストラテジー)というジャンルで、リアルタイムに操作するシミュレーションゲーム「スタークラフト2」の決勝大会が開催されるなど、オリンピックへの採用は前向きに進んでいるようにも見受けられます。
ただし、その一方で、ゲームタイトルによっては非常に暴力的な内容も含むことを問題視する意見もあり、まだまだ多くの課題もあると見られています。
インターネットの発達によりオンラインゲームが普及し、世界的なゲーム人口が増えたことにより、興行として注目されるようになったeスポーツ。
多くの一般的なスポーツと同じように、そこにはプレイヤーとしてプレイする楽しみも、観戦する楽しみも用意されています。自分に合ったスタイルでeスポーツに触れてみてはいかがでしょうか?
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:Getty Images
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