【特集】大学中退、34歳まで年収200万円だった男の逆転の切り札は「オンライン学習」?
学生時代、勉強が面白くなかったという人は少なくないでしょう。今回取材をした黒澤俊文さんも大学での勉強を好きになれず、中退をしてしまったそうです。しかし、34歳のときに一念発起し、あらためてオンライン学習でプログラミングを勉強。現在はITエンジニアとして活躍し、年収は3倍以上になったといいます。黒澤さんに、いったいなにが起きたのでしょうか。
大学中退、34歳まで年収200万円の生活
PreBell編集部:まずは黒澤さんについて聞かせてください。今はどのようなお仕事をしているんですか?
黒澤:これまで何度か転職しており、今はブロックチェーン技術を扱う会社でエンジニアをしています。
PreBell編集部:最近話題のブロックチェーンですね。年収も高そうですね…?
黒澤:650万円です。
PreBell編集部:すごい! 高給取りじゃないですか。エリートですね。
黒澤:そんなことないですよ。今だから笑って話せますが、情報処理系の大学で1年生を4回も経験しています。結局、中退していますし(笑)。一度挫折したこともあって、ITの世界を10年くらい避けていました。
PreBell編集部:そんなに長く距離を置きたくなるほどの挫折だったんですね。お仕事はその間、何をしてきたのでしょうか?
黒澤:地元の北海道でオペレーターをやっていました。年収は200万円程度で、当時は実家に頼らないと生活は厳しかったですね。その間転職もしたのですが、会社都合でクビになったり、将来に不安しかなかったです。スキルを身につけるための学校に通ったりもしたのですが、自分が希望するITエンジニアの仕事にはたどり着けず。
PreBell編集部:何がきっかけで、変わっていったんですか?
黒澤:34歳のころ、以前勤めていた会社の社長がiPhoneアプリの開発の仕事があるからって声をかけてくれたんです。
PreBell編集部:でも、そのときはまだプログラミングのスキルはなかったんですよね?
黒澤:はい。ちょうどその頃、オンライン学習のUdemyというサービスのことを知って、iPhoneアプリ開発の講座を受講したんです。
Udemyとは?
世界3,000万人以上が利用するオンライン学習プラットフォーム。最新のIT技術からビジネス、趣味まで幅広い領域の学びをオンラインで学ぶことができ、世界で約10万コース、42,000名の講師が登録している。
PreBell編集部:なぜオンライン学習だったのですか? プログラミングを学べる学校で学び直すっていう方法もありましたよね?
黒澤:学校だとイチから「プログラミング言語」を学ばなくてはいけませんよね。でも、会社が求めているのは「プログラミング言語の習得」ではなく、「チャットアプリをつくる能力」です。
だから、僕は「チャットアプリをつくる講座」を受講することにしました。この講座の内容をそのままコピーすればつくれるんじゃないかって。本当にそんなノリでした。
PreBell編集部:オンライン学習は続かない人も多いと思うのですが…。
大学のとき、掲示板をつくるという課題があったのですが、僕はダサいから掲示板をつくりたくなかったんです。そして結局大学を辞めてしまいました。つくりたいものをつくるからモチベーションになって、勉強も続くのだと思います。
その点、僕が利用したUdemyだと、たとえばTwitterのような流行っているサービスのクローンをつくる講座があって、自分がつくりたいものを学ぶことができたんです。
エリートプログラマーの正体は”オンライン学習マニア”!?
PreBell編集部:仕事で通用するレベルのiPhoneアプリ開発の技術をオンラインで習得するのは、かなり大変だったんじゃないですか?
黒澤:技術を習得しただけ、年収もアップする。そう思ったら当時の僕にはオンラインのたくさんの講座が「宝の山だ!」と思えたんです。熟練したエンジニアが長い期間かけて習得した技術を数時間で身につけることができるんですから。
20時間以上もある長い動画の講座でしたが、寝る間も惜しんで勉強しました。睡眠時間も毎日3時間くらいで。会社の業務の合間にも勉強をしていました。
PreBell編集部:睡眠3時間!? 1つの講座の習得にはどれくらい時間がかかるんですか?
黒澤:動画を観ておおまかに流れを把握したら、自分のPCで同じことを試してみる。わからないところは繰り返し動画を観るというように学習を進めていきます。なので、実際に勉強するには動画の長さの2、3倍はかかるんじゃないでしょうか。
最初に受講したiPhoneアプリ開発の講座は3ヶ月くらい習得にかかりました。でも本当に楽しかったですね。
PreBell編集部:そしてどんどん年収が上がっていったわけですね?
黒澤:まず最初の講座でiPhoneアプリ開発の技術を習得して、転職をしたことで年収が200万円から400万円にアップしました。そこからさらに上を目指すために35歳で東京へ上京し、2度転職しています。400万円の次が500万円。そして今が650万円と、技術を習得するほどに年収も上がっています。
PreBell編集部:今はブロックチェーン技術の会社ということでしたが、ブロックチェーンもオンライン講座で?
黒澤:はい、Udemyの講座を受講しました。
PreBell編集部:ちなみにUdemyで今までで何講座くらい受講されたんですか?
黒澤:…500講座いかないくらいですかね?
PreBell編集部:500講座!? お金もかなりかかったのでは?
黒澤: 今は1つの講座が基本1,200円~24,000円です。ここ3、4年くらい受講してますが、セールで安くなったときにまとめて購入していたので、意外とリーズナブルなんですよ。
PreBell編集部:他にはどんな講座を受講したのですか?
黒澤:Udemyは各講座にユーザーのレビューがついているのですが、人気の講師の講座を継続して受講することが多かったですね。プログラミングに関する講座が主ですが、それ以外のものも受講しますよ。プレゼンテーションに関する講座とか。最近は少し太ってしまったので、糖質オフに関する講座も…。
PreBell編集部:なんでもオンラインで学んでしまうんですね(もはやマニアの域…)。
黒澤:はい、それだけが楽しみで。他に楽しみがあれば教えてほしいくらいです(笑)。
オンライン学習のメリット、デメリットは?
PreBell編集部: 黒澤さんの生活がオンライン学習中心なのがわかりました…。どんなシチュエーションで学んでいるのですか?
黒澤:北海道にいる時は、仕事後に自宅で受講していることが多かったですね。上京してからは電車の移動中に学ぶこともあります。北海道と東京で場所は変わっても内容は同じ講座を受けられるので、これもオンライン講座のメリットだと思います。
海外の講師のコースも字幕付きで受講できますし、世界最新のプログラミング言語を、すぐマネして実践でき、学校みたいに場所や時間に制限されることがないのは本当に助かりますね。インターネットがなければ、こんな学び方はできないんじゃないかなあと思います。
PreBell編集部: 教室で行う授業と違い、質問したい場合にすぐ答えが返ってこないなど、不便なこともあるんじゃないですか?
黒澤:そうですね。質問機能もありますが、基本的には繰り返し講座を観ることができるので、何度も見て解決します。僕の場合はUdemyで全体感を掴んで、参考書を辞書のようにつかって学んでいました。わからないところだけ、職場の先輩エンジニアに質問していましたね。
そして、意外と大変だったのが、本当にたくさんのコースがあるので、自分に合ったコースを見つけること。ただ、それに関してはUdemyのプレビューという、その講座でどういうものをつくるのかを紹介する動画があるので、それを見て選ぶことで解決されました。
華麗なる転身、私生活は…
PreBell編集部:オンライン学習で華麗なる転身を遂げた黒澤さんですが、収入やお仕事面での変化とともに、私生活での変化はありましたか?
黒澤:うーん…同じ参考書を本と電子版の両方を買えるようになったことですかね。年収200万円ではこんな贅沢できません。
PreBell編集部:また学びに使っているということですか? 結婚できたとか、急にモテ始めたとか…。
黒澤:いま独身なんですが、昨年別れた彼女からは「私とオンライン学習、どっちが大切なの?」なんて言われてしまいました(笑)。
PreBell編集部:(苦笑)。お金を稼ぐための手段だったオンライン学習が、いつのまにか目的になってしまった?
黒澤:おっしゃる通りで。本当にどう遊べばいいのかわからなくて。Udemyには「ディズニーランドの歩き方講座」みたいなデートに役立つ講座を開設して欲しいというお願いをしています(笑)。
そういえば、最近買ったこの鞄、すごく便利なんです。ココにiPadを置いて、移動中でもオンライン学習をすることができるのです。これは結構高かったですよ。
PreBell編集部:学びにストイックすぎる…。
テクノロジーが進歩し、職業も仕事の内容もアップデートされていく時代。私たち自身も新しく「学び」、自分自身をアップデートしていかなければなりません。
時間や場所、お金の制約で学ぶのをあきらめていた人も、また学ぶのが好きではないと思っていた人も。オンライン学習ならば、黒澤さんのように意外とハマることがあるかもしれませんね! 異業種転職や年収アップも夢じゃないかも…?
TEXT:関笑、ケンジパーマ
PHOTO:小池大介
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