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2019.08.22 【あのサービスは今】元祖ソシャゲー『釣り★スタ』が12年間、変わらず守っていることって?

一夜にしてブームが生まれ、そして消えていく――。インターネットの誕生後、トレンドのサイクルはスピードを増すばかり。ほんの数年前の流行が、だいぶ昔のことのようにも思えますよね。「あのサービスは今」では、昔みんなが夢中になったWebサイトやスマホアプリの、現在の姿を追います。

ガラケー時代に一世を風靡した、元祖ソーシャルゲーム『釣り★スタ』の今について、プロデューサーの大久保吉哉さんにお話を伺いました。

HIT!と共に震えるバイブにテンション↑。あの名作ゲームは今…?

遡ること12年前の2007年。初代となるiPhoneが発表された当時は、小さな画面とモッサリした通信速度にストレスを感じることもなく、当たり前にみんながガラケーを使っていました。そんな時代にGREEの大ヒットゲームタイトル『釣り★スタ』は生まれます。

当時はまだスマホアプリなどもなく、携帯用Flashゲームが主流。mixi、GREE、モバゲーの3大SNSがこぞってモバイルゲームをリリースしていたなか、『釣り★スタ』が空前の大ヒットとなりGREEを代表するゲームタイトルに!

HIT!と共に震えるバイブにテンション↑。あの名作ゲームは今…?ガラケー版『釣り★スタ』の画面。釣ったときにバイブレーションが作動して震えるなど、当時としては画期的な機能が話題に。

タイミングを合わせてボタンを押して魚を釣る、ポイントで釣具を手に入れる、仲間と釣りに出かける。

今となってはシンプルすぎるほどに単純明快なゲーム。当時は確かに面白かったけど、スマホアプリでリッチなゲームが当たり前になった今、果たして『釣り★スタ』はどうなっているのでしょうか…?

7代目プロデューサー、大久保さんを直撃! ぶっちゃけ今の人気って…?

あの大ヒットタイトル『釣り★スタ』は今? グリー本社に伺い、7代目のプロデューサーとなる大久保吉哉さんを直撃しました。

7代目プロデューサー、大久保さんを直撃! ぶっちゃけ今の人気って…?7代目のプロデューサーの大久保吉哉さん。思っていた3倍くらいヤンチャそうな人ですが…

――大久保さんは7代目のプロデューサーとのことですが、『釣りスタ』がリリースされた2007年は何をしていましたか?

今、32歳なので、まだその当時は学生でしたね。

――じゃあ、やっぱり『釣りスタ』にハマったクチですか?

いえ、実は当時はケータイでゲームをすることはあまりなくて。2013年に入社した時もソーシャルゲームのことはまったく知りませんでした。

――じゃあ、釣り好きだったとか?

小学生の時にバス釣りが流行ってたので、少しかじりましたけど、そこからは全然ですね(笑)。

7代目プロデューサー、大久保さんを直撃! ぶっちゃけ今の人気って…?……このインタビュー、大丈夫なのか?

――今年で12周年ということですが、今も『釣りスタ』って人気あるのでしょうか…?

おかげさまで、初期の頃からずっと楽しんでくれているコアなファンが多く、現在ご登録いただいているユーザー様は約1,400万人いらっしゃって、これまでに累計約280億匹の魚が釣り上げられております。ユーザーの7割が初期の頃からプレイをし続けていただけているコアなファンの方で構成されています。

――7割も!? コアなユーザーはどんな人たちなのでしょうか。

30代〜50代の男性が中心です。10周年のタイミングでは、ファン感謝祭としてリアルイベントを開きました。参加者のなかには2007年のリリース当初からプレイしているユーザーさんもいました。

何冊ものノートに攻略日誌をつけているユーザーさんがいるなど、本当に長い間『釣り★スタ』を愛してくれていたのだなと実感できて、感動しましたね。

その場にいたユーザーの方たちも『釣り★スタ』仲間ということで、みなさんすぐに打ち解けていましたし、飲みにいく話が出るなど、すごくコミュニケーションが活発だったように思います。

7代目プロデューサー、大久保さんを直撃! ぶっちゃけ今の人気って…?ファン感謝祭で見かけた熱心なユーザーに感動したと語る大久保さん

ユーザーと対話を続けて12年。変わる良さと変わらない良さ。

――12年の間で大きくゲームが変わった点はありますか?

そうですね…。実は昔から基本的な遊び方は変えないようにしています。アクションゲームであるということ、難しい操作を必要としないこと、気軽に楽しめるということを念頭に置いてやっています。

常に「ユーザー目線」でいるように心がけていて、その意識が、ファン感謝祭を開催しようというアイデアにもつながっているのだと思います。ユーザーからのお問い合わせにも、定型文で返すのではなく、一件ずつ自分たちの言葉で返信するようにしています。

ユーザーと対話を続けて12年。変わる良さと変わらない良さ。12年、離れずにいるユーザーの存在が『釣り★スタ』がユーザー目線である何よりの証拠?

――なるほど…。ユーザーの声がゲームの改善につながっている部分もあるのでしょうか。

もちろんあります。操作が面倒な点、困り事など、ご意見箱からいただいた要望を反映し、機能改善に役立てています。

一度、画面のデザインを大きく変えたことがあったのですが、そのタイミングで「どこに何があるかわからない」「どうやっていいのかわからない」など多くの問い合わせをいただきまして…。

その時にも、ゲームを変えるにしても、私たちの目線で変えるのではなく、「ユーザー目線」で変えなくてはいけないということに気づいたんです。

――長くゲームを楽しんでいるユーザーにとっては、変わることがストレスになる場合もありますよね。

そうですね。それで言うと、表面上あまり変わっていないように見えるけど、裏側ではすごく変わっているという部分はたくさんあります

やっぱりガラケーの時代からサービスがあって、技術やデバイスの進歩によって解決できるようになったこともあるので。

――変わらない良さを提供しながらも、地道にコツコツとユーザーのために改善を積み上げているんですね。

ユーザーと対話を続けて12年。変わる良さと変わらない良さ。スマホアプリ版『釣り★スタ』の画面。ガラケー時代からデザインや基本的な操作は踏襲しつつ、スマホならではのスムーズな操作性で気持ちよくプレイできる

『釣り★スタ』がVRに? 変わらない価値と変えていくべきこと

『釣り★スタ』がVRに? 変わらない価値と変えていくべきこと

――同じサービスを長く運営していると、大変なことも出てきませんか?

12年も続いていると、初期のユーザーと最近はじめたユーザーでレベルに差が生まれてしまうんです。レベルの高い人に合わせてゲームの難易度を上げると、最近はじめた人がついてこれなくなってしまうんです。これは長く運営しているからこその悩みかもしれません。

そこはミドルユーザーやライトユーザー向けにすぐに強化できるアイテムを提供するなど、工夫をしているところです。

「魚を釣る」っていう行為を楽しんでもらうということは守りつつ、最近では新しいことにも取り組んでいるんですよ。

――例えば、どんなことに取り組んでいるのですか?

釣り竿をクレーンにして、より強力な怪魚を釣れるようにしたり…。

『釣り★スタ』がVRに? 変わらない価値と変えていくべきことクレーンで、魚釣り!? だいぶ斬新なアイデアですが、大丈夫なのだろうか…。

――最近ではVR版やNintendo Switch版のタイトルもリリースしていますよね?

VRに関しては、2年ぐらい前にエイプリルフール企画で『釣り★スタ』をVRにするっていうネタを考えていて。それが同じ年にあった10周年イベントのタイミングで実現したというのがはじまりです。そこから本格的にVRタイトルの開発がスタートしました。

僕らとしては、『釣り★スタ』というブランドをどうしたらまた皆さんに愛してもらえるのか、多くの人にどうやって届けるのかを考えて、その結果がVRや家庭用ゲーム機でも楽しめるものにつながったのだと思います。

先ほど申し上げた「魚を釣るアクションゲーム」「難しい操作を必要としない」「気軽に楽しめる」などのコアな部分は変わらないものとして守っていく一方で、僕らとしては変わらなくてはいけないという思いもあります。

昔はGREEのプラットフォームからユーザーがどんどん入ってきましたが、スマホアプリが主流になった今は、その限りではありません。

ユーザーが何を求めているかを考え、必要ならばリッチな体験や遊び方ができるように、どんどんと改善していきたいです。

――変わらないものと、変えるべきもの。深い…。今はモバイルも固定回線も、速く大容量になっていますよね。それによって、コンテンツもどんどんリッチになっていく傾向があります。

作り手の一方的な「こんななことやってみたい」というわがままで、どんどんリッチになっていくのは、あまり良い方向ではないように思います。

ユーザーが何を楽しみにしているのかをきちんと捉え、ユーザーがもしリッチさを求めているのであれば、そこはどんどんと注力していくべきです。必要ならばやるし、そうでなければやらないということですね。

『釣り★スタ』がVRに? 変わらない価値と変えていくべきこと

たくさんのゲームがリリースされているなか、12年もの長寿タイトルになったのは、ユーザーの声にきちんと耳を傾けていたからなんですね。変わらないでいるということも大切なんだなーと、しみじみ…。

インタビュー後、ひさしぶりに『釣り★スタ』でHIT!の興奮を味わいたくなってきました!

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:河合信幸

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