【eスポーツ通になろう!】基礎編:観るだけでも面白い!推しプレイヤーを見つければeスポーツはさらに楽しめる ニュース

【eスポーツ通になろう!】基礎編:観るだけでも面白い!推しプレイヤーを見つければeスポーツはさらに楽しめる

eスポーツの基本や観戦の楽しみについて学んだ「入門編」。気になったのは、eスポーツ選手(プレイヤー)のこと。一体どんな選手がいて、どんな練習をして、どうやってお金を稼いでいるのだろう? 前回に引き続き、「みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書」の著者、岡安 学さんに話しを聞いていこうと思います。

ライターmegayaと岡安学さん「前回の岡安さんの話を聞いたら早くも生観戦したくなってきた」というmegaya(左)と、eスポーツのことを知り尽くしたフリーライターの岡安 学さん(右)。

岡安学さん
フリーライター。ゲーム情報誌編集部を経てフリーランスに。現在は、eスポーツを中心にWebや雑誌などで活躍中。著書に「みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書」(秀和システム刊)、「INGRESSを一生遊ぶ!」(宝島社刊)など。Twitter/@digiyas

日本にはどんなプロゲーマーがいるの?

前回のインタビューでeスポーツというものがなんとなくわかってきました! 簡単に言うなら「電子機器を使った競技性の高いゲーム」ということでしたよね?
そうですね。「格闘ゲーム」や「カードゲーム」に限らず、技を競い合うのがeスポーツです。大会も世界的な規模のものがあったり、長期的に開催するものがあったり、賞金総額が30億を超えるものもあります。また、ゲームの種類も多様な広がりをみせています。
eスポーツの大会は、動画サービスサイトから手軽に見られるのがいいですよね。実況や解説があるのも初心者にはわかりやすくて助かります。
最近は観戦者も増えていって、eスポーツのプロ選手が多方面で注目されるようになってきました。ゲームに詳しくなくても「好きな選手が出場するから大会に行ってみる」という人もいるくらいです。アイドルと同じで、「推し」がいるとやっぱり熱も入りますからね。
僕も、ぜひ自分の推しプレイヤーを見つけて「うぉー!」と盛り上がりたいんです! ただ、選手もたくさんいるので、まずはこの人はおさえておくべき!という、野球でいえば「イチロー選手」的な有名選手はいるんでしょうか?
ライターmegaya
やっぱり格闘ゲームで活躍するウメハラ(梅原大吾)選手ではないでしょうか。15歳で日本一になり、17歳で世界チャンピオンのタイトルを獲得した「格ゲー」界のカリスマ。日本初のプロゲーマーは彼だと言われているんですよ。

「2019年4月にフランスで開催された「カプコンプロツアー2019」のプレミア大会である「THE MIX UP」。
東大卒のトッププレイヤーときど選手との対戦でその強さを見せつけた
©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.

プロゲーマーの先駆者なんですね! 選手の能力や技にも注目したいんですけど、eスポーツ初心者にもそのスゴさがわかりやすい選手はいますか?
そうですね、「テトリス」はmegayaさんも一度はやったことがあるんじゃないですか?
あります、あります。流行りましたから。
「ぷよぷよ」のプロ、あめみやたいよう選手は、もともとは「テトリス」のプレイヤーとして有名で、テトリス神とも呼ばれています。プレー動画を見ていただくとそのスゴさは一目瞭然ですよ。
おお、テトリス神…! それは見てみたいですね。
おなじみ「マリオシリーズ」のキャラクターが一堂に会する「大乱闘スマッシュブラザーズDX」で、世界最強のヨッシー使いとして知られるのがaMSa(アムサ)選手。彼は、専属コーチを雇って活動しています。
ゲームでプロコーチ…!!!?
ゲームは一人でひたすらやっていればいいと思うかもしれませんが、コーチをつける効果は絶大です。リアルスポーツでもコーチと選手の関係って重要じゃないですか? aMSa選手は、それまでベスト20位くらいの実力だったのですが、コーチをつけてからわずか半年で8位にまで上り詰めました。
ゲームの指導ってどんなふうにするのでしょう? まったく想像がつきません。
客観的にプレーを見て、手癖の修正などをするだけでなく、キャラクターの攻撃方法や防御方法を分析し、選手のサポートをするといったことですね。 aMSa選手の場合は、現役当時は有名だったカイトという方を起用しています。クリティカルなアドバイスをする人で、プレーへの影響が大きいと感じたようです。
それは大きな存在ですね! eスポーツには高校生の大会などもありますが、高校生のプロ選手もいるのでしょうか?
リアルタイム対戦型のカードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル」のリーグだと、高校生のKK選手やBlossom選手がいます。そのほか、「Burning Core」というチームでは、プロになる前の練習生という制度を作り、岡山県共生高等学校eスポーツ部のキャプテンAkabuff(赤バフ)選手など若手が所属しています。このように若いゲーマーを育成するチームも出てきていますね。
若手選手の育成まで…! eスポーツはもうそんなところまで来ているのか…!!

成功は1日にして成らず。eスポーツ界の「イチロー選手」になるには?

プロ選手になるためにはどういった能力が必要になってくるのでしょうか?
「反射神経が大事」ということもよく言われますが、ジャンル問わずすべてのゲームタイトルに共通して言えるのは「情報量をどれだけ持っているか」ということだと思います。
攻略本のようにゲームの知識が豊富にあるということでしょうか?
もちろんそういった基本的な知識を網羅することは必須ですが、それに加えて、研究し続けることが重要になります。「格ゲー」で言えば、「Aという技をガードしたときに、BとCで反撃したらどうなるのか?」「Aの攻撃を全部のキャラに試したら反応は違うのか?」など、技を一つずつ検証していきます。
かなり地道な練習が必要になってくるんですね……。
対戦相手の情報収集も必要になります。ゲームキャラクターに対する「キャラ対策」に対して、「人対策」と言われ、相手プレイヤーの性格や癖を読み、分析することはかなり重要です。
たしかに人がプレーしているからには必ず癖などが出るはずですよね…!
「格ゲー」のプロ選手は、やっぱりひたすら対戦して練習するんでしょうか?
意外かもしれませんが、トレーニングモードでCPU(対戦型格闘ゲームにおいて、人間ではなくコンピューターが自動操作する対戦相手のこと)に特定の動きをいくつか覚えさせて、ランダムで発生させます。どの技がきても対応できるように、反復練習を何時間もやっています。野球の素振り100回といった基礎練習と同じです。カードゲームでは何百回も一つのデッキ(試合で使用するカードのセットのこと)を繰り返し使って戦法を練っていき、さらにデッキ自体の構成もいくつも考えていきます。
「イチロー選手」は毎日同じ練習を繰り返しやっているという話を思い出しました。
ゲームにもよるとは思うのですが、eスポーツ界では今、日本人のプロ選手って、どのくらいのレベルなのでしょうか?
「ストリートファイターV」では、上位30人のうち半分は日本人なので、かなり強いと言えます。ただし、最近ではアメリカやシンガポールなどの選手も健闘しているので、これからどうなるかはわかりませんね。
「入門編」でも教えていただいた、海外で流行っているというMOBA(※1)やFPS(※2)といった分野ではどうでしょうか?

(※1)MOBA:マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナの略称。ゲーム内のフィールドで、自分のキャラクターを操作し、相手の拠点を攻め落とすことを目的とした戦略型ゲームのこと。

(※2)FPS:ファースト・パーソン・シューターの略称。主人公の視点になって移動することができる一人称視点のシューティングゲームのこと。ガンシューティングゲームなどが一般的。

予選は突破できても、そこからなかなか上がれないという感じ。これからですね。そんな中、世界に一番近いと言われているのがプロゲームチーム「野良連合」です。対戦型のオンラインシューティングゲーム「レインボーシックスシージ」では、世界4位になっています。
おお! もうすでにそんな上位に食い込んでいるんですね!!
「野良連合」は、建物一棟をまるまる借りたゲーミングハウスを持っていて、共同生活をしながら日々練習に励んでいます。朝起きて自主練習、その後はチーム練習、最後に反省会をして……というゲーム漬けの生活をしています。
えー!常に合宿しているような状態なんですね。
顔を合わせて生活するなかで自然とチームの結束力も高まりますし、「チーム競技」に対する意識も共有できる。協調性や親和性がチームを強くしていくところはまさにリアルスポーツとも通じますよね。

知られざるプロ選手の生活

練習ばかりでゲームが嫌いにならないのでしょうか?
そこも勘違いされがちなのですが、プロ選手は、毎日ゲームだけをやっているわけではないんです。コミュニティに参加し、情報収集なども行っています。ゲームは常にアップデートしていくものなので、トレンドをみんなで共有し合っているのです。
プロになるためにはゲームだけをしていればいいってわけじゃないんですね
そうですね、海外のオンラインゲームをタイムラグなくプレーするために留学する選手もいますし、生活そのものを変える場合もあります。さらに、海外で活躍するためには語学力を磨く必要もありますね。
プロ選手の働き方と稼ぎ方が気になります。みんなが賞金で食べていけるってわけじゃないと思うし……。
兼業の人は多くいますよ。たとえば、eスポーツチーム「Team Liquid」に所属するネモ(根本直樹)選手は、大手のゲーム会社スクウェア・エニックスに勤務しながらプロゲーマーとしても活躍しています。また、企業が選手を雇うケースもありますね。野球やラグビー、アメフトといったリアルスポーツの社会人選手のように企業の社員として働きながら選手として活動する人もいます。メリットとしては、会社員なので、選手を辞めても会社に残れますし、就業時間の一定割合で練習時間にあてられたり、海外の大会遠征も出張扱いになったりします。
へー! 安定的に働ける環境も整っているんだなあ! 専業の選手はどうなんでしょうか?
個人のプロゲーマーとして企業やスポンサーと契約している選手もいますし、大会の賞金だけで生活している選手もいます。1年を通してリーグ戦があるようなゲームだと、プレイヤーが年契約をして月々の給料がもらえるようになっている場合もありますね。

やっぱプロ選手ってスゴいわ……! 間近で見れますか?

今まで「プロゲーマーって、ゲームをやっているだけでお金もらえて楽しそー!」とか思っていたのですが、やっぱり実力ありきのシビアな世界なんですね…! 過酷な練習を経てプロとして戦っているんだと考えると、今後、eスポーツの見方もかなり変わってきますね。
選手たちには、「ストリートファイター」のリュウのセリフのように「俺より強い奴に会いに行く」という気持ちがあります。純粋に「強い人と戦いたい」という想いがあるからこそ続けているのです。そういった人たちの戦いはやっぱり見ていて熱くなるものがありますね。
いやー、これはもう間近で観たいです! そもそもeスポーツって何だかよくわからなかったのに、実際にプレーしたことのない僕みたいな人も楽しめる要素がめちゃくちゃあるんじゃないかって気がしてきました。
そうですよ。今は「観る専」(eスポーツを観ることを専門とする人)がどんどん増えています。大会を重ねるごとに選手は切磋琢磨し、そのクオリティー向上させてきたわけです。そうして登場したトップランクの選手たちの技を「観る」ために集まったのが「オーディエンス」ですね。
ネットの動画配信サービスも「観る専」を広めた一因でしょうね。今日教えていただいたスゴい選手たちと並ぶような、僕の「推し」を探しにそのオーディエンスへ飛び込んでみたい!
megayaさん、すでに熱くなってきてますね……! 「eスポーツ通」になるための総仕上げとして、次回は大会の面白さ、見所についてお伝えしましょう! 推しプレイヤーが見つかるといいですね。 

さて、eスポーツの選手のスゴさを知ってしまったら、大会の盛り上がりを肌で体感するしかない! ということで、 次回は今見るべき大会の情報やeスポーツ界のニュースについて伺いたいと思います! 知れば知るほどeスポーツって奥が深いぞ!

TEXT:megaya
PHOTO:宇佐美亮/Getty Images
動画提供:株式会社カプコン
2020年2月14日に最新作「ストリートファイターV チャンピオンエディション」(PS4/PC)が発売になります。

超高速 So-net 光 10ギガ新登場! 割引特典 戸建もマンションも月額基本料金6,720円が最大12カ月無料!

この記事を気にいったらいいね!しよう

PreBellの最新の話題をお届けします。

TOPへ戻る