インドネシア政府が中国EC「Temu」と「SHEIN」をブロック
インドネシア政府は、中国発の低価格ECプラットフォーム「Temu」と「SHEIN」に対し、国内での事業活動を制限する措置を講じた。これは、両社がもたらす市場への影響を深刻視したためである。インドネシアは多くの中小企業が地域経済を支える構造となっており、TemuやSHEINが低価格戦略を強みに急速に拡大することで、「不健全な競争」が引き起こされると判断した。
ブディ・アリエ・セティアディ通信情報相は、これらのプラットフォームが現地企業に対して競争上の優位性を持ち、中小企業の存続を脅かしていると指摘。特にTemuのような越境ECが国内法を遵守せず、納税や品質管理の面で課題を抱えていることが問題視されている。また、GoogleやAppleなどのアプリストア運営会社に対し、Temuのダウンロードを制限するよう要請がなされた。
このような動きは、インドネシア政府が国内の中小企業を保護し、地域経済の安定を優先する姿勢を示している。同様の措置は、TikTokショップにも適用された経緯があり、越境ECプラットフォーム全体に対する厳しい監視体制が敷かれている。
Temuの成長を阻む東南アジア市場の壁
インドネシアでの規制は、Temuが直面する課題の一端にすぎない。東南アジア市場では、シンガポール発の「Shopee」や「Lazada」といった地元密着型の強力な競合が存在しており、Temuの存在感は薄い。加えて、配送の遅延や品質への不信感など、消費者からの評価も芳しくない。
さらに、Temuが直面しているのは、各国政府が課す規制の壁である。ベトナムでは事業登録の未完了を理由にサービス停止を命じられるなど、法令遵守の問題が事業運営を妨げている。こうした状況は、東南アジア全域での展開における課題を浮き彫りにしている。
Temuが東南アジア市場で成功を収めるためには、単なる価格競争に頼るのではなく、地域ごとの法規制や消費者文化への対応が必要不可欠である。また、物流インフラの整備や品質管理の向上、さらには地元企業との提携を通じた信頼構築が求められる。
インドネシア政府の措置を受け、Temuは事業戦略の見直しを迫られている。地域経済との共存を図りつつ、消費者からの信頼を確立することで、東南アジア市場での地位を確保する道を模索する必要がある。
【関連リンク】
・中国産爆安EC「Temu」がベトナムで問題に、インドネシアでは政府が「ブロック」…日本人が知らないアジアの実情(マネー現代)
https://gendai.media/articles/-/142081
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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