HEMSの導入で電気料金が節約できる!仕組みや導入方法、メリットは?
省エネについて調べていると「HEMS」というワードを見かけることがあります。エネルギーの使用量を抑えれば、電気料金を節約できるだけでなく、環境にも優しい生活ができるため、いいことずくめといえるでしょう。
HEMSとはどのような仕組みとなっているのでしょうか。HEMSの具体的な内容やメリットのほか、導入方法についても説明します。
POINT
- HEMSとは、エネルギーの使用量を管理するシステム
- HEMSは、エネルギーの使用状況が一目でチェックできるので、コスト意識が高まる
- 家電品のエネルギー消費量を自動的に抑えられ、自然と節約が可能に
HEMSとは、「Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)」の頭文字をとったもので、家庭で使用するエネルギーの量を管理するシステムのことです。
このシステムを利用すると、エネルギーの使用量を節約することができます。
それが実現する理由は、2つの仕組みによるものです。1つめの仕組みは、エネルギーの発電量・使用量を目で見て確認できること、もう1つは機器のエネルギー使用量を自動的に制御できることです。
次の項目では、エネルギー使用量を節約できる2つの仕組みについてくわしく説明します。
HEMSを利用すると、エネルギーの発電量・使用量を目で見て確認することができます。
確認できる主な内容としては以下のものがあります。
・電気、ガス、水道の使用量
・太陽光発電などの発電量
・蓄電池の残量
・機器ごとの電力使用量をリアルタイムで表示
・時間帯別、日別、月別の電力使用量
通常、電気やガス、水道の使用量は1か月分を確認する形となります。そのため、今はどのくらいエネルギーを消費しているのか、また、今日1日でどれくらいエネルギーを消費したか、ということはチェックすることができません。
そのため、知らず知らずのうちにエネルギーを多く使ってしまう場合があります。
しかしながら、毎月、電気やガス、水道の使用量をチェックしてみると、ほぼ毎月同じ傾向となりやすいため、エネルギーを多く使っているとは感じにくくなってしまいます。
つまり、毎月1回だけエネルギー使用量をチェックするだけでは節約の効果が期待しにくいといえます。
その点、機器ごとの電力使用量をリアルタイムでチェックできるなど、エネルギーの使用量を細かくチェックできれば、エネルギーの使用量に関心を持ちやすくなります。
それにともなって、エネルギーの使用を抑えようという意識が働きやすくなり、エネルギーの節約効果が期待できます。
また、HEMSを利用すると、機器のエネルギー使用量を自動的に抑えることが可能となります。
その理由は、HEMSの情報処理装置ならではの機能が活かされるためです。例えば、家庭内で電気を使いすぎないようにするために、電力消費量の目標値をあらかじめ定めておいたとしましょう。
電力消費量が目標値の範囲内に収まっていれば、エアコンや照明などの家電品は、特に省エネ運転を行うことなく通常通り作動します。
しかし、電力消費量が目標値をオーバーした場合は、エアコンが省エネ運転になるように温度設定を自動的に変更したり、照明の明るさを自動的に抑えたりして、電力消費量を抑えるようになります。
これまで、電力消費量を抑えるためには、家族の一人一人が省エネを心がける必要がありましたが、場合によっては省エネの意識が薄れてしまうこともあり、なかなか省エネが達成されにくいのが現状でした。
その点、HEMSを導入することによって、一人一人の省エネ意識に頼らなくても自動的に省エネが達成できます。IT化の進行によって省エネが実現し、節電や電気料金の節約ができる時代を迎えています。
そのほか、HEMSならではの機能として「家電品の遠隔操作」があります。この機能を活用することでも省エネが可能となります。
家電の遠隔操作の一例としては、外出先でスマートフォンを操作すると、照明のスイッチのON・OFFが可能なことがあります。
外出するときに照明のスイッチを切り忘れてしまうと、電力の消費量は増え続けてしまいますが、外出先からスマートフォンで照明のスイッチを切ることができれば、無駄な電力の消費を抑えられます。
このように、家電品を遠隔操作できる機能を活用することでも、節電の効果が期待できます。
家庭にHEMSを導入する場合は、必要となる機器をそろえ、それぞれの機器を接続します。
HEMSの導入に必要な機器としては以下のものがあります。
・HEMS対応型の分電盤
・情報処理装置
・HEMS対応型の家電製品
・エネルギー消費量などを表示させる機器
(パソコンやスマートフォン・テレビなど)
また、HEMSを利用する場合は、インターネット環境が必要であり、無線LANルーターが必要となります。
HEMSの導入に必要な機器について、以下で説明します。
HEMSを導入する場合、HEMS対応型の分電盤が必要となります。通常の分電盤と異なる点は、エネルギー量を測定する機能を有している点です。
なお、既存の分電盤を活用することもできます。その場合は、情報処理装置に付属したエネルギー測定ユニットを使用してエネルギー量を測定します。
情報処理装置は、エネルギー測定ユニットからエネルギー発電量や使用量のデータを受け取り、エネルギーに関する情報を処理して、パソコンやスマートフォン、テレビなどの機器に情報を送る機能を持っています。
情報処理装置は、いわばHEMSの要となる機器といえます。なお、情報処理装置の中にはモニターと一体化しているものもあり、その装置のモニターにはエネルギー使用量が表示されます。
HEMSを導入する場合、HEMS対応型の家電品が必要となります。その理由は、電力消費量のデータを送信する必要があるためです。
家電品がHEMSに対応していない場合は、別途購入する必要があります。
エネルギーの発電量や消費量のデータは、パソコンやスマートフォン、またはテレビなどの画面に表示させる仕組みであるため、そのための機器が必要となります。
なお、情報処理装置とモニターが一体化している場合は、これらの機器は不要です。
家庭にHEMSを導入する場合の費用は、工事費を含めると25万円前後となります。
参考として、HEMSに対応した住宅用分電盤、HEMSの情報処理装置、モニターの価格、設置工事費用の目安を以下に示します。
各機器の価格の目安は以下の通りとなります。
・HEMSに対応した住宅用分電盤:11万円前後
・情報処理装置(エネルギー測定ユニットなし):4万円前後
・情報処理装置(エネルギー測定ユニット込み):11万円前後
・モニター:10万円前後
・設置工事費用:約2万5000円
※価格はいずれも税込
新築の場合は、分電盤を新規で設置する必要があるほか、以下の機器類も必要となります。
・HEMSに対応した住宅用分電盤:11万円前後
・情報処理装置(エネルギー測定ユニットなし):4万円前後
・モニター:10万円前後
・設置工事費用:約2万5000円
合計:約27万5000円
リフォームの場合は既存の分電盤を使用します。そのため、必要な機器類は以下となります。
・情報処理装置(エネルギー測定ユニット込み):11万円前後
・モニター:10万円前後
・設置工事費用:約2万5000円
合計:約23万5000円
そのほか、HEMSを利用する場合は、別途、HEMSに対応した家電品が必要となります。
HEMSの導入にはまとまった費用がかかりますが、導入によって電気代などのエネルギー使用量を節約する効果が期待できます。
HEMSを導入すると、エネルギーの発電量、使用量が一目でわかるほか、電力使用量を適切に抑えられるため、節約の効果が期待できます。
また、家電品の遠隔操作も行えるため、消し忘れなどの無駄な電力消費も抑えられます。
HEMSの導入には一定の費用がかかりますが、節約するため、そして環境に優しい生活をするための投資として考えると、十分な投資効果が見込めるのではないでしょうか。
お財布に優しく、そして地球に優しい生活を実現するためにも、HEMSの導入を検討してみませんか。
PHOTO:PhotoAC/Unsplash/Pixabay/Pexels
TEXT:PreBell編集部
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