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2022.02.28 Wi-Fi 6の機能が拡張された「Wi-Fi 6E」それぞれの規格の違いは?

家庭内でスマホやゲーム機からインターネットに接続する場合は、Wi-Fiで接続することが一般的です。

インターネットを利用できる端末は年々増えているため、現在のWi-Fiは、複数の端末に接続しても高速で通信ができる性能が求められます。

利用できるWi-Fi規格の中で性能が高いものは「Wi-Fi 6」です。Wi-Fi 6の1つ前の規格である「Wi-Fi 5」と比べると最大通信速度が向上しました。

また、今後はWi-Fi 6の拡張版である「Wi-Fi 6E」という規格が利用できるようになります。

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eはどのような違いがあるのでしょうか。Wi-Fi 6Eの周波数や日本での導入の見通しなどについて説明します。

POINT

  • Wi-Fi 6Eを利用すると、高速で安定的な通信が可能に
  • Wi-Fi 6Eは6GHz帯も利用可能 利用できる周波数帯が増えると通信が混雑しにくい
  • Wi-Fi 6Eは海外のみ利用可能 日本では6GHz帯が割り当てられてから利用開始の予定

Wi-Fi 6Eとは

Wi-Fi 6Eとは、Wi-Fi規格「Wi-Fi 6」の拡張版です。なお、Wi-Fi 6Eの「E」は「Extended」の頭文字で「拡張」を意味します。

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eの違いは、利用できる周波数帯の種類が異なる点です。なお、いずれのWi-Fi規格も最大通信速度は9.6Gbpsとなっています。

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eの最大通信速度、割り当てられている周波数帯についてまとめると下記の通りとなります。

Wi-Fi 6

・最大通信速度:9.6Gbps
・周波数帯:2.4GHz帯 / 5GHz帯

Wi-Fi 6E

・最大通信速度:9.6Gbps
・周波数帯:2.4GHz帯 / 5GHz帯 / 6GHz帯

Wi-Fi 6Eは6GHzの周波数帯も利用できます。なお、Wi-Fi規格において6GHzの周波数帯が使用されるのは、Wi-Fi 6Eが初めてとなります。

Wi-Fi 6Eは2021年の時点で世界的に利用が可能となっています。ただし、実際に利用できるのはアメリカやイギリス、韓国など、6GHzの周波数帯が割り当てられている国に限られます。

日本は、2022年2月の時点でWi-Fi規格向けに6GHzの周波数帯を割り当てていないため、Wi-Fi 6Eを利用できません。

日本でWi-Fi 6Eが利用できるようになるのは、6GHzの周波数帯が割り当てられてからとなる予定です。

Wi-Fi 6Eの特徴 高速の通信が安定的になる

Wi-Fi 6Eの特徴は、高速の通信が安定的になることです。その理由は利用できる周波数帯が増えることと関係しています。

Wi-Fiの通信で利用できる周波数帯が増えれば、Wi-Fi向けの通信で利用できるチャンネル幅が広がります。

Wi-Fi 6で利用できるチャンネル幅は20MHz、40MHz、80MHz、160MHzがあります。広いチャンネル幅であるほど、データの送受信時に通信が混雑しにくくなるため速度が安定的になります。

通信が混雑しにくくなれば、通信データの処理速度が上昇する「高スループット」となるうえに、遅延する確率が低くなる「低レイテンシー」の状態となり、速度が安定化します。

なお、Wi-Fi 6の通信速度を安定化させるためには、少なくとも80MHzのチャンネル幅が必要となります。 

Wi-Fi 向けとして利用できる周波数帯の幅が広がれば、80MHzあるいは160MHzのチャンネル幅も利用しやすくなります。それによりWi-Fi 6Eはデータの通信速度が安定します。

主要国の6GHzの周波数帯と日本の周波数帯の割り当てについて

6GHz帯の周波数の帯域は5925~7125MHzの1.2GHzです。アメリカや韓国では5925~7125MHzの周波数帯が、イギリスでは5925~6425MHzの周波数帯が割り当てられています。

なお、総務省が2021年に公表した「周波数再編アクションプラン(令和3年度版)」によると、日本では2025年末までにIoT・無線LAN向けに1GHz幅が追加される予定です。

日本において、6GHz帯にどの周波数帯を利用するかは、各国の動向を踏まえたうえで決めるものとみられます。

快適にインターネットを利用するならWi-Fi 6Eが必須

快適にインターネットを利用するなら、Wi-Fi 6Eが必須となります。

そもそもWi-Fiの役割とは、スマホやパソコン、ゲーム機などインターネットを利用できる端末と無線で接続することです。

今後は、5Gが利用できるエリアがさらに広がり、高速のインターネットを利用できる環境が整備されることから、インターネットを利用できる端末はさらに増えていくと予想されます。

また、今後は動画の視聴やメタバースの世界を楽しむことなど、データ量を多く消費するコンテンツをスマホなどの端末で利用する機会が増えると予想されます。

今後Wi-Fiに求められることは、複数の端末に高速で通信することです。Wi-Fi 6Eを利用すればそれが可能になることでしょう。

Wi-Fi 6Eに対応する機器が必要

Wi-Fi 6Eならではの高速で安定的な通信を利用するためには、Wi-Fi 6Eに対応する機器が必要となります。

具体的な機器としては、Wi-Fiの電波を送信するルーターと、Wi-Fiの電波を受信するスマホやパソコンなどの端末があげられます。

海外でWi-Fi 6Eを利用できる地域では、Wi-Fi 6E対応のルーターが販売されています。

ただし、日本では2022年2月時点でWi-Fi 6Eに対応する周波数帯である6GHz帯が割り当てられていないため、日本ではWi-Fi 6Eに対応するルーターを利用できません。

今後、日本でも6GHz帯が割り当てられ、Wi-Fi 6Eを利用できるようになれば、Wi-Fi 6Eに対応するルーターやスマホ、パソコンが発売され、Wi-Fi 6Eならではの高速で安定した通信が可能になることでしょう。

Wi-Fi 6Eを利用することで、Wi-Fi 7の導入が円滑に

Wi-Fi 6に次ぐWi-Fi規格としては「Wi-Fi 7」(仮称)があげられます。

Wi-Fi 7は2022年2月時点で標準化を目指している段階であるため、Wi-Fi規格に関する国際的な業界団体「Wi-Fi Alliance」から正式な認定を受けていません。そのため、Wi-Fi 7という名称はあくまでも仮称となっています。

Wi-Fi 7の確定版がリリースされるのは、2024年の予定です。

Wi-Fi 7の最大通信速度、割り当てられている周波数帯についてまとめると下記の通りとなります。

・最大通信速度:46Gbps
・周波数帯:2.4GHz帯 / 5GHz帯 / 6GHz帯
・最大帯域幅:320MHz

Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6と比べると最大通信速度が格段に向上するほか、最大帯域幅は160MHzから320MHzへと広がります。

なお、利用できる周波数帯は2.4GHz帯、 5GHz帯、 6GHz帯の3種類で、Wi-Fi 6Eと同様です。

Wi-Fi 6EとWi-Fi 7で利用できる周波数は同じであるため、Wi-Fi 6Eの利用が始まれば、同じ周波数帯を利用するWi-Fi 7の導入がスムーズに進められると予想されます。

仮に、Wi-Fi 6Eという規格が存在せず、Wi-Fi 6の次の規格がWi-Fi 7となる場合、Wi-Fi 7を導入する前に6GHzの周波数帯を割り当てなければなりません。

もし、6GHzの周波数帯の導入が遅れてしまうと、諸外国に比べてWi-Fi 7の利用開始が遅くなることも考えられます。

それにより、日本は高速のWi-Fi環境の普及が諸外国よりも遅れてしまうことにもなりかねません。

その点、Wi-Fi 6Eという規格の利用が始まっていれば、その時点で6GHz帯を割り当てられるため、Wi-Fi 7が導入されたときにも6GHz帯を利用できます。

Wi-Fi 6Eを利用することで、Wi-Fi 7の導入がスムーズに進むとみられます。

まとめ

まとめ

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eの違いは利用できる周波数帯が異なる点です。 

Wi-Fi 6が利用できる周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯であるのに対し、Wi-Fi 6Eはそれに加えて6GHz帯も利用できます。

6GHz帯も含めると、2.4GHz帯や5GHz帯のみの場合と比べると利用できる周波数帯が増えます。

周波数帯が広がれば、チャンネル幅が広い80MHzや160MHzを利用しやすくなるため、通信が混雑しにくくなり、通信は高速で安定的なものとなります。

この点が、Wi-Fi 6Eを利用するメリットといえます。

Wi-Fi 6Eは2021年の時点で世界的に利用可能となっていますが、利用するための条件は6GHz帯が割り当てられていることです。

日本では、2022年2月の時点ではWi-Fi 6E向けに6GHz帯が割り当てられていません。しかし、今後、6GHz帯が割り当てられれば日本でもWi-Fi 6Eの利用が可能になっていくでしょう。

なお、Wi-Fi 6Eを利用するためには、ルーターやスマホなどの端末がそれに対応している必要があります。

高速で安定的なWi-Fi規格である「Wi-Fi 6E」を利用できれば、インターネットがより快適になることでしょう。

PHOTO:PhotoAC/Pixabay
TEXT:PreBell編集部

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