高騰する電気料金の救世主?「ネットと電気のセット割引」について徹底解説!
2016年4月に「電力の小売り自由化」が認められたこともあり、電力事業に大企業が参入。
「ガスと電気」「ネットと電気」など、お得な「セット割引プラン」が続々と登場しています。
最近、電気料金の請求書を見るたびに「こんなに電気を使った覚えはないのに」「去年の同じ季節に比べて随分高い」と思っている方も多いのではないでしょうか。
お得なセット割引を利用して、少しでも電気代を抑えることができれば嬉しいですよね。
この記事では「ネットと電気のセット割引」のメリット・デメリット、「NUROでんき」「auでんき」など主要なサービスについて解説します。
POINT
- 石炭やLNGなどエネルギー価格の高騰、老朽化した火力発電の休止や廃止、再エネ賦課金の影響により電気料金の高騰が続いている。
- 「ネットと電気のセット割引」を適用することで、電気代を安く抑えられるだけでなく、家計管理が楽になり、万が一の災害時の負担を軽減するメリットがある。
- 「ネットと電気のセット割引」には、「電気料金からの割引」と「ポイントによる還元」があり、現在使用しているスマートフォンやネット回線の利用状況に合わせた検討が必要。
2022年7月、東京電力では306円、中部電力では260円上昇するなど4社が電気料金の値上げを発表しました。
一般的な家庭における7月の電気料金は、東京電力では8871円、昨年7月の6973円と比べて1,898円、27.2%の上昇がみられます。
急激に電気料金が値上げされた背景には何があるのでしょうか?
日本では総発電量のうち、70%以上を火力発電が占めています。
さらに、その内訳はLNG(液化天然ガス)が約40%、石炭が30%、石油が6%で、ほぼ全てを輸入燃料に頼っているため、石炭やLNGの価格が高騰すると電気代も値上がりするというシステム。
特に、LNGの多くは10年間の長期的な契約を結んでいますが、その価格は3ヶ月分の原油価格によって変動します。
新型コロナウイルスにより経済が停滞した時期には、原油価格も一時的に下落しましたが、その後、経済再開に需要が追いつかず、価格が上昇し電気代の高騰が続いています。
ここ数年、老朽化した火力発電所の休廃止が相次いでいます。2021年は、火力発電所停止により電力供給量が830万kW減少しました。
電力の需要に対する供給力の余裕がどれくらいあるかの指標となる「電力供給予備率」は僅か8%しかないため、夏の電力ひっ迫が懸念されています。
再エネ賦課金とは「風力や太陽光、バイオマスなどの再エネを、促進・普及するために電気使用者が負担している費用」。
再エネ賦課金は1ヶ月の使用電力量と単価を掛け合わせて決まります。
2020年度は「1kWhあたり2.98円」でしたが、2021年度は「1kWhあたり3.36円」。
再エネ賦課金は、2012年の導入時の「1kWhあたり0.22円」から大幅に値上げされています。
2016年4月1日以降、電気の小売業への参入が全面的に自由化され、電力会社や料金メニューをユーザーが自由に選択できるようになりました。
新しく電気事業に参入した企業は、顧客層を取り込むために、既存事業と電力事業を組み合わせたセット割引を展開しています。
高騰する電気料金を少しでも抑えることができるのであれば「セット割引」は非常に魅力的。
今回は「ネットと電気料金のセット割引」のメリット・デメリットについてまとめました。
ネットと電気料金のセット割引を適用した場合のメリットは以下の通りです。
ネットと電気をまとめて契約すれば月々の利用料金が安くなる「セット割引」や「ポイント還元」が適用されるケースが増えています。
これから詳しく紹介しますが、例えば、「NUROでんき」やソフトバンクの「おうちでんき」では、電気料金から一定の金額が毎月割引されます。
また、auやドコモは、割引はありませんが、電気の使用量に応じて自動的にポイントが還元されます。
今後、さらなる値上がりが予測されるなかで電気料金の割引やポイント還元は心強いですね。
ネットと電気を同じ業者で契約すれば、プロバイダーなどに支払う通信費と電気料金の支払先が一本化されます。
支払先が同じであれば、引き落としの口座は1つで、月々の請求書も1枚で済むので家計管理も楽になるのではないでしょうか。
引越しの際にはさまざまな手続きが必要ですが、ネットと電気をまとめて契約している場合、切り替えの手続きが簡略化されるので便利です。
通常、ネットや電気でトラブルが発生した場合、「電気のことは電力会社」「ネットはプロバイダーなどの事業者」に個別で問い合わせをします。
しかし、ネットと電気をまとめて契約すると、問い合わせ先が一本化されるので、緊急時にも慌てることはありません。
地震や台風など状況によっては、全てのライフラインが利用できなくなる可能性があります。
災害時に連絡する事業者を少しでも減らすことは、メリットといえるでしょう。
ネットと電気料金のセット割引を適用した場合のデメリットは以下の通りです。
世帯数やネットの利用状況によっては、電気料金だけで安くなる会社と契約した方がセット割引にするより節約額が大きくなる場合もあります。
それぞれのセット割引の内容を把握した上で、総合的に安くなるかどうかを慎重に検討する必要があるでしょう。
「ネットと電気のセット割引」では、違約金などの「解約条件」「割引の適用条件」「契約期間」を必ず確認した上で契約しましょう。
ネットやプロバイダーの契約は非常に複雑ですが、電気が加わることで、一層複雑になります。
電気とネットは全く性質の異なるサービスなので、電気とネットそれぞれ個別に格安のサービスがあった場合に解約しづらくなるかもしれません。
おすすめのネットと電気のセット割を紹介します。
高速インターネットとして人気のNURO光は、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供しているインターネットサービス。
NURO光とNUROでんきをセットで利用することで割引を受けられます。
【セット割の対象】
NURO光とNUROでんきのユーザー
【割引額と割引方法】
NUROでんきの月額料金が毎月501円割引
月額基本料金1年間0円(新規3年契約プランの場合)
東京電力エナジーパートナー(従量電灯Bもしくは従量電灯C)と比べて、使用量に関わらず電気+NURO 光の料金が安くなるので、電気をあまり使わない単身世帯の方も、大家族の方もどちらもお得になります。
さらに、NUROガスをセットにすると毎月200円割引。合計すると701円の割引になります。
【NUROでんき・NUROガスの提供エリア】
NUROでんき
北海道、関東、東海、関西、中国、九州エリアで提供されていますが、一部対象外有り
NUROガス
日立市を除く東京ガスの供給エリア東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬で利用可能
NURO電気セット割引はこちら
https://www.nuro.jp/hikari/campaign/denki/
※2022年7月現在
ワイモバイルやソフトバンクのスマートフォンを利用している方は「おうちでんき」をすすめられた経験があるかもしれません。
おうちでんきとは、ソフトバンクが提供する「ソフトバンクでんき」の料金プランの名称。
「ソフトバンクでんき」のなかに、「おうちでんき」という料金プランがあるというイメージです。
【おうち割の対象】
対象サービスはソフトバンクの携帯電話・スマートフォン・タブレット・固定回線。
【割引額と割引方法】
毎月110円の割引
最大10回線まで2年間セットにしているスマホ・ケータイか、インターネット回線の月額料金から割り引かれます。
スマホやケータイなど1回線 電力会社の従量料金
24ヵ月目まで:110円/月割引
25か月目以降:55円/月割引
月額料金に応じてPayPayポイントへの還元もあります。
【おうちでんきの提供エリア】
おうちでんきはこちら
https://www.softbank.jp/energy/special/ouchi-denki/
※2022年7月現在
「auでんきポイントで還元」は、auでんきとauひかり、au携帯・スマートフォンをセットで契約していると、月額の電気の使用量に応じて自動的にPontaポイントが還元されるサービス。
今までと同じように電気を使うだけで「Pontaポイント」がたまります。
さらに、たまったPontaポイントは、au PAYへチャージが可能。ショップやコンビニ、ドラッグストアなどで利用できます。
【セット割の対象】
auでんきセット割適用の条件
1. auでんきをau携帯・スマホ、またはauひかりとセットで契約している
2.au WALLETのプリペイドカード、またはクレジットカードを契約している
2つの条件を満たしていれば、利用金額に応じてau WALLETにポイントがチャージされます。
【割引額と割引方法】
毎月の電気料金が5,000円未満では1%、5,000円以上8,000円未満では3%、8,000円以上では5%の還元率でau WALLETのポイントチャージ。
チャージされたポイントは、1ポイント=1円として、全国のスーパーやコンビニ、スマホ代の支払いに利用できます。
例えば、月の電気代が8,400円だった場合。ポイント還元率は5%になるので、キャッシュバックされるのは420円になります。
※再生エネルギー発電促進賊課金、燃料費調整額、消費税相当額を除いた金額から算出されます。
公式サイトはこちら
auでんき
https://www.au.com/electricity/
※2022年7月現在
ドコモでんき dポイント還元
携帯3キャリアの中で電力サービスを提供していなかったドコモですが、2022年3月から電力事業に参入しました。
ドコモでは、ネット(ドコモひかり)と電気の「セット割引」はありませんが、ドコモひかりスマートフォンとセットで利用すると、毎月の電気料金に応じたdポイントが還元されます。
【ポイント還元の対象】
対象のプランは、ギガホ/ギガライト/ahamo/キッズケータイ/home 5G プラン、LTE上空利用プラン、U15はじめてスマホプラン
【還元率と還元方法】
ドコモでんきのプランは「ドコモでんきGreen」と「ドコモでんきBasic」の2つで、還元率はそれぞれ異なります。
ドコモでんきGreen:3%
ドコモでんきBasic:2%
ahamoを含むドコモ回線の対象プランを契約中の場合、dポイントの還元率がさらにアップします。
ドコモでんきGreen:3%→5%
ドコモでんきBasic:2%→3%
さらに、ドコモでんきGreenの場合、dカードのGOLD会員であれば、通常5%のdポイント還元率が10%にアップします。
【提供エリア】
ドコモでんきは、沖縄県と島しょ部を除く全国で提供されます。
公式サイトはこちら
docomoでんき
https://www.docomo.ne.jp/denki/
※2022年7月現在
総発電量の7割を火力発電に頼る日本の電気料金は、燃料となる石炭やLNGなどのエネルギー価格と密接な関係があります。
長引くロシアのウクライナ侵攻や大規模な自然災害の影響などにより、石油価格が高騰すれば、さらなる電気料金の値上げは十分にあり得るでしょう。
また、「再エネ賦課金の推移」によれば、2030年度における国民の負担は2030年時点で1kWhあたり最大4.1円になると予測されています。
厳しい状況は続きますが、この機会に、「電気とネットのセット割引」や「ポイント還元サービス」を検討し、お得に楽しく節約する方法を検討してはいかがでしょうか?
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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