今さら聞けないシリーズ!世界を牽引するGAFAMについて徹底解説
Google、Facebook(現Meta Platforms)、Apple、Amazon、Microsoft、世界で圧倒的な力を持つ企業の頭文字をとってGAFAMと呼びます。
2020年には時価総額が550兆円を超え、日本の上場企業2170社の時価総額を上回り注目を集めました。
この5社のビッグテック企業は、世界経済や私たちの生活にどのような影響を与えているのでしょうか。
GAFAMが抱える問題とそれらを解決する方法について徹底的に解説いたします。
POINT
- 「GAFAM」と呼ばれるGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社は時価総額ランキング上位を占め、世界経済や個人の生活に大きな影響を与えている。
- 「GAFAM」は日本独自の呼び方で、アメリカでは「ビッグ・テック(Big Tech)」または「巨大IT企業」と呼ぶのが一般的。
- 「GAFAM」は日本独自の呼び方で、アメリカでは「ビッグ・テック(Big Tech)」または「巨大IT企業」と呼ぶのが一般的。
- 市場の独占や個人情報保護、脱税の疑いなど「GAFAM」は多くの問題を抱えている。
- 解決に向けて、GDPR(EU一般データ保護規制)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)の施行、OEDC(経済協力開発機構)による多国籍企業の税逃れを防止する新たな国際課税ルールの合意など世界的な動きがみられる。
GAFAMのことを知らないユーザーはいないと思いますが、創業時期や代表的な製品やサービス、最近の動向について簡単にご紹介します。
Googleは、1998年9月にラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって創設され、わずか20年で従業員数約14万人の巨大企業へと成長しました。
Googleの中核は検索エンジンですが、Eメールソフトである「Gmail」やWebブラウザ「GoogleChrome」、動画配信サービスの「YouTube」やスマホOS「Android」など、Googleが提供するサービスは多岐にわたります。
Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を企業目標に掲げて、数多くのサービスから得たデータを生かしてさらなるサービスを展開しています。
Appleは、1976年4月スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックによって創設されました。
2022年1月には世界で初めて時価総額3兆ドルを突破し、大きな話題となりました。6月末日時点では2.2兆ドル、従業員数約147,000人、アメリカを代表するビッグテック企業のひとつです。
Appleは主にiPhoneやMacなどのハードウェア製品、付随するソフトウェア開発を行っていますが、自社でソフト開発とハード開発を一貫して行っていることが特徴です。
シンプルでスタイリッシュなデザインから、「デジタル端末はすべてApple製品」というユーザーも多いのではないでしょうか。
Appleは、ミッションや企業理念をWebサイトなどに掲載していませんが、あるプレリリースでは「Appleの10万人以上の従業員は、地球上で最高の製品を作り、私たちが見つけたよりも良い世界に導いていきます。」という文章が掲載されています。
Facebookは、2004年2月にマーク・ザッカーバーグ他4名によって創設されました。
同社が提供するサービス「Facebook」は世界最大級のSNSとも呼ばれ、世界の4人に1人がユーザーと言われています。
世界的なIT企業として知られるFacebookですが、2021年10月28日には社名を「Meta Platforms」に変更しました。
社名を変える直接の理由は、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用するメタバースの構築を優先させるためで、2021年だけで約100億ドルが投じられています。
同社のミッションは創業以来「人と人との繋がりをサポートし、よりオープンで繋がった世界を実現する」でしたが、2017年に「コミュニティ作りを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」に変更されました。
近年、情報保護やセキュリティ問題に直面し、多くの課題を抱える中で今後の動向が注目されています。
世界最大級の通販サイトとして知られる「Amazon」は、1994年7月、シアトルにあるジェフ・ベゾス氏の自宅ガレージで「Cadabra.com」という社名でスタートしました。
翌年、社名を“Amazon.com”に変更し、本格的に事業をスタート。わずか1ヶ月でアメリカ全州、世界45カ国へ本を発送し、2ヶ月後には、1週間の売上が2万ドルにまで達しています。
設立から3年後の1997年、米株式市場ナスダックへの上場を果たし、2001年のITバブル崩壊を乗り越えて、2005年には「Amazon prime」、2007年に「Kindle」、2015年に「prime Video」などサービスを拡大。
2018年には米株式市場でAppleに続く2社目の時価総額1兆ドル超えを果たしています。
Amazonのビジョンは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」であり、創業者ジェフ・ベゾス氏が頻繁に使う言葉のひとつである「顧客は常に正しい」にも表れています。
アメリカの最大手のソフトウェア開発会社Microsoftは、 1975年にビル・ゲイツ氏とポール・アレン氏によって設立。
Microsoftは、1985年に世界で初めてPC向けのOSであるWindowsを開発、1990年に「Excel」、「Word」、「PowerPoint」などビジネスになくてはならないソフトウェア「Microsoft Office」を販売しました。
さらに、1995年にウェブブラウザの「Internet Explorer」をリリースしています。
ビル・ゲイツが1980年代に掲げたミッションは「すべてのデスクと、すべての家庭に1台のコンピューターを」でした。
その後、何度か変更を繰り返し、現在は、2014年にCEOに就任したサティア・ナデラ氏によって「地球上のすべての個人とすべての組織が より多くのことを達成できるようにする」をミッションとして掲げています。
日本では流行語大賞にノミネートされ、新聞や雑誌などで用いられている「GAFAM」という言葉ですが、日本固有の呼び名であることはあまり知られていないかもしれません。
そもそも、「GAFAM」が日本で広く知られるようになったのは、2018年に東洋経済新報社から出版された「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」と言われていますが、本の表紙には大きく「GAFA」の文字が並んでいます。
一方、アメリカで2017年10月に発売された原著のタイトルは「The Four: The Hidden DNA of Amazon, Apple, Facebook, and Google」ですが、表紙にはGAFAの文字はありません。
さらに、GAFAをタイトルに含む書籍はほとんど存在しないようです。
アメリカでは、GAFAを「ビッグ・テック(Big Tech)」または「巨大IT企業」と呼ぶのが一般的です。
急速な成長を遂げて規模を拡大してきたGAFAMは、世界経済や私たちの生活にどのような影響を与えているのでしょうか。
GAFAMの売上高の推移を見ると、2018年以降、5社共に増加傾向が続いています。
2021年9月末までの1年間の売上は、GAFAM5社で合計1兆3500億ドル。
利益はMicrosoftが43%増、Amazon51%増、Facebook59%増、Apple65%増、Google98%増という驚異的な伸びを示しています。
2021年9月にブルームバーグが公表した世界の株式時価総額ランキングによると、トップ10の中にGAFAM5社全てがランクインしました。
Googleは検索エンジン、Appleは通信機器、FacebookはSNS、AmazonはECサイトなど企業にとって必要不可欠な要素を担っています。
例えば、「Google Workspace」は、全世界で500万社以上の導入実績や導入企業があります。
Facebook上の公式アカウントからの情報発信及びプロモーション、Amazonマーケットプレイスへの出店などコストを最小限に抑えてビジネスをスタートできるのが大きな魅力と言えるでしょう。
GAFAMが提供する製品・サービスは、利便性やクオリティが高く、世界中のユーザーに利用されています。
例えば、2021年第4四半期のスマホ販売台数では、8,297万台を売り上げたAppleが1位でシェアは21.9%。
Facebookの全世界のユーザー数は、2021年12月時点で約29.1億人、Instagramを含むアクティブユーザーは38億人を超えています。
さらに、Googleが運営するYouTubeはアクティブユーザー20億人以上、1日当たりの動画視聴時間は約10億時間。
世界の人口が約79億人とすると、世界の半数がInstagramを含むFacebookを利用し、20億人以上の人がYouTubeを使って毎日30分以上動画を視聴しています。
GAFAMのサービスは私たちの生活に深く浸透していると言えるでしょう。
驚異的な成長を遂げ、世界経済に大きな影響を与える「GAFAM」ですが、さまざまな問題に直面しています。
GAFAMは、売上や時価総額だけでなく、提供するサービスも含めた市場の独占が世界的に問題視されています。
GAFAMが提供するサービスは多くの国で「社会インフラ」になり、新たな企業が新規で参入する機会を喪失させているのではないかと懸念されています。
GAFAMが成長した理由として、膨大な企業や個人のデータ収集によるビッグデータの活用が考えられます。
GAFAMは、便利なサービスを提供したり、格安でハードウェアを販売することで、膨大な情報を収集してきました。
個人情報を匿名データとして扱ったとしても、情報を組み合わせることで個人が特定できてしまうので、プライバシー侵害の可能性は否定し切れません。
GAFAMは毎年莫大な利益をあげていますが、それに見合った金額を納税していないのではないかという指摘をされています。
GAFAMのビジネスモデルは、オペレーティングシステムやハードウェアなど基幹部分である「プラットフォーム」にあるため、企業価値は「無形資産」に変わってしまいました。
「無形資産」は権利の移転が難しくないため、税率が低い国に移転することが可能です。
実際、世界で最大24兆円もの法人税逃れをしているという指摘もあり、法制度の整備が追いついていないことが問題視されています。
GAFAMが直面している市場独占や個人情報、納税に関する問題を解決する取組みをご紹介します。
2021年6月に米下院の超党派議員らによって巨大IT企業への規制を強化する米国の独占禁止法(反トラスト法)の5つの改正案が提出されました。
例えば、改正案のひとつである「自社製品の優遇禁止法案」は、各プラットフォームに自社の製品やサービス優遇を禁じる内容で、法案が採択された場合、AppleはアプリストアでApple MusicをSpotifyよりも優先して表示することができなくなります。
EU(欧州連合)でも、2022年5月にAppleに対し、ios端末上のモバイルウォレットにおいて支配的地位を乱用し競争を制限したことを指摘するなど独占を抑制する動きが世界中で広がっています。
2018年5月にはGDPR(EU 一般データ保護規則)、2020年1月にはCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行されました。
EUによるGDPRは、個人が自分の個人データをコントロールする権利を取り戻し、欧州連合域内の規制と統合を目的とし、処理記録の保管などデータ処理について厳しく定められています。
一方、CCPAでは、位置情報、インターネット閲覧履歴、検索履歴、ショッピング履歴なども個人データとして扱われます。
IT産業の中心地である米国で最も人口が多いカリフォルニアでの個人情報に関する規制は、米国のみならず世界各国に影響を与えるでしょう。
2021年6月、経済協力開発機構(OECD)は、多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールに関する交渉会合を開き、136カ国・地域が最終合意したと発表しました。
世界共通の法人税の最低税率を15%に設定することと、国境を越えて活動する巨大IT企業などに対するデジタル課税の導入の2本柱で、各国・地域は2022年に条約の締結や法改正を進め、23年から導入されます。
バイデン政権は「国境を越えて活動する巨大多国籍企業を対象とする新たな税」を打ちだし「革命的」と評価されていましたが、最終合意を受けて「高収益企業が公正な税負担を追う」動きが加速するでしょう。
GAFAMが提供するサービスは、すでに多くの国で「社会インフラ」となり、ビジネスや私たちの日常生活に深く浸透しています。
しかし、多国籍企業ならではの「税の不平等」やGAFAMのサービスが与えるビジネスや個人への強すぎる影響力は、国際社会における大きな問題となっています。
今後、「ブロックチェーン」の技術により、現在の中央集権型のインターネットサービスから権力分散型へと進化するなかで、企業のあり方も大きく変化する可能性があります。
私たちユーザーは、日常生活に大きな影響を与えるGAFAMがどのように成長していくのか、GAFAMに挑む企業は現れるのかを注意深く見守る必要があるでしょう。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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