インターネットやWebはどのように生まれ、これからどのように変化していくのだろうか?
現在、Webは社会インフラとなるレベルになりました。
それに伴い、「Web3.0」や「Web2.0」といった単語も見聞きするようになりました。
ですが、それらの言葉を具体的に理解している方は多くありません。
特に、「Web」という単語に関しては、Web=「ウェブサイト」や「アプリに関する何か」の理解で止まってしまっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、Webとは何なのか、過去30年での変化を徹底的に解説します。
POINT
- Webとは「ネット上の文字や動画、画像を利用できるシステム」のこと
- Web1.0(1990年代〜2000年代初頭)は「テキストの表示」、「発信者の一方的なコミュニケーション」が特徴
- Web2.0は「SNSを駆使した双方向のコミュニケーション」、「GAFAMの台頭」が特徴
- Web3.0は「ブロックチェーン技術を使ったGAFAMからの脱却」、「セキュリティの向上」が特徴
Webとは、World Wide Webの略で、「ネット上の文字や動画、画像を表示出来るシステム」のことです。
例えば、今この記事を読まれているこのページも、「ネット上にある文字や画像」を「Web」のシステムを利用して表示しています。
このページだけではなく、現在日常的に使用しているネット上のサービスも、ほぼ全てこの「Web」のシステムを使用しています。
例としてはこのようなものがあります。
● YouTube:Webのシステムを使って、ネット上の動画を表示
● Instagram:Webのシステムを使って、ネット上の画像と動画を表示
● ブログ:Webのシステムを使って、ネット上の画像とテキストを表示
このように、「ネット上にある文字や画像、動画を表示するシステム」が「Web」の本来の意味です。
1991年に始まったとされているWebは、「テキスト」のネット上への公開からその歴史が始まりました。
この90年代半ば~2000年代初頭のことのWebを指して、「Web1.0」と呼ばれています。
Web1.0の時代には以下のような特徴があります。
● 「テキスト」の時代
● 発信者の一方的な情報発信
Web1.0は「テキスト」の時代と言われています。
90年代半ばのWindows1995の発売により、情報を個人でもWebを使ってネット上に公開することが可能になってきました。
ですが、この時代のインターネットやPCの性能は、今のものとは比較にならない程遅かったため、画像の表示はかなり難しいものでした。
したがって、Web上での「テキストの公開、閲覧」がWeb1.0の時代の主流だったとされています。
Web1.0の時代は、「一部の情報発信者による一方的な情報発信」も特徴でした。
この時代は、現在のように容易にコミュニケーションが出来るSNS等が発達していません。
かつ、PCのUI(画面操作の操作しやすさ)が易しいものではなく、情報発信にはPCの専門知識が必要になる時代でした。
そのため、大半のWeb利用者が「ネット上のテキストを見る」のみで、一部の「PCオタク」と言われるような人たちの「一方的な情報発信」が時代の主流と言われています。
2000年代半ばに入ると、PCの性能やネットの速度は格段に上がり、テキストだけでなく「画像」や「動画」もWeb上に表示が出来るようになってきました。
画像や動画の表示が容易になってきたため、現在も使われているSNS(YouTube、Twitter、Facebook等)が登場してきたのもこの時代です。
この2000年代半ば〜2010年代後半のことのWebを指して、「Web2.0」と呼ばれています。
この時代の特徴は以下の2つです。
● SNSを使った双方向のコミュニケーション
● Webを駆使した巨大企業の時代
Web1.0との違いは「双方向」の発信です。
Web1.0の時代は一部の専門知識を持った人が発信をするのみでしたが、Web2.0の時代は個々人が発信できるようになりました。
加えて、SNSといったWebを使ったサービスが出てきて、「発信者同士」のコミュニケーションが出来るようになりました。
たとえば、Twitterを使えば「いいね」、「リツイート」、「DM」等で発信者同士でのコミュニケーションが可能です。
こういった「発信者同士のコミュニケーション」がWeb2.0の時代のWebの特徴の一つです。
GAFAM(Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple、Amazon)と呼ばれる巨大企業の出現もWeb2.0の大きな特徴です。
Web2.0では、個々人の発信が大きく変化したことに加え、企業としての発信活動も大きく変化しました。
「テキスト」だけでなく「動画」や「画像」も発信出来るようになったため、それに付随するビジネスが急拡大しました。
たとえば、Webを使った動画サービスであるYouTubeを運営するGoogleは、2021年時点の第四半期のみで612億ドル(約7兆300億円)の広告収入を得ています。
2010年代後半には、Webの大幅な発展により、人々の生活の急激なIT化が進みました。
世界中の人が、毎日のようにGoogleで検索をして、Amazonで買い物をし、Apple製品を持ち、Microsoftの製品で仕事をするようになります。
その結果、世界中の人々や企業の個人情報やデータをGAFAMの5社に囲い込まれた状態となり、セキュリティリスクや5社の影響力が強すぎることが問題視されてきました。
2020年代以降、このGAFAMの囲い込みの状態から脱却を目指す動きが盛んとなり、これをWeb3.0の時代と呼んでいます。
これからのWeb3.0時代の特徴は以下の3つです。
● ブロックチェーン技術の発展
● GAFAMからの脱却
●セキュリティの向上
Web3.0の時代には、「ブロックチェーン技術」が発展してきました。
ブロックチェーン技術とは、「Web上に存在する文字や画像に、書き換えられない情報を記録する」技術のことです。
ブロックチェーン技術を理解するためには、絵画をイメージすると理解しやすいです。
絵画が完成したら、それを描いた人は最後に、「自分の名前」と「描いた年」を絵の裏等に記入します。
後ほど、そのサインを見た人は「この人が〇〇年に描いた絵なんだな」と誰でも理解することが可能な上、サインは後ほど消して書き換えようとしても書き換えられません。
これと同じことをネット上の文字や画像にも可能にしたのが、ブロックチェーン技術のことです。
例えば、Twitterのツイートの文字自体に「この人が〇〇年〇〇月〇〇日にツイートしました」といった絵画のサインのような発信者の情報を記入することが可能となります。
ブロックチェーン技術を使うと、SNS運営会社に個人情報を渡すことなくSNSを利用することも可能になります。
もし絵画に氏名と描いた年のサインが入っていれば、誰でも「この人がいつ描いた」という情報は分かります。
そうなると、絵を描く人は、自分の氏名や描かれた年を別の誰かに教える必要はありません。
ブロックチェーン技術を使えば、これと同じことをSNSの発信でも可能となります。
発信をした文字や画像自体に、「この人が〇〇年〇〇月〇〇日に発信しました」といった絵画のサインのような発信者の情報を記載することが可能となります。
結果、SNS運営会社に「この人が〇〇年〇〇月〇〇日に発信しました」といった情報を渡すことなく、SNSを利用することが可能となります。
このようなシステムを使って、「GAFAM」が個人情報を収集する流れからの脱却を達成しようとするのが、Web3.0の大きな特徴です。
それぞれのデータに情報が紐づいているブロックチェーン技術を使うと、セキュリティも向上します。
たとえば、Web2.0までのSNSでは、たとえばMeta社のサーバーがハッキングされた場合、Instagram、Facebookに登録されている個人情報のデータが漏洩するリスクがあります。
ですが、Web3.0時代で主流になると言われているブロックチェーンを使うと、発信内容やアカウント自体に情報が紐づくため、Meta社は個人情報を管理する必要がなくなります。
そうすると、Meta社がハッキングされても、自分の個人情報を守ることが可能です。
こういった高いセキュリティもWeb3.0の特徴です。
Webとは「ネット上の文字や動画、画像を表示出来るシステム」のことです。
テキストの表示と一方的なコミュニケーションが主だったWeb1.0の時代から、動画と画像の表示とSNSを使った双方のコミュニケーションが主となるWeb2.0の時代を経て、発展をしてきました。
これからの時代は、ブロックチェーン技術を使って、SNSを運営する会社の囲い込みから脱却を目指す、Web3.0の時代となってきます。
「Web」という言葉を聞いたら、このような時代の変遷を経て発展してきたものと理解して、ぜひIT関連のニュースに注目してみてください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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