​「映え」を狙わないSNS、「Be Real」とは何か?
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2022.11.04 ​「映え」を狙わないSNS、「Be Real」とは何か?

SNSの発展に伴って、「映え」といった言葉をよく耳にするようになってきました。

それに伴い、SNS上でキラキラした人と自分を比較してしまい、「SNS疲れ」に陥る人も増えてきています。

実際、FacebookやInstagramを運営するMeta側でも、SNSが青少年の自己肯定感に影響を及ぼす可能性があるとの調査結果を2021年にまとめています。

この流れから、SNS映えを出来なくするSNS、「Be Real」の人気が高まっています。

この記事では、初心者にも分かりやすく「Be real」とは何か、その市場についても解説していきます。

POINT

  • SNSには「抑うつの助長」や「自己肯定感の低下」等のネガティブな側面がある
  • Be realはそういったネガティブな側面を排除するため、「リアルな姿をシェアすること」を目的としたSNS
  • 「フィルター等の画像加工が使えない」、「内カメラと外カメラの同時撮影だけ」、「投稿する時間がアプリに指定される」、「指定された時間以外の投稿は閲覧者から分かる」といった仕組みがある
  • 全世界のユーザー数はまだ2100万人とされているが、2022年8月時点でのApp Storeでのダウンロード数が1位になるなど、ユーザー数の急速な増加がみられる。
SNS映えを出来なくするSNS「Be Real」

開発のきっかけとなった、SNSの青少年への影響

開発のきっかけ

まず初めに、「Be Real」の開発のきっかけとなったSNSの青少年への悪影響について解説をしていきます。

SNSは、心理学の分野で積極的に研究がされています。

それによると、長時間のSNS利用は抑うつの助長や自己肯定感の低下を招くなど、SNSにはネガティブな側面があることが分かってきています。

その理由は、「良く見せられた他人と自分を比較してしまうから」です。

SNSを閲覧していると、「良く見せられた他人と自分の比較」を無意識に行ってしまいます。

SNSのネガティブな側面

InstagramやTikTokであれば、「映える」ように操作された他人の写真や動画を見ることにより、「なんで自分はこの人のように充実していないんだ」と自分自身と他人を比較してしまうことがあります。

この「良く見せられた他人と自分の比較」が、抑うつの助長や自己肯定感の低下を招いています。

実際、カナダのライアソン大学で2019年に実施された研究によると、他人と自分の比較の時間が長くなるため、SNSの使用時間と抑うつ傾向が関連しているとされています。

SNSによる自己肯定感の低下

加えて、UnicefもSNSは青少年のメンタル疾患との相関を危惧した記事を発表しています。

このように、SNSで「良く見せられた他人と比較してしまう」ことで、自己肯定感の低下を招くことがあると分かっています。

「Be Real」は、こうした「良く見せられた他人との比較」を出来ないようにしたSNSです。

Be Realとは?

Be Realとは?

Be Realは、2020年にフランスの企業によって開発された、従来のような写真投稿が出来るSNSです。

他のSNSと違う点は、「ありのままの姿を映すことを目的とした」SNSという点です。

Be Realでは、青少年のメンタルに悪影響を及ぼすとされている、「良く見せられた他人と比較する機会」が排除されています。

Be Realは以下4つのような特徴を持っています。

・フィルター等の画像加工が使えない
・内カメラ、外カメラの同時撮影のみ
・好きな時間に投稿が出来ない
・指定時間以外の投稿は、閲覧者から分かるようになっている

以下に詳しく解説していきます。

1.フィルター等の画像加工が使えない

フィルター等の画像加工が使えない

1つ目の特徴が、「フィルター等の画像加工が使えない」という点です。

Be Realでは、従来のSNSと同じように写真の投稿が可能です。

ですが、IntagramやTikTokのように画像の明るさを変えて、見栄えを良くするといった画像加工が一切出来ないようになっています。

たとえば、Be Real上で風景の画像を撮った場合、明るさの調整等が入らず、撮った画像がそのまま投稿されます。

明るさだけでなく、スタンプや色調整等の画像加工も一切出来なくなっています。

写真の加工が出来ないことにより、実際自分がありのままで見ている風景よりも良く見せることが出来なくなっています。

結果として、「良く見せられた他人と比較する機会」を減らすことができます。

2.内カメラ、外カメラの同時撮影のみ

内カメラ、外カメラの同時撮影のみ

2つ目の特徴が、投稿できる画像の種類です。

通常のSNSであれば、内カメラでの自撮り、外カメラでの撮影どちらでも投稿が可能です。

ですが、Be Realでは「内カメラでの自撮り」と「外カメラでの撮影」の同時撮影の画像でしか投稿が出来なくなっています。

実際の投稿画面は以下の通りです。(参照:Be realホームページより(https://bere.al/en))

実際の投稿画面

上記のように、「風景だけ」撮影、「自撮りだけ」撮影ということが出来なくなっており、「風景」と「自撮り」が同時に表示されます。

風景と自撮りの同時撮影のみが出来ることで、「SNS映え」を狙って見せたいところだけを見せることは出来なくなっています。

この機能により、閲覧者としては「よく見せられた他人と比較する機会」を減らすことができます。

3.投稿をする時間がアプリ側に指定をされる

投稿をする時間は指定

3つ目の特徴が「投稿する時間がアプリ側に指定される」という点です。

通常のSNSアプリであれば、好きな時間に好きな時に投稿が可能です。

ですが、Be Realでは投稿が可能な時間に制限があります。

Be Realのアプリは「写真を投稿してください」という通知を出します。

投稿を促す通知が来てから2分以内でないと、基本的に投稿することが出来なくなっています。

投稿の時間を制限することで、他人が羨ましがるような景色等を狙った投稿が出来なくなります。

こうすることで、閲覧者の「良く見せられた他人と比較する機会」を最小限にすることが目的となっています。

4.指定された時間以外の投稿は閲覧者から分かる

指定された時間以外の投稿は閲覧者から分かる

4つ目の特徴が、アプリで指定された時間以外の投稿は閲覧者から分かるという点です。

アプリ側で通知された時間以外で投稿をすること自体は、機能的には可能になっています。

ですが、「この投稿者は何時間遅れで投稿しました」といったメッセージが閲覧者に表示されます。

この機能により、「SNS映えを狙った時間に投稿したのかな」と閲覧者に分かるようにすることができます。

こうすることで、他人が羨ましがるような投稿を防ぎ、リアルな自分の実際の姿を映すことが可能となります。

Be Realの課題

Be Realの課題

Be Realの課題は、マネタイズが出来ていないという点です。

Be Realは近年出てきたばかりの新しいプラットフォームです。

2022年時点でのアクティブユーザー数はまだ2100万人とされています。(Intagramは約20億人)

そのため、他のSNSで活用されているマネタイズ方法である、広告等の運用がまだされていません。

一方で、Be Realは2022年8月時点でのApp Storeでのダウンロード数が1位になるなど、ユーザー数の急速な増加がみられます。

今後ユーザー数が増加していくにつれて、他のSNSと同様にマネタイズと市場拡大が出来ると予想されています。

まとめ

「SNS疲れ」を無くそうとしているSNS

Be Realとは画像の加工フィルターの排除や、指定時間での投稿などの特徴を通じて「SNS疲れ」を無くそうとしているSNSです。

現状は他のSNSに比べてユーザー数が少ないことで、マネタイズが出来ていないという課題を持っています。

ですが、2022年8月時点でのApp Storeでのダウンロード数が1位になるなど、ユーザー数が急速に増加しているSNSです。

今後、SNS関連のニュースをチェックする際には、Be Realの話題もぜひ同時にチェックをしてみてください。

PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部

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