ソニーの考える2050年の東京とは|AIカウンセラーや水上移動式住居など未来のデザインを紹介!
2050年は、AIが人間を超えるといわれる技術的特異点の2045年より後の世界です。AIが人間を支配するなど暗いイメージもありますが、ソニーが思い描く2050年は、AIと人との前向きな関わり方を提案しています。
今回は、2022年の展示会「ONE DAY, 2022/2050 Sci-Fi Prototyping」で発表されたソニーの考える2050年の未来について解説します。最先端技術を取り入れたデザインとSF作家がコラボレーションした展示では、人の心に寄り添うAIカウンセラーや水上移動式住居などが紹介されました。
こちらの記事ではソニーのその他の最新技術も紹介するので、ソニーと一緒に未来のAIとの関わり方について考えてみましょう。
POINT
- ソニーは2050年の東京を、SF小説×デザインで考えた
- 2050年の東京を舞台に、ソニーは人とAIの前向きな関わり方を提案している
- ソニーは「テクノロジーを通して人々を幸せにすること」を目的にしている
展示会「ONE DAY, 2022/2050 Sci-Fi Prototyping」でソニーは、2050年の東京をSF小説×デザインで考えることをコンセプトにしています。ここでは以下を解説します。
・なぜSFなのか
・4つのSF小説×デザインで考える
ソニーとSFは「テクノロジーベースで未来を創る」という点で共通点があります。そもそもSFとは、Science Fiction(サイエンス・フィクション)の略で、日本では科学小説・空想科学小説といわれています。科学的な空想に基づいた小説のことを指し、「フランケンシュタイン」や「猿の惑星」などがSF映画として有名です。
一方、ソニーは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことを存在意義としています。SFもソニーもテクノロジーベースで未来を考えていることが、SF小説とコラボした1つの理由でしょう。
展示内容は「WELL-BEING(ウェルビーイング)」、「HABITAT(ハビタ)」、「SENSE(センス)」、「LIFE(ライフ)」という大きく4つのテーマにわかれています。それぞれ4人の作家とともにデザインしたプロダクトと、SF小説が合わさった展示になっています。
「WELL-BEING(ウェルビーイング)」では、異国での男女の恋愛模様を描いています。相手の感情を確認できるコンタクトレンズ型ウェアラブルデバイスを使い、彼らはやり取りをします。また「HABITAT(ハビタ)」は気候変動や政治の影響で水上を移動して暮らす人々の物語で、水上移動式住居を発表しています。
「SENSE(センス)」では、「Sensorial Entertainment(センソリアル エンタテインメント)」という記憶の中の香りを再現するサービスとツールを、「LIFE(ライフ)」では「Life Simulator(ライフ シミュレーター)」という人生のプランニングをAIがサポートしてくれるといった内容の展示をしています。
SFというと技術ばかりに目がいきがちですが、あくまで幸せに生きる人間のサポーターとしてAIを活用する、というソニーの姿勢が表れています。
ソニーの考える2050年の東京について、以下の内容を解説します。
・なぜ2050年なのか
・最新手法で2050年から逆算して今を考える
AIが人間を超えるといわれる技術的特異点(2045年)の後、今の若手社員たちがまだ現役で働いている時代を想定しています。AIが人間を超えるといわれる2045年、人間にとって予測不能な事態がおきるといわれています。2050年は技術も大きく進歩し、人体の一部を人工化できたり不老不死になれたりするといった話もあります。
今回ソニーが展覧会で提示した未来年表(架空)でも、2050年の出来事としてロボットの外科医や料理人、仮想人格の市民権、老化の完全な治療が挙げられています。こうした未来の社会から逆算して考えることで、今の課題についても考えられます。
今回の展示では、最新手法Sci-Fiプロトタイピング(長期的な未来をイメージし、そこから逆算して今取り組むべき課題をあぶり出す)が使用されています。
例えば、現在より10年後のソニーの未来年表では(2030-2034年)、うつ病の深刻化やAIに仕事を代替されるためベーシックインカム採用国の増加が予想されています。この未来を考えることで、現在からうつ病を抑制するための取り組みや、AIと共存する仕組みづくりなどの課題が改めて浮き彫りになります。
ソニーの考える2050年の東京は、人への愛に満ちています。最新技術を取り入れながらも、「恋愛」というテーマを取り入れたことで明るく人の心に向き合う内容です。
未来をテーマにしたSFというと、AIが人間を滅ぼしたり支配したりなど暗いイメージも多いのではないでしょうか。しかしソニーはテクノロジーがより人へ近づくことで、幸せな未来を描いています。例えば、人生の可能性を広げてくれるサービスとして、AIのライフプランニングサービスを提案しています。
SFの世界では職業選択の自由を奪われるなどマイナスのイメージもありますが、あくまで人を幸せにするためのツールとして提案しています。技術は人を幸せにするためのものというソニーらしい考えが、読み取れるでしょう。
Sci-Fiプロトタイピングの手法で「2050年の東京」の物語を描き出したプロジェクト「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」について、以下の内容を詳しく紹介します。
・「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」とは
・「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」の展示内容
「ONE DAY, 2022/2050 Sci-Fi Prototyping」は、2022年1月9日(日)までロームシアター京都で開かれた展示会です。デザイナーとエンジニアが考える「2022年のリアル」と、デザイナーとSF作家がSci-Fiプロトタイピングの手法を用いて描いた「2050年のありうる未来」を展示しました。
「ONE DAY, 2050 / Sci-Fi Prototyping」の詳しい展示内容の1つとして、AIカウンセラー「オフィーリア」が挙げられます。オフィーリアは、人生におけるストレスや挫折をサポートしてくれます。
物語の中では、主人公がウェアラブルデバイスを常時肌に付け、毎日のストレス数値や健康状態を割り出し、レベルが異常値になるとコンタクトレンズを通してカウンセリングを受けられます。オフィーリアは自由自在に姿を変えることができるので、AIと話しているという感覚を薄めてくれるでしょう。
今回の展示内容は2050年を想定した架空のプロダクトでしたが、ここでは実際のソニーの最新プロダクトを見ていきます。
・「五次元」のゲーム体験|PlayStation®5
・空間再現ディスプレイ|ELF-SR1
・リアルとオンラインをつなぐ音体験|LinkBuds
PlayStation®5では、「五次元」のゲーム体験を提案しています。「五次元」という言葉は、PS5を通じてゲームと現実空間が時空を超えるという意味で使われています。
ローディング速度の向上や独自のハプティックフィードバック(実際に物に触れている感触が味わえる)、アダプティブトリガー( ゲームの状況に応じてボタンから感じる抵抗の強弱が変わる)、3Dオーディオ技術で、異次元に飛ばされたような没入感を味わえます。
ELF-SR1では特別なメガネやヘッドセットを使わず、まるで目の前に存在しているかのような映像を楽しめます。裸眼で見られる超高精細な3DCG映像や目の動きを常に追うセンサーによって、のぞき込むとディスプレイの中の映像もそれに合わせて動きます。実際に目の前に「モノ」としてあるかのような錯覚を覚えるでしょう。
2022年2月に発売された完全ワイヤレス型ヘッドホン「LinkBuds(リンクバッズ)」は、耳を塞がないヘッドホンです。耳の中に心地よく収まり1日中快適に使えます。
耳を塞がないため従来のヘッドホンのように取り外す必要がなく、1日ずっと装着したまま生活ができます。
今回はソニーの描く2050年の未来について紹介しました。SF映画の未来ではAIが人を支配したり戦争したりと暗いイメージもありますが、ソニーはテクノロジーで人を幸せにするという考えのもと明るいAIと人との関わり方を提案しています。
紹介した以外の最新プロダクトでも、驚くような製品がまだまだあります。制作秘話などもこちらでチェックできますので、ぜひ参考になさってください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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