NEWS 2016.11.22 日々の生活が少し楽しくなるIoT 「MESH」と描く世界とは

「簡易に使えるセキュリティグッズがあればいいな」。私たちの生活には、そんな、ちょっとした「あったらいいな」があふれています。そして、そういったお悩みを解決するガジェットとして注目を集めるのがMESHです。MESHは人感センサーやLEDといった、さまざまな機能を持ったブロック形状の無線でつながる電子タグ。アプリを使って繋げていくと、いろいろな用途で使える便利なアイテムです。

大事なことは「身近な課題の解決」

萩原さんがMESHを作ったきっかけは、個人的な悩みでした。

「私は朝が弱くて、目覚まし時計をすぐ止めてしまう。それなので、今度は止められないようにするために遠くに置いておくと、家族から『うるさい』と怒られてしまう。そんな状況で、目覚ましのストップボタンだけ遠くに置くことはできないか?そのようなものを探したのですが見つからず、それならば作ってしまえ、と思ったんです」。

ただ、萩原さんはソフトウェアのエンジニアだったので、ハードに対する知識はほぼゼロ。「ボタンだけあって、そこを分解できたりしたらいいのに、と発想を連続的にしていくことで、そういうツールができないかと思ったんです」

そうやって生まれたMESHは小さいブロックのため、どこでも持ち歩き・設置が可能です。そんな使いやすさも、萩原さんが意図したことの1つです。

「例えば机にそういった機能をつけたとしても、机自体は10年も20年も使います。そうなるとソフトウェアが古くなってしまいます。生活で使ういろいろな物はそれぞれのライフサイクルが異なるので、気軽に機能だけをつけたり、はずしたりできるものにした方が良いのではないかと考えたのです」

最新のテクノロジーを大仰に捉えるのでなく、むしろ気軽に使える形で提供する。それが本当に未来の生活を紡ぎ出すために必要なのかもしれません。

 MESHのブロックとiPad

目指すのは「パーソナルなIoT」

そんなMESHはIoTデバイスとして進化していますが、萩原さんは「インフラもIoTで進化していますが、それは非常に(そのカテゴリに)特化したIoTだと思います。 MESHはそうではない」と説明します。

「MESHが目指すのは、パーソナルなIoTです。例えば猫を飼っている方が、猫がトイレに行く回数をMESHで計測している事例があるんですが、この頻度が多くなると病気の疑いがあるらしいんですね。これは、まったく想定していない使い方でした。こんな風に自分の生活に合わせて、解決策を変えていく使い方をされていくんだと思っています」

そういった自分なりの解決方法をMESHと組み合わせて作るノウハウは「レシピ」と呼ばれ、MESHの公式サイト上でシェアされています。萩原さんが好きなレシピは「ターザンロープを揺らさずに登るゲーム。ロープを揺らすと音が鳴る」というもの。そのほかにも「ドアの防犯装置」や「視覚障害者のためのセンサー」など、さまざまな用途で使われるレシピがあります。

「ニッチかもしれないけど、その人にとっては本当に必要な機能。これほど具体的にたくさん出てくるとは思っていなかった」と、萩原さんが話すように、アイデアは自然と広がっていった様子。これもまたインターネットならではの文化ですね。

楽しいレシピはこちらから見ることができますよ。

他にも、GOOD DESIGN Marunouchiで展示された、「MESH DESIGN CONTEST2016」などで、過去に実施されたコンテストの入賞作品はこちらをご覧ください。

MESH DESIGN CONTEST2016
MESH IDEA AWARD
Maker Challenge

学生部門最優秀賞:はなみずカメラ ~鼻をかんでママに写真を送ろう~
一般部門最優秀賞:The Smart Hiking Stick for 富士山

「根本を理解することで、テクノロジーを自由に使える」

MESHは初心者でもプログラミングについて学べるツールとしても重宝されています。学校の教室や家庭で、子どもが手を動かしながら試行錯誤してソリューションを生み出す中で、自然とプログラミングの考えを身につけることができます。萩原さんは「当初からこういったところは狙っていた」と説明し、そこに込めた思いを語ります。

「世の中のモノはどんどんインターネットにつながっていって、それが当たり前になると思っています。そうなると人工知能もそうですけど、世の中で使えるツールって、コンピューターを理解していないと使いこなせないと思うんです。多分、ソフトウェアが目の前にあった時に、使えるだけでなく作れるようになるというか。『読み書き』でいうと『読み』だけでなく『書き』の方ができないといけない。そのためには、やっぱりプログラム的な考え方ができないといけないと思うんですね」

プログラミング的な考え方とは、萩原さん曰く「その、これがあって、その次にこれが起こる、何かをしたらこれが起こるという仕組みについての考え方」とのこと。

萩原丈博さんインタビューの様子

MESHを使えば、毎日の暮らしが少しだけ快適になり、未来を生き抜く知識も身につく。萩原さんが生み出したデバイスには、そんな力があるようです。

これから目指すのは「教育の現場で、より広く使われること」と「開発者が自由に開発できる環境を整えること」の2つ。対応するハードウェアを増やして、裾野を広げていくことも同時進行で進めていきます。自分がやりたいことが、自分の手でできる時代は、少しずつですが着実に近づいていますね。

MESHを試してみたい、という方は公式サイトからご確認ください。都内に限らず、いくつもの場所で手に触れて体験することができます。イベントなどにも定期的に出展していますので、ぜひチェックしてみてください。

萩原丈博(はぎわらたけひろ)
2003年ソニー入社。ソニースタイル(現 ソニーストア)、So-netなどネットワークサービスの設計開発やサービス企画に従事。ソニーの研究開発組織にて社内スタートアップMESH projectをスタート。

 

TEXT:服部丈

この記事を気にいったらいいね!しよう

PreBellの最新の話題をお届けします。

ページトップ