みんなのインターネット

2019.05.24 もしもネットがなかったら?アナログ手段でベトナム旅行に行ってみた | ネット DE 旅ガイド

もしも今、ネットもスマホも使えなくなったら…。

スマホが私たちの生活に定着して約10年。今や誰もがネットに常時繋がっていることが当たり前の時代になりました。海外旅行でさえ、スマホとクレジットカードだけあれば何とかなる、と言われているほど。

そこで今回は、あえてインターネットを使わずにアナログな手段だけで旅はできるのか、検証してみることに。昔の人はみんなインターネットを使わずに旅をしていたんだから、現代でも問題なく旅を楽しめるはず!

そんな軽い気持ちで取材にのぞんだ編集部員でしたが、インターネットがない旅がこんなん困難だったなんて…。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

今回の旅の行き先は、日本からも近く、旅行先としても人気のベトナム! その首都、ハノイまで行くことにしました。まずは、東京からハノイまでの航空券を購入しなければなりません。

インターネットを利用すれば、航空会社のホームページや航空券の比較サイトなどで調べて簡単に予約できますが、アナログな手段だと、旅行代理店に手配してもらうか、旅行誌などで航空券を取り扱っている航空会社を調べる必要があります。今回は旅行雑誌で調べることにしました。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

ちょうど友人が持っていた『地球の歩き方』(4年前の…)を貸してもらいました。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

本誌には東京からハノイへ直行便が出ている航空会社が記載されていましたが、4年前の情報で不安だったため、直接空港に聞いてみることにしました。ところが出発予定の成田国際空港の電話番号が分かりません。

いきなり詰んだ…。そう途方に暮れていた時に思い出したのが、電話番号の案内サービス「104」*。インターネットが普及する前は、よくお世話になったものです。

*104 … 氏名もしくは企業名と住所から電話番号を知らせてくれる、NTTが提供するサービス

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

成田国際空港の番号を教えてもらい、空港に問い合わせたところ、「ベトジェットエア」「ベトナム航空」「JAL」などの航空会社から直行便が出ているようです。

今回はリーズナブルなLCCの「ベトジェットエア」の電話番号を教えてもらい、航空券の予約へ。航空券を予約するためだけに、3回も電話することになるとは…。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

5月出発で一番安い航空券を探してもらい、5月13日~15日の2泊3日でハノイへ行くことに決まりました。

オペレーター「では、本日メールかファックスにてパスポートのコピーを送っていただきたいのですが、どちらがよろしいでしょうか?」

もちろんアナログ旅でのメール使用はNGなので、ファックス一択。

オペレーター「かしこまりました。パスポートのコピーの確認が取れましたら、弊社から予約内容確認のファックスをお送りいたしますので、内容をご確認後、本日15時までに銀行振込で代金をお支払いください」

ファックスなんて持っていないので、近所のコンビニから送信することに。    

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

まずはコピー機でパスポートのコピーを取り、

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

必要事項を手書きで記入し、ファックス。一度帰宅して30分ほどすると先ほどのオペレーターから着信が。

オペレーター「パスポートの確認ができました。予約確認書をファックスしますので、今からお伝えする10桁の番号を『クロネコFAX』対応のコピー機があるコンビニで受信してください」

ちなみにこの「クロネコFAX」というサービスはセブンイレブンでは扱っておらず、ローソンやファミリーマートなどで扱っているそうです。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

…ということで再度コンビニまでファックスを受信するためだけに移動。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

コピー機で「クロネコFAX」を選んで、10桁の数字を入力すると、

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

ようやく予約確認書をゲットです。航空券の価格は合計で44,080円(往復・燃油サーチャージや予約手数料5,000円等の諸費用含む)。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

そしてさらに銀行のATMまで行って、振込を済ませました。

気づけば、航空券の予約だけで半日が終わろうとしている…。

【準備編】航空券の予約は電話!いきなり難関だった…

※ちなみにこの日、同じ条件で「ベトジェットエア」のサイトから予約しようとすると、航空券の価格は40,520円(クレジット決済代金1,140円含む)でした。予約手数料分の約5,000円の差がありました

こんな時に使いたい!ネットTIPS

<同じチケットなのに安く買える!「Skyscanner」の裏技>

航空券、ホテル、レンタカーの比較検索サービスとして有名な「Skyscanner」。日付を指定しないと航空券の価格がわからないサービスも多いですが、「Skyscanner」は日付を指定しなくてもトップページの「地図」をクリックして出発地と月を指定すると、各渡航先の指定月の最安値が一覧でき、価格重視で旅行のプランを計画したい人にも便利。

実は、設定画面で自分の国を「日本」以外の国にすると、安いチケットが出てくることがあります(日本に設定のままだと、現地の旅行会社などのサイトが反映されないことがあるため)。

<同じチケットなのに安く買える!「Skyscanner」の裏技>

(例)東京からバルセロナへの航空券を検索する場合、プロフィール画面の「国/地域」をスペインに変更すると

<同じチケットなのに安く買える!「Skyscanner」の裏技>

同じ日程の同じチケットでも、日本(左)で設定していると63,149円に対してスペイン(右)に設定すると61,662円と料金が異なります。

<同じチケットなのに安く買える!「Skyscanner」の裏技>

この航空券を販売している販売サイトを見ると、日本(左)とスペイン(右)ではヒットするサイトが異なり、スペインにした方が安い航空券を購入できます。ぜひお試しを!

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

やってきましたベトナム! 空港を出ると、東南アジア独特のモワッとした湿気と温かさが体を包みます。タクシーでホテルまで一気に向かうこともできますが、せっかくなので旅気分を味わうためにバスを使ってハノイ市内のホテルまで向かうことにしました。

スマホが使えれば、Googleマップで、バス停の場所や乗車方法まで分かりますが、今回はアナログ旅なのでスマホには頼れません。そこで、勇気を出して空港の職員に聞いてみることに。ちなみに編集部員の英語レベルは中学1年生以下…。

編集部員「アイ・ウォント・ゴー・トゥー・ハノイシティ。ウェア・イズ・バスストップ?」

空港職員「出口を出て、道路の向こう側の86番バスに乗りなよ」(と言ってたと思う)

ちなみにガイドブックには「エアポートミニバス」というバスがあると書いてあったのですが、どうやらそのバスとは違いそう…。半信半疑で言われた通りに進むと、ちょうど86番バスが来た!これは…乗ってみるしかない!!!

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

市内までの料金は一律らしく3万5,000ベトナムドン(約175円)。安っ!ちなみにタクシーだと、だいたい30万ベトナムドン(約1,500円)くらいかかるそうです。

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

さて、バスに乗ったのはいいものの、どこのバス停で降りたらいいのか分からないので、ここでもバスの係員に精一杯の知っている単語で聞くことに。

編集部員「アイ・ウォント・ゴー・トゥー・ヒア!」(紙に書いたホテルの住所を見せて)

係員「あー、降りるバス停に着いたら呼んであげるよ」(と言っていたはず)

市内に到着するまで30〜40分ほどでしたが、不安でたまらず3回くらい先ほどの係員に「プリーズ・コール・ミー!」と言っていたので、ちょっと引かれました。恥ずかしい…。

そんな編集部員を見かねたのか、係員が編集部員の持っていた旅行誌の地図を指差して、「ホテルはここらへんだよ!」と教えてくれました。くぅ…ベトナム人、優しすぎる…。

なんだ、アナログの旅でもベトナム人優しいから余裕じゃん!

そんなことを思いながらバス停を降り、改めて旅行雑誌の地図を広げたのですが…

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

「ん? そもそも今どっち向いてるんだ?」

Googleマップが向いている方向を示してくれることに慣れすぎて、地図をグルグルと回転させて見たり、方向がイマイチ分からずウロウロ。しかも、ホテルまでどれくらいの距離なのか分からず、とりあえず歩いてみることに。

10分後。

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

あかん、迷った…。

はい、編集部員はかなりの方向音痴なのです。

結局それからさらに5分ほどさまよったところで諦め、ベトナム人に片っ端から「ウェア・イズ・ディス?」とホテルの住所を書いた紙を見せて、なんとかホテルに到着。通常であれば、バス停から歩いて2~3分の距離でした…。

ホテルに荷物を置き、旅行の醍醐味である観光にいざ出発!

まずは、ホテルから近そうな「聖ヨセフ大聖堂」を目指すことに。すでに一度迷っているので、今度は念入りに地図を頭に叩き込んで進みます。

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

ハノイには通りに名前がついており、住所にも通りの名前がつきます。地図で通りにぶつかる度にゴソゴソと地図を開いて名前を確認しなが進むと、これがまた結構時間がかかる。

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

しかもハノイはバイクの交通量が多いため、ただ歩いているだけでも後ろからバイクや車にクラクションを鳴らされ、轢かれそうになることもしばしば。地図を見ながらだとなおさら危ない。

慣れない土地、慣れないアナログ旅、想像以上にしんどい…。

さらにこの日の気温は34度。汗をダラダラ垂らしながら険しい顔で地図をにらみ歩く日本人。道も間違えて行ったり来たり…。これは何かの修行ですか?

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

そんなこんなで歩くことなんと約1時間。ついに目的地の「聖ヨセフ大聖堂」に到着! バンザイ! しかし、もうすでに満身創痍。感動している余裕がない。

【現地観光編】Googleマップがないと観光は修行?

後日、Googleマップでホテルから「聖ヨセフ大聖堂」までの徒歩ルートを調べてみたところ「徒歩13分」という驚愕の数字が。おい…嘘だろ…。

さらに炎天下の中1時間もさまよっていたことで、軽い熱射病に。この日は観光を切り上げてホテルでダウンしていた編集部員(30代半ば)なのでした。

こんな時に使いたい!ネットTIPS

<効率良く観光地をまわる巡行ルートを作成!Googleマップ「マイマップ」機能>

<効率良く観光地をまわる巡行ルートを作成!Googleマップ「マイマップ」機能>

Googleマップのメニューから「マイマップ」を選択し、行きたい場所をを登録。どの観光地をどの順番で回ればいいか、巡行ルート付きのオリジナル地図を作成できます。作成した地図は友人に共有もできるので、旅のしおり代わりにも。

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

ハノイのローカルなお店では、まだまだ英語メニューを置いていないところが多い印象。ネットがあれば翻訳アプリなどを使って、食べたいものを伝えることができますが、アナログ旅では、言葉やボディランゲージなどで伝えなくてはなりません。

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

こちらは地元のベトナム人らしき人々で賑わうフォー(米麺に牛肉や鶏肉を乗せた麺料理)の屋台。日本語はもちろん英語表記のメニューなんてものはなく、

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

よ…読めない…。

ひとまず一番上の「CHIN」を指差しながら、屋台のおばちゃんに聞いてみました。

編集部員「ワット・イズ・CHIN?」

おばちゃん「〜〜〜〜(おそらくベトナム語)」

なんと英語も通じません。おばちゃんの身振り手振りを見ていると、どうやら肉の部位や調理法によって値段が違うらしいのですが、まったく想像できない…。

とりあえず上から二番目の「TAI CHIN」と書かれたものを注文することに。どんな料理が出てくるんだろう。ドキドキしながら待っていると…

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

半生肉でした。

実は、「TAI」=「半生」、「CHIN(チン)」=「火の通った」という意味らしく、「TAI CHIN」はそのミックスの意味らしいのです。衛生状態のあまりよくないベトナムでは、火の通った肉の「CHIN」を選ぶ方が安全。しかし、頼んだからには食べるしかない…。

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

覚悟を決めて食べてみると…

あれ?

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

意外にうまい!

ンゴーン・クアー!(すごく、おいしい!)

おそらく、意味を知っていたら頼まなかったであろう、半生肉フォー。

半生だからこその絶妙な柔らかさ、このお肉にコクのあるスープがよく絡み絶品なのです。

フォーの本場、ハノイのフォーにすっかり魅了されてしまった編集部員。

翌日も気がつけばまたあのフォー屋へ足が向いている。

そしてオーダーするのは、やっぱり半生肉が入った「TAI CHIN」。

半生肉バンザイ! ハノイ最高!

【レストラン編】ネット翻訳ができないと食事はスリリング

※この後、1週間ほどお腹の調子が緩くなりました…

こんな時に使いたい!ネットTIPS

<カメラでリアルタイム翻訳「Google翻訳」>

<効率良く観光地をまわる巡行ルートを作成!Googleマップ「マイマップ」機能>

海外旅行に必須のアプリ「Google翻訳」。その名の通り翻訳アプリですが、カメラアイコンをタップするとカメラが起動し、その国の文字を撮影するだけで、自動で翻訳してくれます。レストランのメニューが読めなくても安心!

【まとめ】

もしも今、インターネットもスマホも使えなくなったら…。知らない人に道を尋ねたり自分で考えたりしなければならず、アナログ旅ならではの醍醐味を楽しめる反面、やはりインターネットがある生活に慣れてしまった現代人には、不便や苦労の連続。

ネット断ちをした2泊3日のアナログ旅を通して、改めてネットの便利さに敬礼する編集部員なのでした。

TEXT&PHOTO:ケンジパーマ(PreBell編集部)

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