成人年齢が18歳に引き下げ! 新成人を狙う悪徳業者から身を守るためには【サイバー護身術】
2022年4月1日から成人年齢が18歳へと引き下げとなりました。保護者の同意を得ずに契約を結べるようになるなど、高校生のうちからできることが格段に広がります。一方で、社会経験の浅い新成人は、悪徳ネット業者の格好のターゲットでもあるのです。
この漫画に登場する主人公の後輩、李照の娘も4月から新成人。しかし、親として心配ごとは尽きません。ネット上の罠に引っ掛かってしまうのではないかとハラハラする日々を送ります…。
【登場人物】
斎婆鈍平(さいばあ どんぺい)(41歳)
仕事やプライベートで、よくインターネットを使っているが、知識はあまりない。
【登場人物】
李照貴夫(りてらし たかお)(40歳)
鈍平の会社の後輩。スマホやインターネットの使い方に長けていて、公私ともに鈍平をよく助けている。最近、娘がSNSにどっぷり浸かっているのが気がかりになっている。
成人年齢引き下げ! 新成人をねらう甘い罠に注意
成人年齢が引き下げられた現在の親子喧嘩ではこんな会話が繰り広げられることもあるかもしれません。子の安全を願う親としてはヒヤヒヤするばかりですが、娘さんの言う通り、4月から18歳でも保護者の同意なしで契約が結べるようになるのです。他にも、以下の行為が成人年齢引き下げに伴い変わります。
変わること(18歳になったらできるようになること)
- 保護者の同意なしに契約を締結する
- 携帯電話の契約
- ローンを組む
- 賃貸契約 など
- 10年有効のパスポートを取得する
- 公認会計士、司法書士などの国家資格の取得
- 性同一性障害の人の性別変更申立て
- 裁判員に選ばれる可能性がある など
一方で李照の説明する通り、現行のまま「20歳から」と変わらないこともあります。
変わらないこと(20歳にならないとできないこと)
- 飲酒や喫煙
- 競馬や競輪など4つの公営ギャンブル
- 国民年金の加入義務
- 養子を迎える など
成人年齢の引き下げによって、18歳ができること・できないことを紹介しましたが、消費者トラブルを防ぐ上で一番影響するのは、成人になると「未成年者取消権」が行使できなくなるという点ではないでしょうか。
「未成年者取消権」とは、未成年者が保護者の同意なしで契約を締結した場合に原則契約を無効にすることができる権利です。また、未成年者保護の観点からネットサービスやアプリにおいても「課金制限」や「閲覧制限」を設けるなど未成年者は社会から手厚く守られていました。
しかし、成人となれば「未成年者取消権」は使えなくなるし、ネットサービスやアプリにおける未成年保護も、その多くが対象外となります。だからこそ、トラブルを未然に防ぐためにも自分で判断できる最低限の知識を身につけておく必要があると言われています。
◯未成年取消権ついて詳しく知りたい方はこちらから
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トラブルに遭わないために覚えておきたいこと
新成人を狙おうとする悪徳業者はネット上のあらゆる手法・手段をつかって誘ってきます。消費者センターでも18歳・19歳に気をつけてほしい消費者トラブルの事例をあげていますが、
例えば、漫画にあるようなお得な美容整形の広告に惹かれ「まずは相談だけでも…」と店舗にいってみたら無理矢理契約させられた!なんてことも。
もちろん、販売側が法律に違反した契約なら法的対処をとることができますが、法に反しない契約ならば、成人は自分の都合だけで一方的に契約の取消しはできません(クーリングオフにも様々な条件があります)。
さらに漫画で李照が注意するように、返済計画を立てないまま契約をしてしまい期日通り返済ができない場合、自分の信用情報に傷がついてしまいます。携帯電話契約においても、ついうっかり滞納し、機種代金の分割ローン返済が滞った場合、将来車のローンや住宅ローンが組めなくなる可能性もあります。
ちなみに、一度信用情報に傷がついてしまうと一般的には契約が終了した後も5年ほどは信用情報を扱う機関に記録が保存されてしまいます。「一回くらい返済遅れてもいいや〜」という一時の楽観的な判断が今後の人生を左右することになりかねないということを覚えておきましょう。
自分の身は自分で守れる賢い”大人”になろう!
2022年4月は成人年齢が18歳に引き下げとなった最初の年にあたります。そのため、悪徳業者はトラブル事例が少なく情報が浸透していないこのタイミングにつけ込んで無知な新成人を狙おうとしているのです。
だからこそ、不用意に怪しい話には乗らないことはもちろんのこと、「私たち新成人は狙われているぞ!」とひとりひとりが覚悟しておくことがトラブルを回避する一番の対策であるということを覚えておきましょう。
漫画:トーマス・オン・デマンド(アスタリスク)
監修:小木曽健(@ken_ogiso)
文:PreBell編集部
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