スマートウォッチで、生活はどう変わる? 「wena wrist」事業責任者に聞いた「半歩先の未来」とは(後編)
われわれは生活のあらゆるシーンで、技術革新の恩恵を受けています。では、そんなテクノロジーの進化を生み出す側から見た、これからの生活の変化は一体どんなものなのでしょう。
前回は「スマートウォッチが変える未来の生活について」ソニー株式会社でスマートウォッチ「wena wrist(ウエナ リスト)」の事業責任者を務める對馬哲平(つしま てっぺい)さんにお話をお聞きしました。今回はそんな對馬さんが見つめる「半歩先の未来」について、聞いてみました。
将来的には「入力が限りなく少ない」世界になる
自ら「ガジェットが好きでたまらない」と評する對馬さん。スマートデバイスの進化の過程については「3段階あると思っています。」と説明します。
「まずは計測をするだけ。次に計測した結果を何かの形で生かして提案してくれる。そして最終的には計測した結果を踏まえて勝手に何かしてくれるデバイス。今は最初の計測をするだけのデバイスから少し進化して、何か提案をしてくれる、というところでモヤモヤしていると思います。」
多種多様なテクノロジーが存在しながらも、まだまだ過渡期であるのも確か。どういった課題があるのでしょうか。
「いろいろと超えなければならない問題があります。規格の問題もありますし、バッテリーの大きさのような技術的な問題もあります。でも少しずつは改善していくと思うんですよね。」
では、そういった改善が進んだ結果、どんな世界が待ち受けているのでしょう。
對馬さんは「これからはインターフェイスがどんどんなくなると思います。」と答えてくれました。
「こちらから何かを入力するインターフェイスがなくなると思っています。そうなるとディスプレイもなくなりますよね。それでもいろいろな情報をセンサーが拾って、勝手に判断して、アクションをしてくれているということだと思います。たとえば会社を出て、家に着くと、カギを自然と開けてくれて、室内の温度も適度になっていて、なおかつお風呂も沸いているような感じです。」
何もしないけど、すべてがうまくいく。そんな快適な暮らしを思い描いているようです。
スマートデバイスはどんどん目立たなくなる
對馬さんが口にするイメージは、シームレスにつながり、自動で最高の体験を享受できる社会です。
その中でスマートデバイスは複数存在しますが、その姿を浮き立たせないのが重要。「いろいろなところに、いろいろなデバイスがあるんだけど、本当の中心としてハブの機能を担っているのは1つだけ。Bluetoothやオンラインでクラウドにつながっているとか、見えないけれどしっかりと1つひとつがつながっているイメージです。それなので、他の機器は目立たないものの方が良い。」というのが對馬さんの考えです。
wenaも「テクノロジーをもっと自然に身につけたい」というポリシーから生まれています。生活にすんなり溶け込むのだけれど、テクノロジーが詰まったデバイスという意味では、wenaは對馬さん自身が見据える未来を、しっかりと体現していますね。
「プレイヤーとして戦える期間は限られている。力を尽くして生きたい時間は意識してやりたい。」
世界は刻一刻と変わっています。その中で對馬さんは「プレイヤーで戦える期間は決まっていると思います。1つのプロジェクトにつき5年ロードマップを描いたとしても、世界を変えるチャンスは多くて4回。自分の場合は1回目の最初に出したのがwenaでした。」と、プレイヤーとして意気込みます。「wenaは第一弾です。まだまだやりたいことはたくさんあるんですよ」と話す對馬さんなら、目指す理想のスマートライフを実現してくれるかも。期待してお待ちしたいですね。
對馬哲平(つしまてっぺい)
wena projectリーダー。1989年11月生まれ、大阪府出身。2014年大阪大学大学院工学研究科卒業後にソニーモバイルコミュニケーションズ(株)入社。2015年3月よりソニー(株)新規事業創出部wena事業室の統括課長としてwena projectの事業開発に邁進中。
INTERVIEW & PHOTO:ワタナベダイスケ
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