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2019.12.24 【なるほど!5Gの世界】僕らのスマホは、5Gでどうなるの!? 変わること・変わらないことを聞いてみた

2020年に商用サービスが始まる5Gによって、僕たちの暮らしはどう変わるのか、基本の「き」に迫った前回。5Gの特徴は「大容量高速通信」「高信頼低遅延」「同時多数接続」。これが当たり前になると、すべてのモノがインターネットに繋がって、車の自動運転ができるようになったり、買い物に行けない人にドローンで荷物を届けられるようになったりと、そのスゴさが見えてきました。

そして、今回からは、5Gの技術が生かされるであろう分野にスポットを当てていこうと思います。

まず、僕が気になっていたのが「スマホ」がどうなるのかということ。5Gになったら便利なことは確かにたくさんありそうだけど、今の機種は使えなくなってしまうのかとか、料金がすごく高くなるんじゃないかとか……気になることもいろいろあります。

餅は餅屋に! ということで、今回は、5G技術など新たな技術を活用したサービスの開発や事業化の推進を行っているソフトバンク株式会社 先端技術本部先端事業企画部部長の船吉秀人さんにお話をお伺いしました。

「スマホなしには仕事も恋もできない」ライターの早川大輝(左)と、ソフトバンクで5Gの商用サービス化を牽引する船吉秀人さん(右)。「スマホなしには仕事も恋もできない」ライターの早川大輝(左)と、ソフトバンクで5Gの商用サービス化を牽引する船吉秀人さん(右)。

船吉秀人(ふなよし ひでと)

ソフトバンク株式会社先端技術開発本部先端事業企画部部長。地方や建築現場などでの活用が期待される持ち運びできる5G設備「お出かけ5G」をはじめ、5G技術など新たな技術を活用したサービスの開発や事業化の推進を行っている。

まずは携帯電話の歴史を振り返ってみる

早川 まずは携帯電話の進化の歴史について教えてください。携帯電話が登場したのは1980年代で、これが1Gですよね。
船吉 そうです。ただ、1Gの頃はアナログ電話だったので、音があまりよくなかったんです。それが2Gになりデジタル電話になったことで音声の質が向上し、かなりクリアに聞こえるようになりました。
早川 前回の取材で、2Gのときにはショートメッセージも送れるようになったと知りました。
船吉 確かに携帯電話からインターネットにつながるようになりました。ただ、ツールとしてはかなり使い勝手が悪かったと思います。
早川 じゃあ2Gのときはあまりインターネットは使われてなかったんでしょうか。
船吉 2Gが開始され数年たった頃に、PDA(携帯情報端末)というパソコンを小さくしたような携帯電話もあったのですが、広く使われていたわけではなく、一般的にインターネットが普及したと言えるのは3Gからではないでしょうか。あとはやっぱりスマートフォンの登場が大きいですね。
早川 スマホは3Gからですか?
船吉 3Gが開始されて数年たった頃ですね。日本で3Gが実用されたのが2001年。3Gはそれまでと比べて格段に通信速度が速くなり、大容量の通信ができるようになった端末です。さらに上をいくのが現在の4Gです。
早川 僕は初めて触った携帯電話が3Gでした。確かパカパカ折りたためるタイプの機種だったような。懐かしい…。
船吉 その後、ソフトバンクは2008年にiPhoneを国内で初展開しました。
早川 当時は、iPhoneって一部の大人が持っているモノという印象でした。誰でも当たり前にスマホを持つようになるまで、どうなっていったんだろう…。機能以外の話では、4Gになるまでの間に大きな変化はありましたか?
船吉 3G以降、携帯電話がみなさんの手に取りやすい価格になったということでしょうか。
早川 それまでは高価な物だったんですか?
船吉 2Gまでは日本独自の規格だったため、すべてを国産で作るのにはそれなりにコストがかかりました。
早川 あ、そうか、3Gから国際ローミングがされたって話を前回の取材で聞きました! 規格が世界的に統一されたことで、携帯電話のすべての部品を国産で作る必要がなくなったため、価格が安くなっていったということか…。
船吉 そうです。国際標準化されたことで部品の調達もしやすくなりました。そうなると生産コストを抑えられるので、端末もリーズナブルに提供できるようになった、ということです。
早川 今みたいに、みんなが携帯電話を持っている時代になったのは、3Gからなんですね。それにしても、進化のスピードが速いなあ。5Gになったらどうなっちゃうんだろう。

スマホも平面から3Dの世界へ!

早川 4Gから5Gへの進化では、スマホでできることってどう変わるのでしょうか? 5Gの軸でもある「高速大容量通信」「高信頼低遅延」「同時多数接続」がスマホで生かされるのってどんな時なんですか?
船吉 たくさんありますよ。たとえば音楽フェスに行ったときには、みなさん動画や画像を撮ってSNSに上げていますよね。
早川 SNSのタイムラインによく流れてきますね。僕は大抵それをうらやましく眺めているだけの立場なんですが……。
船吉 あれって2D(平面)の世界ですよね。
早川 え、はい。実際の体験を動画や写真におさめた時点で、2Dになります、ね…?
船吉 そうです。逆に言えば、今は実際の体験も2Dの世界でしか共有したり、見たりする方法がないわけです。でも、それが5Gの導入によって「高速大容量通信」が可能になると、どうなると思います……?
早川 3D(立体)で送れるってことですか!? 未来っぽい! 音楽フェスも、3Dで共有したり、観れたりできちゃうってことですよね?
船吉 というより、さまざまなコンテンツを3Dで記録することが可能になるので、現地に行かずに、VR(仮想現実)の空間で観ることもできますし、スマホ上で3Dの写真や映像をクルクル回転させながら観るなんてこともできますね。
早川 1つの画像を回転させると360度見渡せるってことですね。迫力がすごそう!
船吉 もちろん、3D用に撮影する必要はありますけど、5Gの高速大容量通信によって、今まで2Dでしか記録できなかったものを3Dで残すことができるようになります。
早川 わ〜、ワクワクしてきました! SNSで現地の様子を眺めてばかりの僕でも、楽しめそう(笑)ちなみに、5Gの「高信頼低遅延」は、スマホの機能にどう影響しますか?
船吉 3D映像は容量がとても大きいので、基本的にはスマホではなくクラウド上にデータを溜めていく形になると思います。そうなると、たとえば画像をクルクルと回転させようとしたときに、5Gクラスの低遅延性でないと、タイムラグが発生してストレスを感じてしまいますね。
早川 確かに。「大容量通信」と「低遅延」の両方の技術が揃ってこそ、ストレスなく3Dな体験が楽しめるようになるんですね。
船吉 そう言えますね。「同時多数接続」に関しては、スマホに限定されず、すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」が関係してきます。
早川 今はだんだんスマート家電と言われるものも普及してきていますけど、今や電気もカーテンも鍵もスマホ一つで操作できるようになっているんですよね?
船吉 5Gはいつでもどこでも遠隔でコミュニケーションできるわけです。家電に限らず、その人がいる周辺の環境、たとえば、天気や温度、交通状況などいろんな情報を組み合わせてその人にとって最適な状況を判断し、作り出していくことができるんです。
早川 家の外に出るとどうなるんですか?
船吉 そういった周辺の情報を取り入れるための環境センサーのようなものや、街中にカメラが増えてくる可能性はあると思いますよ。
早川 なるほど……、それがスマホとも連動していったら、本当にあらゆる場所・物とつながっていくってことになりそうだなぁ。

使う人がライフスタイルに合わせてスマホの形を選択していく

早川 ところで、5Gになるとスマホの利用料金がどうなるのかかなり気になるところなんですが……。
船吉 これはまだ各社考えている段階なんですよ。ただ、定額使い放題の導入なども検討されています。
早川 なんとなく、いまと大きくは変わらない印象を受けました。ちょっと安心しました……。
船吉 たとえば、動画を観るにしても2Dは今までと同じように存在していて、3Dで観たい人は新たなサービスを利用するという形になるかもしれません。
早川 課金制のようなイメージでしょうか?
船吉 まだわかりませんが、個人的には一人ひとりがニーズに合わせてサービスを選ぶことができるようになるといいなと思います。
早川 5Gの導入によって、将来的にはスマホそのものがなくなるかもしれないという話も聞いたのですが、実際どうなのでしょう?
船吉 そうですね……。従来のスマホという形にはとらわれなくなると思います。
早川 スマホがなくなるってことですか?
船吉 うーん、どうでしょう。スマホをモノとして考えると、「通信」「入力」「表示」の3つの機能が一体となっている手のひらサイズの端末ということであって、使う人がその形を望むなら、モノ自体は存在し続けると思うんです。
早川 それは、それらの機能が一体となった別の形状のものになる可能性もあるってことですか?
船吉 「通信」の部分は大きく変わらないと思うのですが、「入力」と「表示」に関しては、ユーザーのライフスタイルや好みによって変わりうると考えています。
早川 えーと、まだイメージができていないのですが、具体的にはどのような形状が考えられるのでしょうか?
船吉 たとえば、最近、折りたたみ式のスマホが発売されましたが、あれはおそらく、「映画や動画などを大画面で観たいけれど、スマホでは画面が小さい」といった理由から考えられたんだと思うんです。
早川 タブレットよりも小さくて、スマホよりも大きいサイズにニーズが求められていたということですね。
船吉 ほかにも、「通信」部分を時計に組み込んだスマートウォッチ。現在は、本体であるスマホがあった上で、そのサービスをスマートウォッチでも使えるという形ですね。「表示」「入力」部分がとてもコンパクトですが、時計サイズの画面で問題がなければ、機能的にはこれだけでも十分なんですよね。
早川 なるほど。でも、やっぱり画面が小さいと不便な場面もありそうですが……。
船吉 シチュエーションによって機能を増やせられれば問題ないですよね。画面を大きくしたいときは、どこかに投影するとか。
早川 おお! 必要なとき、壁にサッと投影できたらかっこいいですね。
船吉 こんな風に根幹である「通信」部分は変わらず、使う人に合わせて、形状のバリエーションが増えていくのではないかと思っています。
早川 生活スタイルに合わせて、使う人自身が端末を選んでいく時代になるんですね。

広がる夢! 僕らが未来のスマホを手にする日

早川 そうなってくると、携帯通信会社は「通信」部分のみを提供することになるんでしょうか?
船吉 そこもまだ未定なんです。「通信」「デバイス」「サービス」が分離することも考えられますし、総合的に提供する可能性もあります。いろんな会社がコラボレーションしても面白いかもしれません。
早川 それもユーザーが自分に合わせてカスタマイズできるとなると、いろんなスマホが出てきそうで面白いですね! そうは言っても、突然変化が起こるわけではないですよね。2020年から5Gサービスが開始されて、具体的に何年くらいでそこまで到達するんですか?
船吉 たぶん、プラス数年はかかるのではないでしょうか。3Gが始まった2001年から、iPhoneやAndroid 搭載スマホが登場するまでに7、8年はかかっているので。やはり、5Gを使いながらユーザーは「5Gではどのようなことができるのか」また供給側は「どのような機能が求められるのか」を十分に理解した上で未来のスマホが作られ始めるので、そのスマホやそれに代わるデバイスが出るまでは数年は必要だと思いますね。
早川 新しい形状のスマホってどんなだろうって、めっちゃワクワクしましたが、やはり新しい技術が開発された後、それを生かしたコンテンツやデバイスが作り出されるまでには、相応の時間がかかるものなんですね。
船吉 早くみなさんにそんなワクワクを体感いただけるよう僕らはがんばっていますよ!(笑)

5Gによって、スマホはどう変わるのかを伺った2回目。近い未来、どんなスマホが登場するのかとても楽しみです! 次回は、スポーツ観戦や音楽ライブなどエンターテインメントの分野にフォーカスを当ててみたいと思います!

TEXT:早川大輝
PHOTO:宇佐美亮

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