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テンセントの好調な業績と中国ゲーム業界の復活

中国のインターネットサービス大手テンセント・ホールディングスが発表した2024年第2四半期(4-6月)の決算結果は、市場予想を大きく上回る好調な業績を示した。純利益は前年同期比82%増の476億元(約9810億円)を記録し、市場予想の399億元を大幅に上回った。

この驚異的な増益の主な要因は、中核事業であるゲーム分野の改善にあった。特に、モバイルゲーム「地下城与勇士:起源」のヒットが業績を押し上げ、それまで2四半期続いていた不振から脱却した。中国国内と海外のゲーム事業はともに9%の増収を達成し、新作ゲームの販売好調が追い風となった。

オンライン広告収入も19%増加し、298億7100万元を記録した。特に注目すべきは、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」のショート動画投稿サービス「視頻号」を通じた売上が大きく伸びたことである。これらの好調な業績は、中国ゲーム業界全体の回復を示唆するものとなった。

経済課題を背景にしたフィンテック事業の減速

一方で、テンセントの最大事業であるフィンテックとクラウドサービス部門の成長は鈍化し、増収率は4%にとどまった。これは、中国経済への不安を背景に、消費者と企業が支出を抑制した結果と見られている。特に、電子決済サービス「微信支付(ウィーチャットペイ)」などを展開するフィンテック・企業サービスの成長が3.7%増にとどまったことは、この傾向を如実に表している。

テンセントの今回の決算は、中国の主要テクノロジー企業の中でも先陣を切って発表されたが、同国が直面する経済的課題も浮き彫りにした。不動産危機や若者の高い失業率など、さまざまな問題が中国経済に影を落としている中、消費の低迷が企業業績にも影響を与えている。

しかし、テンセントは自社株買いの規模を昨年の490億香港ドルから1000億香港ドル超に拡大すると表明しており、自社の成長と株主還元に対する強い意欲を示している。また、研究開発(R&D)費用を7.9%増の172億7700万元に引き上げるなど、将来の成長に向けた投資も継続している。テンセントの業績は、中国のテクノロジー産業が直面する機会と課題の両面を反映している。

【関連リンク】

・中国テンセント、4-6月は予想上回る82%増益-ゲーム改善が寄与(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-14/SI7UVRDWLU6800

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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