ドン・キホーテ、格安SIM市場に参入
ディスカウントストア大手のドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、独自の格安SIMサービス「マジモバ」を開始し、注目を集めている。エックスモバイルと提携して提供するこのサービスは、ドコモネットワークを利用したMVNOとして、ネットおよび一部の店舗(三郷店/成増店)で受付を開始した。
マジモバは、大きく分けて2つのプランを提供している。月3GBで770円の「驚安プラン」と、月15GB(2508円)、25GB(3278円)、50GB(6050円)から選べる「最驚プラン」だ。価格が最安級に抑えられている理由としては、通話定額をカットしたことにある。
MM総研調べによると、月間の平均通話回数は16回、1回の通話時間はおよそ2分半という結果が出ている。通話をする人が減った現代に合わせて考えられた最適なプランと言える。しかし、電話をよくかける人には「かけたい放題ライト(880円)」「かけたい放題フル(1980円)」という2つの通話オプションも用意されているので安心だ。
マジモバに見るPPIHの成長戦略
PPIHが展開する格安SIMサービス「マジモバ」は、市場最安値を目指すのではなく、同社の強みを活かした独自のサービス展開を特徴としている。例えば、15GBプランの月額料金は2,508円と、競合他社よりやや高めに設定されている。
しかし、PPIHはこの価格戦略を通じて、独自の付加価値を提供している。「最驚プラン」利用者に毎月付与される無料クーポンだ。これはドン・キホーテ店頭で実用的な商品と交換できる。また、グループ会社のUCSカード利用でポイント還元率が最大2.5%にアップするなど、PPIHの実店舗や関連サービスとの連携を強化している。
この戦略は、2024年に1500万人を突破したmajicaアプリの会員基盤を活用し、家庭の固定費削減を支援するものだ。通信サービスと実店舗での買い物体験を融合させることで、PPIHは単なる価格競争ではなく、顧客に新たな価値を提供することを目指している。
マジモバの展開は、携帯電話市場の競争激化を示す一例でもある。2024年内に始まる予定の「お試し」制度により、さらなる顧客争奪戦が予想される中、PPIHの独自戦略は差別化の手段として注目される。これは、小売業界第4位に成長したPPIHの「顧客最優先主義」「権限委譲」の理念を体現したものと言えるだろう。
【関連リンク】
・「マジモバ」でドン・キホーテが示す格安SIMの個性(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/827656?display=b
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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