ローソン、KDDI、三菱商事が描く「未来のコンビニ」構想
ローソン、KDDI、三菱商事の3社は、デジタル技術を駆使した「未来のコンビニ」構想を発表した。この取り組みは、人手不足の解消と顧客体験の向上を両立させ、激しい競争が続くコンビニ業界での生き残りを図ることを目的としている。
新しいコンビニの特徴として、AIカメラを活用したデジタルサイネージが挙げられる。このシステムは、顧客の性別や年齢層を推定し、それぞれの属性に合わせた商品をリアルタイムで提案する。例えば、若い男性には「メンチ&豚カルビ弁当」などボリュームのある商品を、女性には一口サイズで食べやすいおにぎり弁当を提案するという。
また、店内業務の効率化を図るため、清掃ロボットや調理ロボット、商品配達ロボットの導入も計画されている。これらの技術により、2030年度までに店舗従業員の作業量を30%削減することを目指している。
社会インフラとしての進化
「未来のコンビニ」構想は、単なる店舗の効率化にとどまらず、社会課題の解決にも取り組む。例えば、専用アプリを使ったスマートフォン決済システムには、フードロス対策の仕組みが組み込まれている。顧客の購入履歴をもとに、在庫状況や賞味期限に応じて個別の値引きを提案し、食品廃棄の削減を目指す。
災害対策の面でも、コンビニの役割が拡大される。店舗の屋上にドローンを設置し、災害発生時には被害状況の確認や救助活動に活用する計画だ。また、スターリンクを使った防災拠点としての機能も検討されている。
さらに、コンビニの新たな役割として、多様なサービスを提供する「マルチハブ」としての機能も強化される。店内に設置されるリモート接客ブースでは、薬の処方や携帯電話の機種変更だけでなく、保険や介護など幅広い分野の相談にも対応する予定だ。将来的には、オンライン診療サービスの提供も視野に入れている。
KDDIの高橋誠社長は、この取り組みを「ソーシャルインパクト」と位置付け、「コンビニは日本が誇る、これからの社会課題を解決する社会インフラだと思っている」と語った。
3社は、2025年春にKDDIの新本社ビル「TAKANAWA GATEWAY CITY」内に「未来のコンビニ」の1号店をオープンする予定だ。この店舗を「社会課題解決のための実験場」と位置付け、実証実験の結果を踏まえて他の店舗への展開を進めていく。
【関連リンク】
・「未来のコンビニ」、来春1号店 ロボットやAI活用、都内に ローソン(時事ドットコム)
https://www.jiji.com/jc/movie?p=n005236
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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