ネットのギモン・お悩み

2021.03.09 今さら聞けない!日常的に利用している「無線LAN」とはいったいどんなもの?

かつては、ネットを利用する場合には有線LANケーブルを使うことが一般的でしたが、現在では有線LANケーブルを使用せず、無線LANを使ってネットに接続するケースが多くなっています。

無線LANは日常的に利用されるようになりましたが、無線LANとはそもそもどのようなものなのでしょうか。普段から何気なく利用している無線LANについて、この機会にくわしく理解しておきましょう。

POINT

  • メリットは配線が不要なこと デメリットは不正アクセスのおそれがあること
  • 無線LANの通信規格は日進月歩。通信速度、セキュリティは年々向上
  • 「暗号規格」と「暗号化方式」の組み合わせで、セキュリティが強化

知っておきたい!無線LANの基礎知識

知っておきたい!無線LANの基礎知識

無線LANとは、無線が使用されているLANシステムのことで、データの送受信が無線で行われます。

LANとは「Local Area Network(ローカル・エリア・ネットワーク)」のことで、会社内や施設内、または家庭内など一定の範囲内で使用されるコンピュータネットワークを指します。

無線LANを利用するメリットは、配線をしなくてもネットワークの構築ができる点です。配線の手間が省けるため、無線LANのルーターを設定するだけでネットを利用できるほか、ルーターが1台あればネットに対応している複数の機器に接続することができます。

さらに、無線LANを利用するとパソコンなどの機器の周りにケーブルがない状態となるため、すっきりとした印象となります。

一方、無線LANのデメリットとしては、有線LANと比べると通信速度がやや遅めになること、通信機器が増えてルーターに負荷がかかると通信がやや不安定になること、不正アクセスなどセキュリティの面でリスクが生じる場合がある点です。

しかしながら、現在の無線LANは速度が向上しており、セキュリティ対策が施されているため、通信の安定性やセキュリティ面のリスクは抑えられています。

無線LANの規格

無線LANの規格

無線LANの規格にはさまざまなものがありますが、広く利用されている規格としては「IEEE802.11」があります。

この規格は、策定された順番にa、b、cというアルファベットが付与されています。z以降に作られた規格に関してはaa、abのようにアルファベット2文字での表記となります。

なお、無線LANに関連する名称として「Wi-Fi」があります。Wi-Fiとはネットを利用する通信機器が接続できる無線の通信規格のことで、使用されている規格はIEEE802.11となっています。

無線LANの規格の違い

「IEEE802.11」のうち、Wi-Fiの通信規格としては以下のものがあります。
・IEEE802.11a
・IEEE802.11b
・IEEE802.11g
・IEEE802.11n
・IEEE802.11ac
・IEEE802.11ax

それぞれの違いについて説明します。

IEEE802.11a
周波数帯:5GHz 最大通信速度:54Mbps

後述する「IEEE802.11b」と同時に策定された通信規格で、策定時期は1999年です。周波数帯は5GHzで、11bと比べると最大通信速度が速い点が特徴となっています。

通信速度の面で優れていたものの、当時は5GHzに対応している通信機器が少なかったこともあり、さほど普及しませんでした。

IEEE802.11b
周波数帯:2.4GHz 最大通信速度:11Mbps

同時に策定された11aと比べると通信速度が遅くなっていますが、当時は2.4GHzに対応している通信機器が多かったこともあり、初期に策定された通信規格としては広く普及しました。

IEEE802.11g
周波数帯:2.4GHz 最大通信速度:54Mbps

2003年に策定された通信規格です。周波数帯が2.4GHzであるものの、最大通信速度54Mbpsを実現しました。

多くの機器に利用できるという2.4GHzならではのメリットに加え、通信速度が11aと同等であるため、11aと11bの両方の良さをあわせ持つ通信規格といえます。

IEEE802.11n
周波数帯:2.4GHz/5GHz 最大通信速度:600Mbps

2009年に策定された通信規格で、「Wi-Fi 4」という名称で呼ばれています。周波数帯は2.4GHzと5GHzの両方に対応しているほか、最大通信速度は600Mbpsで11gと比べると通信速度は10倍以上となりました。

通信速度の高速化を実現したのは、複数のアンテナで送受信を行うことや複数のチャンネルの結合などによるものです。

IEEE802.11ac
周波数帯:5GHz 最大通信速度:6.9Gbps

2014年に策定された通信規格で、「Wi-Fi 5」という名称で呼ばれています。当初の最大通信速度は1.3Gbpsでしたが、通信規格の改善によって6.9Gbpsへと大幅に速度が向上しました。

電波の方向性を制御して、電波を1つの方向に集中させる「ビームフォーミング方式」が標準でサポートされている点が特徴です。

この方式により電波を受信できるエリアが広がったほか、通信速度の向上にも寄与しました。

IEEE802.11ax
周波数帯:2.4GHz/5GHz 最大通信速度:9.6Gbps

2019年より利用されている通信規格で、「Wi-Fi 6」という名称で呼ばれています。特徴的な点は、最大通信速度の向上よりも通信の安定性を重視したことです。

現在ではさまざまな種類の電波が利用されているため、通信中に他の電波の影響を受けないことが求められます。11axはOFDMAなどの技術を採用したことにより、通信の安定性が実現しました。

帯域について

無線LANに利用される周波数の帯域としては「2.4GHz」「5GHz」「60GHz」があります。それぞれについて説明します。

2.4GHz 
壁などの障害物があっても電波が通りやすいこと、そして、多くの通信機器が対応している帯域であるため、幅広く利用できる点がメリットです。

反面、多くの通信機器に対応している点がネックとなって電波同士の干渉が起きやすく、通信が不安定になることがあります。

5GHz 
2.4GHzと比べると通信速度が速いです。5GHzの帯域は無線LAN専用となっているため、電波の干渉が起きにくく通信が安定的となっています。

ただし、壁などの障害物があると電波が通りにくくなるため、ルーターからの距離が遠いと電波が届きにくくなることがあります。

60GHz 
60GHzはほとんど利用されない帯域であるため、電波の干渉を受けにくい点が特徴です。

なお、電波が届く距離は10m程度と短いうえに、障害物があると5GHz以上に電波が通りにくくなるため、通信機器を利用する場合はルーターのある部屋で使用する形となります。

60GHzを利用する規格は、11adなど一部に限られています。

速度について

初期に策定された規格の11bは最大通信速度が11Mbpsにとどまっていましたが、新しい通信規格が策定されるにつれて、最大通信速度は徐々に向上していきます。

11aと11gは最大通信速度が54Mbpsでしたが、その後は速度が格段に上昇し、11nは600Mbps、11acは6.9Gbps、最新の規格である11axは最大通信速度が9.6Gbpsに達しています。

無線LANのセキュリティ対策

無線LANのセキュリティ対策

無線LANのセキュリティ対策は「暗号規格」と「暗号化方式」の2種類があります。

暗号規格とは、端末や接続先を無線LANに接続するときに求められる認証の規格です。暗号化方式とは、定められたルールに基づいて送受信するデータを暗号に変換する方式を指します。

無線LANの機器でセキュリティの設定を行う場合、暗号規格に暗号化方式を組み合わせます。一例をあげると「WPA2-TKIP」「WPA2-AES」となります。

暗号規格

暗号規格としては「WEP」「WPA」「WPA2」「WPA3」があります。それぞれについて説明します。

WEP
無線LANが利用され始めた時期に策定された暗号規格です。当初は有線LAN並みのセキュリティレベルが期待されましたが、暗号の解読が容易であるため、セキュリティの面で問題がある規格となっています。

WPA
WPAは、WEPの脆弱性を改善するために策定されました。WEPと比べると暗号化は高度なものが実装されましたが、完全に攻撃を防ぎきれない場合があり、セキュリティを突破されてしまうことがあります。

WPA2
WPAの脆弱性を改善するために制定された規格です。不正な攻撃を受けにくい暗号方式を採用しており、セキュリティはより強化されたものとなっています。無線LANの暗号規格はWPA2が一般的に採用されています。

なお、WPA2の脆弱性をカバーするため、後述する「WPA3」という規格が策定されています。

WPA3
2018年に策定された最新の暗号規格で、WPA2の脆弱性を解消するため、WPA2を上回るセキュリティ対策が施されました。セキュリティが強化されたほか、IoT機器をWi-Fiに接続することが容易となりました。

暗号化方式

暗号化方式としては「TKIP」と「AES」があります。それぞれについて説明します。

TKIP
通信を行うときに暗号キーを毎回変えられる方式です。暗号キーを見破られたとしても、暗号キーは短い時間で変化してしまうため、高い安全性を実現しています。

AES
無線LANを通じて送受信するデータが暗号に変換される仕組みです。暗号化の仕組みは複雑なものであるため、第三者による解読は事実上不可能となっています。

まとめ

まとめ

無線LANを利用すると、配線をしなくてもネットが利用できる一方、セキュリティの面がリスクとなります。

しかしながら、無線LANの通信規格は年々改善が進んでおり、セキュリティのリスクが抑えられているほか、通信速度も向上してネットが利用しやすくなっています。

現在、ネットが気軽に利用できるようになったのは、無線LANが大きく貢献しているといえるでしょう。

PHOTO:写真AC/Unsplash/Pixabay
TEXT:PreBell編集部

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