2021.11.16 アパートやマンションのネット回線が遅い!どんな対策が効果的?
アパートやマンションなど、集合住宅でインターネットを利用すると通信速度が遅いと感じることがあります。特に、集合住宅で高速のインターネットが利用できる「光回線」が引かれているにもかかわらず、通信速度が低下すると不満に感じてしまうことでしょう。
この記事では、アパートやマンションなど、集合住宅でインターネットの回線が遅くなる原因と、回線の速度を改善する方法について説明します。
POINT
- インターネットが遅くなる原因は、大勢が同時にインターネットを利用するため
- 速度を改善する根本的な対策は「IPv6」に対応したプロバイダを利用すること
- すでにIPv6に接続していても遅い場合は、ルーターが古い可能性も。その場合は新しいルーターに交換
アパートやマンションなどの集合住宅でネットの回線が遅くなる理由としては、以下が考えられます。
・同じ時間帯に多くの人たちが利用している
・部屋までの配線がVDSL方式となっている
・ルーターが古い
・プロバイダが高速の光回線に対応していない
それぞれについて説明します。
アパートやマンションでは、同じ時間帯に多くの人たちがインターネットを利用すると回線の速度が遅くなる場合があります。なぜなら、1本の回線で送信できるデータ量には限りがあり、大勢が一斉にインターネットを利用すると、1人当たりで利用できるデータ量が少なくなるためです。そのため、インターネットの速度は低下しがちとなってしまいます。
集合住宅においては、夜になると多くの人たちがインターネットを利用する傾向がみられます。そのため、インターネットの速度は低下しやすくなり、速度の遅さに不便を感じてしまうことがあるのです。
また、屋外からマンションの共用部までは光回線を利用していても、共用部から部屋までの配線にVDSL方式を採用しているとインターネットの回線が遅くなりがちです。VDSL方式とは電話回線を利用した配線方式で、最大速度は下りで100Mbpsとなっています。
マンションの屋内にVDSL方式で配線する理由は、マンション内にすでに敷設されている電話回線を利用できるためです。それにより、マンション内にインターネット設備を整備するコストを抑えられます。
そのため、アパートやマンションに光回線が敷設されていたとしても、共用部分がVDSL方式であるために、実際のインターネットの速度が遅くなってしまう場合もあります。
特に、築10年以上が経過しているアパートやマンションは部屋までの配線がVDSLであるケースが多く見受けられます。入居する前には、インターネットの配線方式について確認しておきましょう。
VDSL方式については、以下のリンクも参照してください。
インターネット回線が遅くなる原因として、自宅で利用しているルーターが高速の通信に対応していないことがあげられます。無線LANルーターを使用している場合、有線LANルーターを使用している場合の2つに分けて説明します。
無線LANルーターを使用している場合
無線LANルーターを使用している場合、本体の背面に記載されている通信規格を確認しましょう。通信規格は「IEEE802.11」から始まっており、その次には小文字のアルファベットが記載されています。
例をあげると、「IEEE802.11a/b/g/n」という表記です。このルーターは、以下の通信規格に対応することを示しています。
・IEEE802.11a
・IEEE802.11b
・IEEE802.11g
・IEEE802.11n
アルファベットの順序が先にくるものほど通信速度は遅く、アルファベットの順序が後のものほど通信速度は速くなります。しかし、現在では、より高速な通信に対応した規格として、「IEEE802.11ac」があります。小文字のアルファベットが2文字の規格は、小文字のアルファベットが1文字のものよりも通信速度は速くなります。
そのため、現在では小文字のアルファベット1文字の規格は通信速度はさほど期待できません。
無線LANルーターの速度が遅い場合は、対応する通信規格が「IEEE802.11ac」のものに替えると、インターネットの速度の向上が期待できます。
有線LANルーターを使用している場合
有線LANルーターは、無線LANルーターと比べると速度が安定しているため、通常の利用では速度が遅いと感じることは少ないです。
しかし、LANケーブルが古い規格の場合、有線ルーターを使用していても速度が遅くなる場合があります。LANケーブルの規格について以下で説明します。
対応するケーブル | 最大通信速度 | 伝送帯域 |
---|---|---|
CAT5 | 100Mbps | 100MHz |
CAT5e | 1Gbps | 100MHz |
CAT6 | 1Gbps | 250MHz |
CAT6A | 10Gbps | 500MHz |
CAT7 | 10Gbps | 600MHz |
CAT7A | 10Gbps | 1000MHz |
CAT8 | 40Gbps | 2000MHz |
一般的に利用されているLANケーブルは「CAT(カテゴリー)6」となります。
もし「CAT5」のLANケーブルを利用している場合、ルーターが高速の通信に対応していても、LANケーブルが高速の通信に対応できないため、結果として通信速度は遅くなります。
利用しているLANケーブルがCAT5であるなら、CAT6のLANケーブルに替えましょう。
そのほか、プロバイダが高速の光回線に対応していないとインターネットの速度が遅くなる原因となります。
インターネットの通信で用いられる方式は、かつて広く利用されていた「IPv4(PPPoE)」と、現在利用が広がっている「IPv6(IPoE)」があります。2つの通信方式のうち、通信速度が速いのは「IPv6(IPoE)」です。
2つの方式を比べたとき、速度に違いが生じる理由は、接続方法に違いがあるためです。
IPv4(PPPoE)は電話回線を利用しており、インターネットに接続するためには「網終端装置」を通る必要があります。網終端装置とは、NTTの光回線のネットワークとプロバイダーを接続する装置のことです。
もし、通信量が増加してしまうと網終端装置で通信データを処理しきれず、通信データが流れにくくなってしまいます。そのため、通信速度は遅くなってしまうのです。
その点、IPv6(IPoE)は「イーサネット」という技術を利用しているため、インターネットに接続した場合に網終端装置を利用する必要がありません、これにより、通信データはとどこおることなくスムーズに流れます。
そのため、IPv6(IPoE)は、IPv4(PPPoE)と比べると通信速度は速くなるのです。
アパートやマンションのような集合住宅では、日中などの混雑していない時間帯なら、安定した速度でインターネットを利用できます。
集合住宅でインターネットが混雑する原因が、同じ時間帯に多くの人たちが利用するためであることを踏まえれば、混雑していない時間帯に利用すれば安定した状態でインターネットの利用が可能となります。
日中の時間帯にインターネットの利用が可能であれば、日中にインターネットを利用してみると良いでしょう。もし、日中にインターネットを利用することが難しければ、以降の項目で示した内容を試してみましょう。
現時点でIPv6(IPoE)方式に接続していない場合は、IPv6(IPoE)方式に変更しましょう。
IPv6に接続しているかどうかは、以下のサイトから確認できます。
上記のサイトを表示すると、IPv6に接続している場合は以下のように表示されます。
「お客様は IPv6 ネットワーク環境よりこのページをご覧になっております」
もし、「お客様は IPv4 ネットワーク環境よりこのページをご覧になっております」と表示された場合は、IPv6のサービスを提供しているプロバイダに乗り換えましょう。
もし、IPv6のサービスを提供しているプロバイダを利用しているにもかかわらず、IPv4接続となってしまう場合は、ルーターがIPv6に対応していないことが考えられます。ルーターはIPv6対応であり、なおかつ無線LANの規格がIEEE802.11acのものを選びましょう。
くわしくは次の項目で説明します。
古いルーターを使用している場合、新しいルーターに買い替えることでインターネットの速度が改善する場合があります。
通信速度の速いインターネットに対応しているルーターは、無線LAN規格が「IEEE.802.11ac」です。最大通信速度は6.9Gbpsに達するため、部屋までの配線が光回線となっていれば、高速でのインターネット利用が可能となります。
現在使用しているルーターの背面には無線LAN規格が記載されています。規格が「IEEE.802.11a/b/g/n」であり、「ac」という記載がなければ、新しいルーターが適しています。
インターネットの速度を根本的に改善したいなら、自宅に直接光回線を引くことが最も効果的です。この場合、光回線を「戸建タイプ」で申し込むことになります。
光回線が部屋まで直接配線されるうえに、一つの配線を他の居住者と共同で使用する必要がないため、インターネットを高速の状態で利用できます。
ただし、アパートやマンションに光回線を自分で引くためには以下の注意点があります。
・大家さん、もしくは管理組合の許可が必要
・原則として3階以上の工事は行えない
・マンションタイプよりも料金が割高になることが多い
それぞれについて説明します。
大家さん、もしくは管理組合の許可が必要
アパートまたはマンションに住んでいて光回線を自分で引きたい場合、賃貸住宅の場合は大家さんもしくは管理会社、分譲マンションの場合は管理組合の許可が必要になります。その理由は、光回線の工事では配線を通すために外壁に穴を空ける必要があるためです。
建物に穴を空けるような工事が発生する場合には、自分の判断で勝手に工事を依頼せず、大家さんの許可を得ることが基本となります。ただし、大家さんによっては工事の許可を認めない場合もあるため、工事ができない可能性があることも理解しておきましょう。
原則として3階以上の工事は行えない
光回線を戸建タイプで申し込む場合、3階以上の高さになると工事を行うことが難しくなります。その理由は、光回線を利用するための電話線は、電柱より高い場所に引き込めないためです。
そもそも、戸建タイプとは、あくまでも一戸建ての家に光回線の工事を行うものであり、マンションでの工事を前提にしていません。現在住んでいるマンションで戸建タイプの申し込みが可能かどうかは、光回線のプロバイダに確認してみましょう。
マンションタイプよりも料金が割高になる
マンションで直接自宅に光回線を引き込む場合、戸建タイプの申し込みとなるため、マンションタイプよりも料金が割高になる点に注意が必要です。
マンションタイプが戸建タイプよりも割安な理由は、マンションタイプは一つの回線で多くの家庭をカバーするため、インターネットを利用するコストを抑えられるためです。一方、戸建タイプは一つの回線を一つの家庭で利用する形となり、マンションタイプのようにコストは抑えられません。
戸建タイプのメリットはマンションタイプよりも通信速度が安定的な点です。それを踏まえると、料金が高めであっても利用する価値があると感じる人もいるのではないでしょうか。
アパートやマンションなど、一つの建物に大勢の人たちが暮らしている集合住宅では、一つの光回線を多くの家庭で利用するため、多くの人たちが同時にインターネットを使用した場合は、インターネットの速度が遅くなるケースがあります。
速度の低下を防ぐには、インターネットを日中の時間帯など混雑していないときに利用する方法もありますが、根本的に改善するなら、高速の通信に対応した通信規格「IPv6(IPoE)」を提供しているプロバイダに乗り換えることが効果的です。
この通信規格は、従来の通信規格よりも混雑が発生しにくい仕組みであるため、インターネットを快適に利用しやすくなります。
インターネットを快適に利用するなら、IPv6に対応しており、最新型のルーターが永年無料で利用できる「So-net 光 プラス」を利用してみませんか。
PHOTO:PhotoAC/Unsplash/Pixabay/Pexels
TEXT:PreBell編集部
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