オカルトは学問だ!トンネル怪談や呪いの仕組みなど、レジェンドたちが不思議な世界へナビしてくれる神チャンネル【暮らし、楽しむ、YouTube】
さまざまなジャンルの動画が存在する、YouTube。日々の暮らしに役立つ情報が意外と眠っているので、ただの暇つぶしで見ているだけではもったいないです!!
今回の「暮らし、楽しむ、YouTube」では、ミュージシャンでマンガ家の劔樹人さんが、「オカルトエンタメ大学」を紹介します。怪談、心霊現象、村の風習、都市伝説などその道の専門家たちから学べるチャンネルで、劒さんが特に気になった動画とはいったい……?
オカルト業界のトップランナーが大集合!「オカルトエンタメ大学」とは?
皆さま、ご機嫌いかがですか?
劔樹人と申します。
マンガを描いたり、ミュージシャンをしたりの傍、家事育児をメインで担当する主夫として日々を送っています。
ところで皆さんは今、第何次かのオカルトブームが来ているのをご存じですか?
「オカルト」というのは、幽霊、UFO、都市伝説、超常現象、終末論から、今では意味合いも変わってきつつある「陰謀論」までひっくるめた、あるのかないのか訳のわからないもののことです。
日本の最初のオカルトブームは、70年代に話題となった「ノストラダムスの大予言」に端を発すると言われています。
現在進行形のオカルトブームは、私の感覚だと2018年頃にきっかけがあったように思います。「事故物件住みます芸人」の松原タニシさんの『怖い間取り』がベストセラーとなり、亀梨和也さん主演で映画化されたり、怪談のショーレースがいくつか始まり、怪談師たちが注目されたり。そういった出来事が盛り上がりの要素になっている気がします。
もちろん怖いものが苦手な方はたくさんいるので、ブームと言われてもまったくピンと来ない方もいるでしょう。
そんな怖いものが苦手な方にこそおすすめしたい、そしてもちろん、オカルトが大好きという方には全身全霊でおすすめしたいYouTubeチャンネルがあるのです。
こちらのチャンネル、現代の「実話怪談」の礎を築いた『怪談 新耳袋』の著者である中山市朗先生や、オカルト界のカリスマ作家・山口敏太郎先生といった文字通り「先生」クラスのオカルトレジェンドから、世界でも随一の事故物件サイトを運営する大島てる先生、次世代の稲川淳二の呼び声も高い怪談家・ぁみ先生など、オカルト業界のトップランナーたちが講師となって自分の専門分野を大学の授業のように講義してくれるという素晴らしいチャンネルなのです。
オカルトは学問だ!トンネル怪談や呪いの仕組みなど、推し動画6選紹介
このチャンネル、個人的に何が素晴らしいと思っているかというと、まず、オカルトを「学問」としてのスタンスで解説しているため、オカルトに否定的な人でも興味深く聞くことができる点です。
例えば、オカルト研究家として、怪談や都市伝説を歴史から体系的に研究している吉田悠軌先生のこの授業を見てみてください。
・【トンネル怪談考察①】心霊トンネル実話怪談の元祖に吉田悠軌先生が迫ります!
心霊スポットの定番である「トンネルの怪談」というと、誰しもなんとなく聞いたことがあり、頭に浮かぶものがあると思います。
吉田先生はトンネル怪談の変遷、さらに噂が生まれたトンネルを地理的に解説しています。
歴史や地理から考察すると、その怪談も生まれる理由のあるものなんですよね。
この吉田先生の一連の講義を聞いて貰えば、オカルトは研究対象となりうる「学問分野」だということがわかると思います。
1990年代に幼少期を過ごした方にはお馴染みの怖い噂話というと、『学校の怪談』に登場する「トイレの花子さん」でしょう。放送作家をしながら都市伝説研究家として活躍するオカルト界のホープ・早瀬康広先生がこちらで解説しています。
・【トイレの花子さん伝説】学校の怪談・トイレ妖怪について早瀬康広先生が解説!
子どもたちの中で噂になる怖い話は、子どもから子どもに伝わるうちにさまざまに変化していきます。しかしそれにも時代背景や要素のルーツが存在するということを、江戸時代の風習を引用して教えてくれています。
講義よりも、純粋に怖い話を聞きたい……という方には、怪談家のぁみ先生の授業がおすすめです。
数十年前の名作ホラー小説から、強烈な近年のネット怪談まで、世に伝わるとっておきの怖い話を実演で聞くことができます。怖い話好きは引き込まれること間違いなしですが、怖い話が苦手な人は、ぁみ先生の講義は履修しない方が良いでしょう。
・【名作怪談①】この家はおかしい!?最恐『くだんのはは(前半)』を怪談家ぁみ先生が語ります。
そして私の個人的推し怪談師、オカルトコレクターの田中俊行先生の講義もあります。田中先生はその不気味さとチャーミングさが同居するアンビリーバボーなキャラクターで、怪談師としてもカルトな人気を誇ります。
・【憑き物・風習・化物】田舎の恐い言い伝え3選を田中俊行先生が教えます。
田中先生の講義は、突然どうでもいい話に脱線したり、怖いどころか笑えたりして、勉強になってる気はしないが楽しみにしているような、学校にもこういう先生いたよなあ……そう思えるのが魅力です。
さて、色々な講師の皆さんの講義を紹介してきましたが、私は、このオカルトエンタメ大学の顔は山口敏太郎先生だと思います。
・【神回】ババア妖怪大集合!山口敏太郎先生が、その謎を徹底検証します。
「【神回】」とタイトルにもありますが、実際この授業は必見です。
私は朝里樹さんの『日本現代怪異辞典(笠間書院)』というまさに辞典のような書籍を愛読しているのですが、ババア妖怪というのは異常に多いです。
古くは「山姥」「鬼婆」「砂かけババア」から始まり、近年も「ターボババア」「ジャンピングババア」「ブーメランババア」、次々出てくるとんでもないババアの話に大爆笑の講義なのですが、敏太郎先生は、「なぜババア妖怪は多いのか?」という問いに、「それは男尊女卑の歴史が産んだものだ」と解説します。
敏太郎先生は妖怪の噂や都市伝説は、社会情勢を反映すると言います。
女性や老婆のような社会的弱者による、支配階級へのリベンジが怪談になるというのは、とても納得できる話だと思いました。
敏太郎先生はこちらの動画も必見です。
・【実話怪談】ほんとにあった呪い・祟りの怖い話を山口敏太郎先生が教えます。
敏太郎先生は呪いについて、「SNSの普及による、バッシングは古来の呪いと同じ仕組み」であると言います。「男は男らしく、女は女らしく」のような、幼い頃から常識のように思わされていることも呪いと同じというのも、すごく納得できる話だと思いました。実際に苦しんでいる人がいるわけなのですから。
「オカルトエンタメ大学」の動画を見ていると、「どうしてこういう噂が生まれたのか」「どうしてこんな不思議なことが起こったのか」などがだいたい説明できるとわかります。結果、無駄なものを信用して、振り回されなくなります。つまり呪いにかからなくなるのではないかと思います。
生きていく上で大切な感覚をオカルトは教えてくれる
「オカルトエンタメ大学」のテーマは「オカルトを楽しく学ぶ」というもの。怪談や都市伝説は、あくまでエンターテインメントとして、楽しむものであるべきです。
しかし、90年代、オカルトに対してのコンプライアンスに変化があり、オカルトは楽しんではいけないものであるという空気になりました。70年代のオカルトブームでは、テレビで「ネッシー」「口裂け女」「人面犬」などの噂や超常現象の情報を番組として放送していましたし、幽霊の事件が堂々と新聞に載るなど、オカルトは普通にお茶の間の話題として存在していました。
オカルトを楽しむには、周囲が見えなくなるまでのめり込まないある程度の距離感や、情報を選びとるリテラシー、他人(死者含む)への敬意の気持ちなどが絶対に必要だといえるでしょう。この感覚って生きていく上ですごく大切なことだと思うんです。
そんな重要なことを楽しく学べるのが、この「オカルトエンタメ大学」です。
皆さんもぜひ楽しみましょう!
マンガ・文:劔樹人
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