話題のおもちゃ「toio™」の使い方は? ソニーが作った子どもの創造力を育てる新たなおもちゃ
習い事などの早期教育も気になりますが、やっぱり子どもには楽しみながら色んなことを学んでもらいたいものですよね。しかも、創造性や可能性を高めるようなおもちゃを買い与えたい。そんな願いを叶えてくれるおもちゃ「toio™」(トイオ)が、ソニーから発売されます。気になるその内容とは?
子どものおもちゃに新ジャンルが登場!その名も「toio™」
子どもの遊びといえば、やっぱりゲームが定番。最近ではスマホやタブレットを使って、ゲーム以外にもYouTubeを観たりするのも珍しくありません。でも「多感な時期の子どもが与えられた楽しみを消費するばかりでいいの? そして有害な情報に晒されてしまうのでは?」なんて不安を抱いている親御さんも少なくないはず。
かといって、今から積み木やブロック遊びをさせても興味をもってくれるはずもないし…。そこでおすすめしたいのが、ソニーが作った新しいおもちゃ「toio™」です。その遊び方の様子をまとめた動画があるので、まずは見てみましょう。
自分でおもちゃを「つくりだす」。それが「toio™」
この「toio™」は、五感を使って体感するおもちゃ。作って、動かして、改善をしてというトライアンドエラーを自然と繰り返し、工夫次第でさまざまなおもちゃを「つくりだす」ことができるもので、子どもたちの創意工夫で遊ぶ楽しさが大きく広がる仕組みです。
「トイ・プラットフォームtoio」というパッケージが基本になっていて、これには、本体となる「toio コンソール」と、モーター内蔵で動き回る2台の「toio コア キューブ」、そしてそれぞれのキューブの動きを制御するコントローラー「toio リング」が用意されています。別売りのカートリッジを「toioコンソール」に差し込むことで、自由な遊びを作り出していくのです。今回PreBell編集部は「toio™」の開発者である田中章愛(たなか あきちか)さんに遊び方や評判についてお話をお伺いしました。
おもちゃの楽しみを「拡張する」おもちゃが「toio™」
田中章愛(たなか あきちか)
2006年筑波大学大学院修了、同年よりソニー(株)入社.2013年-2014年スタンフォード大学訪問研究員。機械・メカトロニクスエンジニアとして協働型ロボットやエンターテイメントロボットの研究開発や留学での研究活動を経て、2014年より新規事業創出プログラムSony Seed Acceleration Programの立ち上げ・運営に携わり、共創スペースCreative Loungeの企画運営やハードウェア製品のプロトタイピング・商品化・事業化に従事する。放課後には個人でのものづくりとして友人と始めたデザインユニットVITROでの作品発表や品川のモノづくりコミュニティ品モノラボの運営を通じ共創型モノづくりを追及している。ASIA Award Young Creator 2013、Good Design Award 2014 Best 100受賞。
──まず「toio™」開発の狙いとはなんだったのでしょうか?
いかにおもちゃの楽しみを広げられるかということを狙って作っています。「toio™」はおもちゃにロボットを入れ込むのではなく、センサーなどの技術をコンパクトにまとめたtoioコアキューブを用意し、その上に子どもたちが考えて作った工作や作品を乗せたりハメたりすることで「自分が作ったものを主人公にして遊べる」という仕組みとなっています。
さらに、より「toio™」にのめりこんでもらうために、コントローラーである「toio リング」の形状にもこだわっています。リング状になっているのは、床においた状態でも操作ができたり、リングに手を通すことで、すぐに両手を使うことができることを意識しています。こうすることで、toioコアキューブに乗せている工作の形状をすぐに変形させることもできるので、子どもたちがよりゲームの主人公になれるように工夫をしています。
また、レゴジャパン株式会社さんに協力いただき、レゴ®製品を組み合わせて遊ぶことができる仕様にもなっています。やはり子どもたちは、自分で触って作ったものに感情移入がしやすいようでした。toio™のテストを行ったときには、自分が作ったおもちゃで戦って負けると悔し泣きしてしまう子もいましたよ。
──toioコアキューブを操作する以外の遊びもあるのでしょうか?
もちろんです。人間とロボットが触れ合って遊んだり、人間同士のゲームであってもコンピューターが勝ち負け判定してくれたりと多種多様な遊びを用意しています。さらにカートリッジを差し替えることで、全く違う遊びができるようになっています。自分で作ったモノをtoioコアキューブに乗せて戦う「クラフトファイター」といったゲーム性のあるものや、制限時間内に指定されたルートを通るようにtoioコアキューブを誘導する「チクタク(仮)」といった学びのあるものなど様々なプログラムが用意されていて、現在は新たなプログラムをパートナー企業の開発者やクリエイターが自由に作っている状況です。
子どもが遊びを作るから「健全で安心できる」との声も
──「toio™」ではSTEM教育*へのアプローチも考えているのでしょうか?
いえ、STEM教育を強く意識しているわけではありません。単純に遊びのプラットフォームとして考えています。実際に手を動かして触れるゲームのようなものですね。プログラミングをしたいという方もいらっしゃるので、学びの要素は今後の展開としてあっても良いとは考えていますが、まずは遊びにフォーカスしています。
- * STEM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の教育分野を総称する語のことです。日本では、文部科学省が2020年(平成32年)から小学校でのプログラミング教育実施を決めました。
STEM教育をちょっぴり体験できるMESHをつかった電子工作の記事はこちら
──おもちゃとして「toio™」で遊んだ子どもにはどんな影響があるとお考えですか?
ロボットやアルゴリズムへの興味を持ってもらえたら嬉しいですね。STEM教育を意識していないとは言いましたが、プログラミング理解の入り口になるとは考えています。また、ソニーが提供できるものとしてエンターテインメントがありますが、そこへの入り口も提供できると思います。実際、一般公開前に、近所の小学校に協力いただいて体験会を行ったのですが、非常に好評で3時間も熱中するお子さんもいたほどです。自分が作ったものが動くことにとても感動してくれていました。その後おもちゃショーに出展した際には、600人以上に体験していただき、9割を超える方に「非常に満足した」と回答いただくことができました。
──ご家族の方からの反応はいかがでしたか?
親御さんとしては、ネット動画を見続けるなどの受動的な遊びよりも、こうした能動的な遊びを好ましく感じていらっしゃる方も多いので「健全で安心できる」という声を多くいただきました。手を動かし、しっかり考えて工夫するというところに高評価をいただいていますね。6月に行った先行予約も目標を超える好評をいただき、初回限定セットは即完売となりました。
──最後に「toio™」の展望を教えてください。
ソニー以外のさまざまな専門性を持った方々と新しいエンターテインメントを作りたいと思っています。ローンチタイトルとして「ピタゴラスイッチ」でおなじみのクリエイター集団ユーフラテスさんによる「工作生物 ゲズンロイド*」を用意させていただきましたが、今後はバンダイさんやソニーミュージックともコラボレーションを考えています。また製品発表後にお声がけいただいた方々も多数いらっしゃいますので、これから発表していく予定です。そしてユーザー側が自由にプログラムを作りたいという要望も多数いただいておりますので、ぜひそこには応えていきたいと思っています!
- *工作生物 ゲズンロイドとは、toio™を使って、不思議な工作生物(toioコアキューブがプログラミングされた動きをする)を作ることができるカートリッジの名称。制作には、クリエイター集団「ユーフラテス」が関わっていて、「足の人」や、「めだま生物」などのちょっと不思議な工作生物を作ることができます。
創意工夫を広げる新しいおもちゃ体験を
自分でおもちゃをつくる」新しいトイプラットフォーム「toio™」は2017年12月1日発売。様々な遊びやゲームが入った別売りタイトルと組み合わせることで、ゲームや動きある工作が楽しめるため、今後の展開も無限大。子どもたちの創意工夫の力を大きく広げてくれることでしょう。ぜひお子さんと一緒におもちゃという枠組みを超えた新たな体験をしてみてくださいね。
TEXT:坂上春希
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