おもちゃでSTEM教育を先取りできる!? 論理的思考力を養う「KOOV」で遊んでみた
現在、日本においてSTEM教育が遅れていると言われています。科学、技術、工学、数学の学問領域に関して一括した教育を行うSTEM教育。欧米を中心に、諸外国では国策として取り組んでいるこの分野、日本でもプログラミングが2020年に小学校で必修化される予定です。
そんな背景もあって、今後取り組みが加速するプログラミング教育を先取りする教材が注目されています。そのひとつが、ソニー・グローバルエデュケーションが開発した「KOOV(クーブ)」です。
遊びながらプログラムやIoTの概念を学べるおもちゃ、KOOV
KOOVはブロックを組んで形を整える……だけのおもちゃではありません。ブロックの他にもLED、モーター、光センサーなど、さまざまな電子パーツがセットになっており、パソコンやタブレットで組んだプログラム通りに動かすことができる、ロボット・プログラミング学習キットです。
今回は、実際にご家庭でKOOVでの遊びを体験してもらいました。プログラミングというとなんだか難しそうですが、お子さんは飽きずにできるでしょうか。ご両親は、子どもに買い与えたいと思うでしょうか。
訪れたのは東京都にお住まいの野坂さん宅。お父さん、お母さん、お兄ちゃんのありくんに、弟のりゅうくんの4人家族です。体験してもらうのは、小学生3学年の弟、りゅうくん。KOOVの対象年齢は8歳以上なので、りゅうくんは対象年齢の最低ライン、8歳にぴったり! お兄ちゃんのありくんは10歳なので、今回はりゅうくんがつまづいたときのサポートに回ってもらいます。
KOOVで遊ぶ際にはまず、KOOVの基本的なブロックと電子パーツが入った「スターターキット」かブロックと電子パーツの数と種類がより充実している「アドバンスキット」を準備。そのほか、プログラミングを行うためにパソコンかiPadが必要です。
課題1:ビジュアルプログラミングでLEDを点灯させよう
まず、りゅうくんにはKOOVのウリのひとつである「ビジュアルプログラミング」を体験してもらいましょう。上の写真のように、プログラミングを文字でかき込むのではなく、パソコン上に表示されたブロック、「プログラミングブロック」を組み合わせるのがKOOVのビジュアルプログラミングです。
KOOVには基礎を学ぶ「がくしゅうコース」、ロボットを実際につくるレシピが入っている「ロボットレシピ」、まったく自由にロボットをつくり、プログラミングも自由に組む「じゆうせいさく」の3つのコースが用意されています。
まずは基本の「がくしゅうコース」からはじめるのがスタンダード。今回はがくしゅうコースのなかから、ビジュアルプログラミングの基本を学べる「LEDを光らせる」コースを選択しました。
ミッションをはじめると、使用するパーツのリストが表示されます。まずはこれに合わせてパーツを集めます。
組み立て方も、画面に1工程ずつ表示されるので、その通りに組み立てていけばパーツは完成します。
これがビジュアルプログラミングの設定画面。左側にあるプログラミングブロックを「スタート」オブジェクトの下につなげていき、ロボットに指示を出すプログラミングを組んでいきます。
さて、実際にビジュアルプログラミングを組み立てるというところになって、予想外のハードルが。今回りゅうくんに使ってもらったのはパソコンなので、オブジェクトをドラッグ&ドロップする必要があったのですが、普段パソコンを使わないりゅうくんはここでひと苦労。
「タッチパネルとかで、たとえばiPadとかでやったほうが、子どもは直感的に操作できていいかもね」とお父さん。今回はパソコンでしたが、KOOVはiPadにも対応しています。「パソコンは触らせてはいなかったんです。だからパソコンに触れるきっかけになるし、KOOVはいいかもしれませんね」とはお母さんの感想。
さてりゅうくん、なんとかLEDを点灯させることができました。
お父さんの印象は「画面上で完結しないで実際にものが組み上がるのはいい。つくるプロセスもわかりやすいですね」。課題をクリアすると気持ちのいい効果音が鳴ります。目的を達成したときの満足度は高いでしょう。
課題2:ロボットをつくってみよう
続いて「ロボットレシピ」で実際にロボットを組み立ててみることに。りゅうくんがつくりたいと選んだのはオウム。スターターキットでは14のロボットレシピを体験でき、アドバンスキットではそこにプラスして8つのロボットレシピを体験できます。
ここでも、最初にどのブロックをいくつ準備するかの指示があります。ブロックの種類を見極め、たくさんの袋のなかから必要なブロックを取り出していくりゅうくん。この段階でも観察力が鍛えられそうです。
組み立て図は3Dモデルで表示され、アニメーションで1パーツずつ動きをつけて、組み立て方を教えてくれます。画面を回転させたり、拡大縮小を行ってくっつけるブロックを確認していきますが、同じ色のブロックが多いので、ちょっと難しい様子でした。
「手を動かしてものをつくるから、画面を見ているだけじゃないのはいいですね」とお母さん。難しそうなパーツをりゅうくんが組めると「できたの!すごいね!」と声をかけます。
8歳でもできるコースを選んだとはいえ、前述したように難易度は高め。完成するまで飽きさせないためには、親と一緒につくるのがいいのかもしれません。その際に悩んだところを子供にしゃべってもらって、壁となった部分を可視化。親がヒントを与える(応援する)ことで、自分の力で解決させる……。よく、考えられたおもちゃだなと感じました。
もっと簡単なキットがあるといいかとも感じましたが、数年間遊んで学ぶこと考えると、現在の難易度のままがいいのかもしれません。
さて、だんだんと仕上がってきました! りゅうくんの顔に笑顔が増えてきましたよ!
時間にして1時間半。ついに完成です! 組み上がったオウムロボットにプログラムをインストールすると、首を振ったり体を揺らしたりという動きを見せてくれます。ロボットレシピのコースでは、プログラムは既に組まれているので、ビジュアルプログラミングの画面は触りません。まずは楽しさを知ってほしい、そんなときにはロボットレシピからスタートするのもいいかもしれません。
りゅうくんにつくってみた感想を聞くと、「難しかったといえば難しかったけど……」と、またチャレンジしたみたいというモチベーションを抱いている様子。お母さんはその姿勢に驚いていました。「ずっと集中してつくっていましたね」と。
見ていたお兄ちゃんありくんは「簡単だった、次は僕がやる!」とより難しいコースにチャレンジしていましたよ。
お父さんは「ロボットを動かすためにロジックを組み、うまく動かなかったらデバッグする。これを体験できるのはいいですね。またつくった先、他のプログラムもできると面白い。思い通りに動かすには試行錯誤が必要になるわけで、それも勉強できるのはメリットあるでしょう」とコメント。親の目からみても、KOOVは満足のいく出来のようです。
ただし「チュートリアルはもっとシンプルでもいいのかな」とも。ビジュアルプログラミングのシーンでは、「らんすう」などのように、プログラミングの命令文がちょっと難しいものもありました。子供たちがわかる言葉に置き換えてもいいかもしれませんね。
子供も「おこづかいためて買いたい」KOOV
国語、算数、英語だけではなく、課題解決力を養うための勉強も重視される世の中になってきました。特にITの技術・概念は海を越えても通用するものばかり。子どもの頃からプログラミングの概念を学ばせることで、次世代のスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが生まれるかもしれない、という期待もあります。
子どもの将来の可能性を広げるおもちゃとして、KOOVはまさにうってつけ。ありくんも「おこづかいためて買いたい」と言うほど、子供の目から見てもやってみたい、クリアしてみたいと思わせるプロダクトでした。子どもを対象にしたプログラミング教室の月謝が5,000円〜20,000円であることを考えても、これは買い与えてもいいのではないでしょうか。
TEXT:武者良太
PHOTO:合田和弘
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