米、生成AIの開発企業らとルール整備へ
アメリカのバイデン大統領は7月21日、生成AI(人工知能)の開発を手がける企業らとルールの整備で合意したと発表した。AIを利用して作成されたコンテンツの透明性を高め、詐欺や偽情報の拡散を防ぐことが目的だ。
米政府は対話型AI「Chat(チャット)GPT」を開発した米新興オープンAIをはじめとする主要企業7社と合意。IT系大企業のGoogleやマイクロソフト、メタ、アマゾン・ドット・コム、スタートアップのアンソロピック、インフレクションAIが参加した。
新ルールの制定により、AIが生成した文章や画像、映像、音声などのコンテンツに「AI製」と明記する透かし技術を導入する。企業らは自社のシステムのリスクを把握し、政府や国民と共有することとしている。AIサービスの発売にあたっては、安全性の十分な確保が求められ、問題点を第三者が報告する仕組みも構築する。
バイデン大統領は「責任あるAI開発の重要な一歩だ」と強調した。米政府は今後、法的な拘束力を持つ大統領令を発令する見込み。
AI規制の法整備をめぐる動きは今後のAI覇権にも影響を及ぼす。AI規制についてはEU(欧州連合)が先行しているが、アメリカや日本は慎重な姿勢を見せる。安全性の確保を急ぐ一方、技術の発展を阻害しないよう、バランスにも目を配る必要がある。
米政府は国際的な枠組みの作成も視野に入れる。日本、インド、オーストラリアなどと意見を交わし、国際的な議論を進める予定だという。
日本は生成AIのルール整備に好意的
バイデン大統領による生成AIのルール整備の発表を受け、日本の磯崎官房副長官は7月24日、新たなルールの導入を「歓迎する」と述べた。主要7カ国(G7)が合意したAIの国際的なルール作りに向けた議論、いわゆる「広島AIプロセス」において、「民主的価値に基づく人間中心かつ信頼できるAIの実現に向けた前向きなインプット」だと話した。
政府は関係国や民間企業、利用者などの意見を聞きながら、AIをめぐる国際的な議論を主導していく方針を強調した。
【関連リンク】
・バイデン大統領“AI生成動画か識別する対策開発へIT各社合意”(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230722/k10014138601000.html
・【速報】日本政府 米大統領のAIルール合意を歓迎(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/619936619936
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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