テキサス大、脳内思考を文章化するAI開発
テキサス大学のオースティン校の研究チームは5月1日、人間の脳内思考を文章として出力する人工知能(AI)を開発したと発表した。脳内にデバイスを埋め込めなくても、MRIでスキャンしたデータを用いて言語化ができる。
AIの学習には、米オープンAIが開発した対話型AIの「ChatGPT」などに活用されている、「トランスフォーマーモデル」と呼ばれる手法を用いた。研究では被験者に16時間にもわたって音声を聞かせたり、無音のムービーを見せたりして、脳の動きをAIに学習させた。
被験者が聞いた言葉とAIの文章は完全には一致しなかったが、ある程度要点を捉えていた。例えば「私はまだ運転免許証を持っていません」という発言を聞いた被験者の脳を読み取ったAIは「彼女はまだ用意ができていない。彼女はまだ運転を学び始めていない」と文章に起こした。無音のムービーが表現した映像についても、大まかな内容を文章化することに成功した。
将来は持ち運び可能な小型デバイスを目指す
同大の神経科学およびコンピュータサイエンスの准教授であるアレクサンダー・フート氏と博士課程の学生であるジェリー・タン氏が中心となって開発した。
研究チームによると、今回用いたMRIの代わりに、NIRSというより小型な読み取り機械を用いることも理論上は可能だという。今後は持ち運び可能なデバイスの開発を目指す。
一方、AIの開発に対しては倫理や信頼性の観点から懸念もある。タン准教授は「悪意のある目的で利用される可能性があるという懸念は非常に深刻に受け止めており、それを回避するために取り組んできた」と話している。
研究チームは科学雑誌に研究結果を公開。併せて研究に関連する特許を出願した。
【関連リンク】
・Brain Activity Decoder Can Reveal Stories in People’s Minds(UT NEWS)
https://news.utexas.edu/2023/05/01/brain-activity-decoder-can-reveal-stories-in-peoples-minds/
・脳内の言葉文字化するAI、米大学開発 ChatGPTと同手法(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020QC0S3A500C2000000/?type=my#QAAUAgAAMA
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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