3Dプリンターで作る住宅 2人用550万円
新たな住まいの選択肢として、3Dプリンターで建築された住宅が注目を集めている。建設スタートアップのセレンディクス(兵庫県西宮市)は8月2日、日本初となる2人暮らし用の3Dプリンター住宅が完成したと発表した。
名前は「serendix(セレンディクス)50」。施工時間は目標としていた丸二日よりも短く、わずか44時間30分だった。
セレンディクス50はバス・トイレを備えた1LDKの平屋建てで、延べ面積は50平方メートル、高さは最大4メートルだ。鉄骨と鉄筋コンクリートで作られ、耐火性・耐水性・断熱性を備えている。
3Dプリンターがセメントを少しずつ積み上げ、作った壁をクレーンで重ね合わせる。丸みを帯びた独特なデザインが特徴だ。
22年3月には「serendix10」を竣工し、10月に6棟が完売した。わずか1日で完成した「serendix10」には水回りの設備は備わっておらず、生活には向いていなかった。還暦を迎えた高齢の夫婦世帯から、実際に生活することを想定した住宅を望む声が寄せられ、今回の開発に至ったという。
概要設計は慶応義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター、構造設計はKAPが担当。立尾電設(熊本県)など複数の会社と共同で施工した。
セレンディクス50は愛知県小牧市に建てられた。販売予定価格は550万円と破格の設定で、限定6棟の先行販売が計画されている。医療・福祉施設などを手がける企業の社長が購入を決めたとのこと。
住宅を持ちやすい環境を作るために
近年、建築資材や地価の高騰により、日本で家を持つハードルは上がっている。セレンディクスは3Dプリンター住宅の価格を一般的な住宅の10分の1程度に抑えた。住宅ローンの負担を軽減し、これまで家を持つことが叶わなかった層にも住宅を提供できるようにした。
同社COOの飯田國大氏は「今までの家はオートクチュール(職人依存)であり、数千万円とコストが高いのは当たり前」と指摘。住宅産業をロボット化することにより、住宅を持つ決断を下しにくい現状を変えたいと決意を込めた。
【関連リンク】
・1LDKで550万円 3Dプリンターで作る家に「2人で住める」新タイプ(ITmediaNEWS)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2308/03/news185.html
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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