生成AIで漫画「ブラック・ジャック」の新ストーリーを制作
漫画家、手塚治虫氏の代表作「ブラック・ジャック」の新たなエピソードが生成AI(人工知能)によって生み出される。手塚治虫氏の作品の著作権管理を行う手塚プロダクションは6月12日、同氏の作品を学習したAIとクリエイターが共同で「ブラック・ジャック」の新作を制作すると発表した。今年の秋までに「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に掲載予定だという。
プロジェクトは「TEZUKA2023」と名付けた。メンバーには手塚プロのクリエイターのほか、慶應義塾大学理工学部の栗原聡教授、同大の橋本敦史特任講師、はこだて未来大学システム情報科学部の村井源教授が加わった。制作には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の技術を活用する。
新作のストーリー制作は、オープンAIが提供する「Chat(チャット)GPT」の基盤となる「GPT-4」が担う。ブラック・ジャックの構成や登場人物、世界観などをテキストで指示し、より手塚氏に近い作風に仕上げる。
ストーリーに出てくるキャラクターは英Stability(スタビリティ)AIが開発した画像生成AIの「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」を使用する。ブラック・ジャック以外のほかの作品も含めて、キャラクターの画風を学習させるという。
AIコラボの第二弾として始動
AIとクリエイターのコラボレーションは初めてではない。手塚プロでは2020年にも、手塚氏の作品を学習したAIを用い、完全新作の漫画「ぱいどん」を発表した。
一方、今回は既存の作品に新たなストーリーを追加する形だ。どれだけブラック・ジャックらしい物語に仕上げられるかが焦点となる。
プロジェクトの総監督で手塚治虫氏の息子の眞氏は「プロジェクトのハードルは高い」としながらも、「A挑戦することは重要なこと」だと強調した。AIについては「創作をサポートすることでさらに人間の創造性を広げると期待している」と話した。
【関連リンク】
・生成AIで「ブラック・ジャック」新作を AIの創造性 どこまで?(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230612/k10014096821000.html
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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