ヤフー、メディア各社との記事取引見直し
IT大手のヤフーは9月25日、運営するニュース配信サービス「ヤフーニュース」におけるメディア各社との契約見直しを検討すると発表した。契約見直しは公正取引委員会の指摘を受けたことによるものだとしている。
新聞やテレビ、雑誌などのメディアの記事はヤフーニュースをはじめとするニュース配信サービスでも閲覧できる。しかし、メディアに支払われるニュースの使用料をめぐってはメディアから不満の声が多かった。
公正取引委員会がまとめたニュース配信サービスの取引実態に関する調査報告書によると、運営事業者によって契約内容に大きな差があることが明らかになった。他のニュース配信サービスの運営元と比べ、ニュースの使用料を低く設定している場合には独禁法の恐れがある。
一般的にニュースの使用料はユーザーの閲覧回数で決まるとされる。2021年度時点における閲覧千回あたりの平均使用料は、最低額49円から最高額251円と事業者によって最大5倍近くの開きがあった。
特に、業界におけるシェアの高いヤフーニュースについて、公取委は「メディアに対し優越的地位にある可能性がある」と指摘。閲覧数あたりのニュース使用料の算定根拠が不明確と言われていた。
これを受け、ヤフーは契約見直しを検討すると表明。「ニュース配信市場全体の更なる発展に向けて、真摯に取り組んでいく」との姿勢を示した。
ヤフーはこれまでもニュース配信の方針やデータを開示してきた。今後、さらなる透明性を確保するため、契約内容の説明や実績に応じた見直しをするとしている。
同様の問題は海外でも
こうした問題が勃発しているのは日本だけではない。欧米では、メディアに対するニュース配信サービスを運営するIT企業の優位性が問題とされ、新法制定の動きが広がっている。
カナダでは昨年、グーグルやメタなど巨大IT企業にニュースの使用料の見直しを義務付ける法律が制定された。これを受け、一部企業はカナダでのニュース配信を停止している。
日本ではまだ法律を整備する動きはないが、IT企業とメディアそれぞれの対応が求められる。
【関連リンク】
・ヤフーニュース配信契約内容の見直し検討公取委の指摘受け(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230926/k10014206671000.html
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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