大胆な未来予想、ハイパーループの事業閉鎖が現実に
イーロン・マスクがかつて構想した「ハイパーループ・ワン」は、人間や貨物をチューブを通じて都市間を最高時速1000kmで輸送する未来的な超高速輸送システムだった。
しかし、ハイパーループ・ワンが事業を閉鎖しようとしているという報道があった。このSF的なシステムが実現に向けて一歩を踏み出したのは、2015年にラスヴェガス北部で始まったテストからだった。
広大な土地に全長880mのチューブが設置され、推進テストが行われていた。さらに1年後の2016年、ネヴァダ州で初の実験走行が行われ、4秒間の走行で時速186kmを達成した。
そして、2017年には最高時速310kmを記録した。ハイパーループの建設に向けて、韓国やインドも動き始めていた。しかし、その勢いは収束し、200人以上の雇用が打ち切られ、資産の売却に向けて動いていた。
ハイパーループの危険性とは
ハイパーループ・ワンが完成すれば、約350km離れた東京と名古屋間を約2時間40分からわずか30分で移動可能になる計算だ。しかし、そのためには物理学的に理にかなった、摩擦のないチューブを使った輸送機関のコンセプトを実現しなければならない。
技術的な課題は多く、空気が侵入すれば輸送ポッドの速度に影響を及ぼすため、大型の真空ポンプを一定の距離ごとに配置し、その電力供給も確保しなければならない。
しかも、約160km程度の真空チューブを建設すること自体、ほぼ不可能だとされている。チューブは外部から約10トンの気圧に晒されており、内部からの圧力はない。
つまり、気圧によってつぶれる危険性がある。さらに、もし真空状態が乗客に影響を及ぼせば大変な事態になる。ハイパーループは宇宙空間にいるような状況を作り出す可能性があり、もし事故が起きれば乗客全員の命が危険にさらされる可能性がある。
【関連リンク】
・ハイパーループ・ワンが事業閉鎖、未来の輸送システム実用化に至らず(Yahoo! JAPAN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce2558e7c095294e2b4bdb48022b1b741a7d0853
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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