Amazonのオンライン薬局サービス「Amazonファーマシー」が日本上陸
ネット通販大手のAmazonが、日本で「Amazonファーマシー」サービスを開始した。このサービスでは、医師の処方する薬(処方薬)をオンラインで注文でき、大手調剤薬局チェーンやドラッグストア約2500店舗と提携し、患者の自宅まで薬を届けるという画期的なものだ。
シンプルな利用方法も魅力だ。電子処方箋に対応した医療機関で診察を受け、発行された処方箋をAmazonショッピングアプリから登録し、薬局を選択するだけ。薬剤師によるオンラインでの服薬指導も受けられ、慢性疾患患者や子育て中の親など、外出や待ち時間の削減を望むユーザーから歓迎されている。
SNS上では、「Amazonならではの利便性が嬉しい」「薬局で待たずに済む」といった期待の声が上がっている。配送料金は薬局によって異なり、0円から600円程度で、置き配は指定できないなどの注意点もある。
アメリカでの問題と既存薬局の対応
一方で、このサービスの登場により、いくつかの課題や懸念が浮き彫りとなった。まずは、電子処方箋の普及率が低いことだ。日本医師会と総務省の資料によると、現在の電子処方箋の普及率はわずか1.5%、オンライン診療でも15%に留まっている。また、地域の薬局や中小の医療機関への影響も懸念されており、対面で相談できる近所のかかりつけ医が減少する可能性が指摘されている。
さらに、アメリカではAmazonファーマシーの登場により、大手薬局チェーンの利益が圧迫され、店舗閉鎖が相次いでいるという。また、電子処方箋の偽造や中毒性のある薬の違法購入・転売など、新たな問題も発生している。
既存の薬局は、こうした課題や懸念に対処するため、店舗に足を運ぶことの付加価値を高める必要があるだろう。今後の医療業界では、利便性や効率性だけでなく、安全性や地域医療の維持など、さまざまな要素をバランスよく取り入れることが求められる。
【関連リンク】
・オンライン服薬指導から処方薬の配送まで「Amazonファーマシー」の提供を開始(Amazon Newsroom)
https://amazon-press.jp/Top-Navi/Press-releases/Presselist/Press-release/amazon/jp/Retail/Amazon-Pharmacy/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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