OpenAIが次世代AIモデル「Strawberry」を開発
OpenAIが開発中の新しいAIモデルは「Strawberry(ストロベリー)」と名付けられており、複雑な数学やプログラミングの問題を現行システムより効果的に解決できることが期待されている。このStrawberryの高度な数学的推論能力は、今日のチャットボットが苦手とする創造性や直感などの抽象的な概念を飛躍的に向上させるだろう。
Strawberryは、見たことのない数学の問題を解くだけでなく、高度なプログラミングスキルも持ち合わせている。さらに、マーケティング戦略など、より主観的なトピックに関する質問にも回答できる多様性がある。
OpenAIはすでにアメリカの国家安全保障当局にこのStrawberry技術を披露しており、AIの力に脅威を感じる政策立案者への透明性向上に取り組んでいるStrawberryの実力は社内テストで証明されており、ニューヨークタイムズの単語パズル「Connections」を解き、MATHベンチマークで90%以上のスコアを記録したAIがStrawberryであると考えられている。
2つのバージョンのStrawberry
Strawberryの開発には、OpenAIの元主任研究者であるイリア・スーツキヴァー(Ilya Sutskever)が重要な役割を果たした。スーツキヴァーは、Strawberryのアイデアと基礎を提供したが、彼の退社後は、研究者のヤクブ・パチョツキ(Jakub Pachocki)とシモン・シドール(Szymon Sidor)が開発を引き継ぎ、改良を重ねている。
Strawberryには、大規模バージョンと、チャットボットへの搭載を目的とした小型化バージョンの2つがある。大規模バージョンは、高度な数学的推論能力を備え、OpenAIの次世代言語モデル「Orion」のトレーニングに必要な高品質な合成データの生成に貢献する。一方、小型化バージョンは、同様の性能を維持しながらも低コストで運用できるように設計されており、OpenAIは今年中にChatGPTの一部としてリリースする計画だ。
Strawberryは、AIシステムの計画能力と徹底的な調査能力を高める可能性を秘めており、より複雑な意思決定とタスク実行を実現した、自律的なAIエージェントの開発につながるかもしれない。また、Strawberryを使用した高品質な合成データの生成は、OpenAIがAIモデルのトレーニングにインターネットからのテキストや画像を使用する必要性を減らし、エラー(ハルシネーション)を削減することにも貢献するだろう。
【関連リンク】
・OpenAIがアメリカ当局者に対し「Strawberry」と呼ばれる画期的な成果をデモ、コード名「Orion」という主力LLMのトレーニングデータを作成することでGPT-4越えの性能を目指す(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20240828-openai-strawberry-orion-chatbot/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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