Bluetooth 6.0の仕様決定、高精度位置特定技術が実現へ
Bluetooth技術の標準化を担うBluetooth SIG(Special Interest Group)は、次世代規格「Bluetooth 6.0」の仕様を発表した。8年ぶりのメジャーアップデートとなる本バージョンでは、高精度な距離測定を可能にする「Bluetooth Channel Sounding」をはじめ、通信効率の向上や電力消費の最適化を図る新機能が多数導入されている。
最大の特徴である「Bluetooth Channel Sounding」は、Phase-Based Ranging(PBR)とRound-Trip Timing(RTT)という2つの測定方式を組み合わせることで、より安全で高精度な距離測定を実現する。この技術により、Appleの「探す」やGoogleの「Googleデバイスを探す」など、デバイスを紛失した際の発見精度が大幅に向上すると期待されている。
また、デジタルキーのソリューションでは、新たに堅牢なセキュリティレイヤーが追加され、指定範囲内での承認済みユーザーによるドアロック解除やセキュリティエリアへのアクセスが可能になる。これにより、スマートホームや企業のセキュリティシステムにおける利便性と安全性が向上すると見込まれる。
通信効率とオーディオ体験の向上
Bluetooth 6.0では、通信効率を向上させる複数の新機能も導入される。「Decision-Based Advertising Filtering」により、BLE対応デバイスのアドバタイズ通信効率が改善。デバイスは受信したパケットの内容に基づいて、関連パケットのスキャンを効率的に行えるようになる。
さらに、「Monitoring Advertisers」機能により、デバイスの範囲内外の移動をホストに通知する仕組みが実装された。これにより、不要なスキャンを減らし、バッテリー寿命の延長が期待できる。
オーディオ関連では、「Isochronous Adaptation Layer Enhancement(ISOAL)」に新しい動作モード「Unsegmented Framed mode」が追加され、音声の遅延を最小限に抑えつつ高音質を維持することが可能になった。
「LL Extended Feature Set」の導入により、デバイスの機能表現が1984ビットまで拡張され、将来的なBluetooth進化にも対応できる基盤が整備された。また、「Frame Space Update」によってデバイス間の通信タイミングを柔軟に調整できるようになり、さまざまな性能のデバイスに対して最適な設定が可能になった。
これらの新機能により、Bluetooth技術の応用範囲はさらに広がると予想される。特に、高精度な位置特定技術を活用した新しいIoTデバイスやサービスの登場が期待されている。ただし、Apple関連ニュースサイトの9To5Macによると、Bluetooth 6.0を採用した最初のAppleデバイスが登場するのは早くても2025年以降になると予測されている。
【関連リンク】
・「Bluetooth 6.0」コア仕様リリース、高精度距離測定や効率向上を実現する新機能(TECH+)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240906-3019742/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock
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