進化する目のスキャン技術、「Orb」新モデル登場 ニュース

進化する目のスキャン技術、「Orb」新モデル登場

米オープンAIのサム・アルトマンCEO率いる「ワールド」(旧ワールドコイン)は10月17日、虹彩スキャン機器「Orb(オーブ)」の新モデルを発表した。エヌビディアのチップを搭載した新モデルのOrbは、従来比5倍の処理性能を実現し、より小型化され、部品数も大幅に削減された。

同社は既に世界で700万人の認証を達成しており、今後数年で10億人の認証という野心的な目標を掲げている。

生体認証技術の進化に伴い、個人情報保護への取り組みも本格化している。5月には、生体認証データの保護に向けて分散・秘匿化技術「SMPC」を採用し、システムのオープンソース化を実施。SMPCは複数の当事者間でデータを分散して保持する仕組みで、量子コンピューティング時代を見据えた高度なセキュリティを確立している。

同社のデータ保護担当者であるJannick Preiwisch氏は「EU一般データ保護規則への準拠を示すとともに、オンライン上での信頼性向上とグローバル経済へのアクセス拡大を目指している」と語る。新システムでは、既存の虹彩データを完全に削除し、より安全な分散管理へと移行する方針だ。

広がる生体認証の可能性

ワールドは今回の発表で、Orbハードウェア以外の認証方法も導入することを明らかにした。「World ID Credentials」と呼ばれる新プログラムでは、NFC機能を備えた政府発行のパスポートを持つユーザーが、ワールドアプリで直接身元を認証できるようになる。

さらに注目すべきは、「World ID Deep Face」サービスの導入だ。同社はこのサービスが「ディープフェイク問題を解決した」と主張している。このソフトウェアは、FaceTime、WhatsApp、Zoomなどの主要なビデオプラットフォームと統合され、認証された人物が登場する映像が本物かAIによる偽造かを判定できるこれまでにない技術となっている。

また、同社はEthereumレイヤー2ブロックチェーン「World Chain」も始動。これは分散型IDと金融サービスを融合させたエコシステムの中核となるもので、World ID認証ユーザーはトランザクションの優先処理や一部ガス代無料などの特典を受けられる。Optimism、Alchemy、Uniswap、Safe、Dune、Etherscanなど、主要なブロックチェーンサービスも既にサポートを開始している。

このように、生体認証技術は単なる認証手段から、プライバシーとセキュリティを両立した社会インフラへと進化を遂げつつある。博報堂がワールドとの提携を発表するなど、日本でも本格的な普及に向けた動きが加速しており、AIと人間が共存する未来社会における重要な基盤技術として、さらなる発展が期待される。

【関連リンク】
・ワールドコインが「ワールド」にリブランド、新しいOrbデバイスを発表(コインテレグラフ)
https://jp.cointelegraph.com/news/worldcoin-rebrands-world-unveils-next-generation-orb

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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