ニコニコ春画の終了、13年の歴史に幕が下りる
動画共有サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴは1月29日、イラスト投稿サービス「ニコニコ春画」の提供を終了した。これにより、過去に投稿された全イラストが削除され、アクセス不可となった。
ニコニコ春画は2011年に開始され、R-15以上の過激な表現を含むイラストの投稿先として機能してきた。全年齢向けの「ニコニコ静画」と区別することで、表現の住み分けが図られていたが、近年の規制強化の流れの中で存続が困難になったとされる。
ドワンゴは公式発表において、「社会環境や国際情勢を考慮した総合的な判断」と説明している。具体的な要因には触れていないが、近年アダルトコンテンツを取り扱うプラットフォームに対する規制が強化され、クレジットカード決済の停止などの影響を受けたことが背景にあると見られる。
実際、ニコニコ動画は2023年11月にMastercard決済が一時停止された後、2024年に入りAmerican ExpressやVisaも利用不可となり、現在はJCBと一部のMastercardのみが使用できる状態だった。こうした制限が、今回の決定に影響を与えた可能性は高い。
ニコニコの規制強化と表現の自由の行方
ニコニコ春画の終了に先立ち、1月中旬には5万本以上の動画が削除されたことも話題となった。削除の対象となった動画の多くは「R-18」カテゴリに分類されていたもので、運営側は「海外の法令を考慮した措置」と説明している。
また、昨年11月には成人向け表現が含まれる動画のジャンル名が「R-18」から「例のソレ」に変更された。これは、成人向けコンテンツとしての誤解を避ける目的があるとされる。
今回のニコニコ春画の終了について、SNSでは「思い出の場所がまた一つ消えた」「規制が厳しくなりすぎて表現の場がなくなるのでは」といった意見が多く見られた。一方で、過激な表現への制限を歓迎する声もある。
ニコニコ動画は、日本国内における表現の自由の場として長年親しまれてきた。しかし、海外の規制や決済手段の影響により、運営方針の転換を迫られているのが現状だ。今後もプラットフォームとしての在り方が問われることになるだろう。
【関連リンク】
・「ニコニコ春画」サービス終了へ R-15カテゴリのイラスト投稿サービス(KAI-YOU)
https://kai-you.net/article/91482
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:Freepik
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