カシオ電子辞書の新規開発を中止、スマートフォン普及で需要減少
カシオ計算機は14日、電子辞書の新規開発をやめると発表した。スマートフォンの普及や学校でのパソコン・タブレット端末の導入が進み、電子辞書の需要が大きく減少していることが背景にある。
1981年にカシオが初めて電子辞書を発売して以来、「EX-word」シリーズは教育現場を中心に広く利用されてきた。しかし、近年はスマートフォンやタブレットに搭載された辞書アプリやインターネット検索機能が充実し、電子辞書を購入する層が縮小。調査会社BCN総研のデータによると、2024年の国内電子辞書販売台数の約8割をカシオが占めていたものの、国内全体の販売台数は2019年と比較して7割減少した。
カシオは教育向けアプリの提供を強化し、事業の方向性を見直している。2025年度には電子辞書の新製品を投入しないものの、既存モデルの生産・販売は継続するとしている。
カシオの事業構造改革
電子辞書の新規開発中止は、カシオが進める事業構造改革の一環でもある。同社は時計事業をはじめとする主力製品の販売が低迷しており、経営環境の変化に対応する必要に迫られている。特に中国市場での時計販売が伸び悩み、電子ピアノを含むサウンド事業でも製品ラインを縮小し、効率化を進める方針を打ち出している。
2024年春からは大規模な組織改革を進め、2025年3月期には約600人の人員削減を実施する予定だ。また、電子レジスター事業からの撤退を決定し、より収益性の高い分野に経営資源を集中させる。
電子辞書市場の変化は、カシオだけでなく業界全体に影響を及ぼしている。他メーカーも同様に市場縮小に直面しており、辞書コンテンツをオンラインサービスに移行させる動きが加速している。教育機関や個人の学習スタイルが変化する中、電子辞書という専用端末の役割は縮小しつつある。
【関連リンク】
・カシオが電子辞書の新規開発を中止 学校でのPCやタブレット普及で(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/AST2G3HN0T2GULFA027M.html
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:Freepik
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