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2018.01.18 【実例つき】スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

最近目にすることが多くなってきた「スマートホーム」という言葉。「家に近づくとエアコンが自動的に起動する」「音声でテレビを操作できる」など、家電をインターネットに繋ぐことで便利な生活ができる家を指しますが、具体的には何ができてどう便利なんでしょうか? また、導入するにはどのくらいのコストと時間がかかるんでしょうか?

そんな疑問を解決すべく、今回はお部屋をスマートホーム化して2年以上暮らしている方のご自宅に伺い、実際にどのような生活をしているのかレポートします。

目次

スマートホームとは何か?

そもそもスマートホームとはどんなものを指すのでしょうか。

スマートホームとは「家の中の電化製品をインターネットでつないでスマホや音声でコントロールしたり、センサーやGPSで自動コントロールしたりすることで快適な暮らしを実現する家」のこと。家の電化製品をインターネットで統合し、制御することによって快適な暮らしが手に入るという概念に基づいています。

電化製品がインターネットで制御できると、たとえば自宅に以下のようなしくみを導入できるようになります。

  • 目覚ましを止めれば自動的に部屋の明かりがつく
  • 家に近づくと自動で暖房が起動する
  • スマホを操作すれば家のカギが開く

スマートホームは大別すると「デバイス」と「管理システム」の2つからなっています。デバイスとは、色や明るさを自由に変えられる照明や、スマホで遠隔操作できるロボット掃除機など、実際に動くもののこと。そして管理システムとは、デバイスをコントロールする司令塔の役割。たとえば、音声で家電を操作できる、Google Homeなどのスマートスピーカーがこの管理システムにあたります。
管理システムからの司令でコントロールされるこの「管理システム」と「デバイス」を組み合わせることで快適な暮らしが実現できる、というわけです。

また、このスマートホームは市場としても大きく拡大する可能性を秘めています。アメリカのコンサルティングファームのA.T.カーニーが2017年1月に公開した調査報告書によると、世界全体でのスマートホームの市場規模は2017年現在150億ドルで、2020年までに500億ドル、2030年までに4000億ドルまで拡大するとしています。日本でもKDDIと大和ハウス工業がスマートホーム事業に参入することを発表するなど、各プレーヤーがそれぞれの強みを活かして市場参入を果たしていますので、これからスマートホーム関連デバイスが次々と投入されていくことが予想されます。

どの電化製品をスマート化させているの?

さて、ここまでスマートホームの概要に触れましたが、手っ取り早くスマートホームの実態を知るには「スマートホームに住んでいる人」に話を聞くのがいちばんです。

今回取材に協力してくださったのはスマートホームに関するブログが人気のせにょさん。ご自宅のさまざまなものをスマート化している、まさに先駆者とも言える存在です!


さて、こちらがせにょさんのご自宅。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

お部屋に入ると、テクノロジーの匂いを感じさせない温かみのある空間が。間接照明がおしゃれな雰囲気を演出しています。いったいどこがスマート化しているというのでしょうか。ぱっと見ただけではわかりません。早速、各家電を見せてもらいました。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

今回はせにょさんのお部屋の中から「ドアのカギ」「照明」「空調」の3つを紹介します。

ドアのカギ:スマホでドアの開閉ができる!

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

まずはドアのカギから。ドアノブの上についているのが「スマートロック」と呼ばれるもので、スマホを使って開け閉めできます。たとえばこんな感じ。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

このスマートロックによって、自分のスマホがドアに近づけば自動でカギを開けるという設定にもできますし、家を出るときはオートロックとして機能します。

「別にドアくらい普通に開け閉めすれば良くない?」と思うかもしれませんが、実際に導入してみるとその便利さを実感できるようです。

せにょ「まず、カギのかけ忘れがなくなりますし、あわてて家を出ないといけないときにカギを探したり、カギをかけたりという手間がない。スマホだけ持って家を飛び出せばカギはかかりますから。あと、帰宅時はオートで解錠されるので、鍵を取り出したり、荷物を持ち替えたりしなくて済みます。両手が塞がっていても家に入れるので便利です」

これは買い物から帰宅するときに便利ですね。両手が買い物袋で塞がっているときに限ってカギがなかなか見つからないものですが、そんなときのストレスから開放されます。どこかにカギを忘れた際、大家さんに頼み込んで開けてもらう必要もありません。

なお、このスマートロックを実現しているのはドアノブの上についているQrio Smart Lockというデバイス。スマホのGPSを感知するため、部屋に近づくと自動で解錠することができます。オートロックされるまでの時間もアプリで自由に設定可能です(10秒〜60秒で調整可)。値段はAmazonで17,000円ほど(2018年現在)。

Qrio Smart Lock(キュリオスマートロック)
※ドアのサムターンの形状によっては取り付けられない可能性がありますので、導入時はご注意ください。対応しているサムターンは以下で確認できます。

Qrio Smart Lock をご購入の前に

照明:色や明るさを自由自在に変えられる!

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!Hueはスマホ以外にDimmerスイッチ(写真左)、Hue Tap(写真中央)でも操作できる

せにょさんのお部屋はPhilipsのHueという照明を使っています。Hueは自由自在に色や明るさを変えられるLED照明のことで、家に近づくと勝手に照明がつき、家を離れると勝手に消灯させるという設定が可能。これはGPSを感知することで実現しているしくみで、せにょさんは家の半径100m以内に入ると点灯、出ると消灯するように設定しているそうです。電気の消し忘れがなくなりますし、帰宅時にいちいちスイッチを押しに手を伸ばす手間も省けますよね。

また、スマホやスマートスイッチ「Hue Tap」で部屋の全ての照明を一括で点灯・消灯したり、部分的に消灯したりすることができます。下のGIFのように、明るさや色の変更も自由自在。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

明るさや色を自由に変えられるというのはすなわち、朝にベストな明かりと夜にベストな明かりを同じ電球で実現できるということです。朝は目覚めのよい昼白色の照明で気持ちよく目覚めることができ、夜寝る前は暗めの照明でゆったり過ごせます。備え付けのタイマー機能を使って、毎日決まった時間に照明の明るさを変えることも可能です。

ちなみに、せにょさんはひっくり返すとアラームをオン・オフできる目覚まし時計(アナログ)にSonyのIoTデバイス「MESH」を取り付け、目覚まし時計を裏返して止めると一緒に照明もつくように設定しています。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

MESHは動きセンサー、ライト、ボタン、明るさセンサーといったさまざまな機能をもったブロック状のIoTデバイスです。現在7種類が販売されており、それぞれが単体でバッテリーを持っていてBluetoothでスマホと通信できます。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!目覚まし時計の背面にくっついているのがMESHの動きセンサー(写真の青色のブロック)

せにょさんが目覚まし時計に取り付けているのは7種類あるMESHのうちの「動きセンサー」。これが時計の向きを感知し、スマホを経由してHueを操作できるため、「裏返すと点灯する」しくみが実現しています。無意識で時計を止めて二度寝してしまった経験を持つ方も少なくないと思いますが、このしくみがあればそんな悲劇が起きる可能性を減らせますね。

なお、Hueを導入するに手順としては、自宅の無線LANルーターとブリッジ(スマホと照明を接続するHueシステムの中枢)をLANケーブルで接続し、自分のスマホに専用アプリをインストール。その後好きな照明(E26規格)に接続する、という流れです。コストはルーターとスマホを除けばHueの購入費のみで済みます。2018年1月現在、Hueのスターターセットは13,000円ほどで購入可能です。

Philips Hue(ヒュー)ホワイトグラデーション スターターセット

MESHの動きセンサーは約6000円で購入できます。

Sony MESH 動きタグ(Move) MESH-100AC

空調:エアコンのオン・オフや温度をスマホで遠隔操作できる!

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

次は空調です。せにょさんは「Nature Remo」(ネイチャーリモ)というスマートリモコン(写真左)をお部屋に設置しています。Nature Remoはスマホアプリとインターネットを経由して家電を操作できるリモコン。エアコンは付属のリモコンからの赤外線でしか操作できないのですが、このNature Remoも赤外線を発信するため、Nature Remoをスマホで操作すれば、エアコン操作が可能なのです。

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!エアコンのオン・オフ、温度やモードをスマホで自由に変更できる

せにょさんはカギや照明と同様にGPSを利用して、外出時にエアコンを自動でオフ、帰宅時に自動でオンにしています。事前に設定されたエリアを出るとオフ、入るとオンになるのでとても便利です。

せにょさん曰く「エアコンのつけっぱなしを防げるだけでなく、帰宅した瞬間に冬は暖かく、夏は涼しいという快適さを手に入れることができます」とのこと。友達や彼女を家に招いたとき、「エアコンつけっぱなしにしてたの?」なんておいしい振りがやってくることでしょう。

導入は、Nature RemoにUSBケーブルを繋いで電源を入れ、専用アプリを起動して指示通りにセットアップすることで可能です。Nature Remoは13000円ほどで購入できます(2018年1月現在)。

Nature Remo

Google Home

スマートホームってなに?導入のメリットと4つの注意点を解説!

ここまで紹介してきた照明や空調はスマホから操作することができると書いてきましたが、実はせにょさんはGoogleのスマートスピーカー「Google Home」を自宅に導入し、各家電を音声でも操作できるようにしています。たとえば、

「ねぇGoogle、エアコン消して」
「ねぇGoogle、明かりをつけて」…といった操作が可能です。

「ねぇGoogle、おはよう」と話しかけるだけで今日の気温や朝のニュースを読み上げてくれるのも便利ですね。

導入の方法は至ってシンプルです。Google Homeアプリを入れ、最初のセットアップ時にGoogle Homeから飛んだWi-Fiの電波を捕まえ、そこに自宅のWi-Fiのパスワードを入力すると勝手に接続してくれます。Google Home Miniであれば2018年1月現在、6500円ほどで購入可能です。

Google Home Mini

スマートホーム導入にあたっての4つの注意点

さて、ここまでせにょさんのお部屋の各デバイスについて見てきましたが、自宅のスマートホーム化はあくまでも快適さを実現するための手段であり、スマートホーム化すること自体が目的ではありません。そこで、快適な生活を手に入れるために何に気をつけるべきなのか、せにょさんに4つのポイントを教えてもらいました。

「いつも同じ手順を踏む行動」を自動化してみよう

せにょさんが自宅をスマートホーム化するにあたって大事にしているのは、いつも同じ手順を踏む行動を省略化するという視点です。たとえば朝起きるときに必ず部屋の明かりをつけているのであれば、それを自動化することによって日々の快適さが増します。せにょさんがHueとMESHを連携させて、目覚まし時計をひっくり返すと照明がつく設定にしていたのはこの考え方にもとづいているんですね。

それ、ほんとにIoT化する必要はある?

無理にIoT化する必要のないものもたくさんある、とはせにょさんの言葉。実際に、せにょさん宅の玄関・廊下の照明はIoT化されておらず、1500円くらいで買えるセンサーライトが入っています。玄関、廊下の照明はそこに来たときに付けばOK。ならば、センサーライトで十分なのです。

逆に、部屋の照明はIoT化したほうが便利。センサーライトだと、部屋の中でじっとしていると電気が消えてしまうこともありますし、気分によって色味を変えることもできません。

このように、実現したいことを明確にして、どんなデバイスを導入すべきか考えてみましょう。

同居人の生活パターンも考慮してデバイスを選ぼう

たとえば3人家族で住んでいる家で、旦那さんが外出した際にリビングに備え付けてあるHueを自動消灯する設定にしていたとします。そうすると奥さんや子どもがリビングにいるときにも部屋が暗くなってしまうことがあります。同居人がいる家の場合、リビングのような共有スペースに無理にHueを入れる必要はないかもしれません。

これは空調においても同様で、IoTデバイスで何かを自動化する際は同居人の行動パターンを考慮する必要があります。家族で暮らしている方よりも一人暮らしの方のほうがスマートホーム化のハードルは低いといえるかもしれません。

火の周りや玄関のカギの扱いに注意! ハッキングされるリスク

家電に通信機能を持たせる以上、ついて回るのがハッキングされるリスクです。たとえばコンロをインターネットに繋いでいた場合、ハッキングされると点火されたまま放置される可能性があります。火の周りはIoT化させないほうが良いでしょう。
また、玄関のカギも他の機器と繋げてはいけません。たとえばGoogle Homeをスマートロックと連携させてしまうと、誰かに「ねぇGoogle、カギを開けて」と叫ばれてカギを開けられてしまう可能性があります

スマートホーム市場が成熟していくのはまだまだこれからであり、自宅にあるIoTデバイスに脆弱性がないという保証はありません。ハッキングされるリスクを想定し、被害を最小限に抑えるしくみを自分で整えること。これが自宅のスマートホーム化に最も重要なポイントであることは間違いないでしょう。

以上、自宅のスマートホーム化に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

スマートホームで得られるメリット:「時間のゆとり」と「心のゆとり」

スマートホームは人の生活をどう快適にしてくれるものなのでしょうか? 改めてせにょさんに聞いてみました。

せにょさんによると、生活のなかにたくさんある小さなストレスがなくなり、生活のベースが豊かになっているそう。

せにょ「たとえば友達との待ち合わせに遅れそうで、家を急いで出ないといけないときってありますよね。これまでは照明やテレビやエアコンを消して、カギをもって…とバタバタしていましたが、いまはエアコンも照明も自動でオフになりますから、財布と携帯を持ってダッシュすればいいわけです。そして家に帰れば明るくて暖かい部屋が待っています

1日の生活を考えてみれば、スイッチの点け消しのようなルーティーンはかなりあります。玄関にトイレに部屋の電気にエアコン、コンロの点け消し…細かい動きですが、そういったものがなくなっているのが今後のスマートホーム。私たちが面倒とさえ意識していないようなそういった動きがなくなると、生活のベースが豊かになっていると感じられるそう。

せにょ「そうするとあとは単純に、自分だけの秘密基地をつくっているような感覚が楽しいですね。友達を自宅に招くと喜んでもらえますし」

ちなみに、気になる月の電気代はいくらなんでしょうか。せにょさんに聞いてみたところ、2017年11月は6300円くらいだったそうです。IoTって通信量が意外と大きくないみたいですね。何のIoTも導入していない筆者の冬の電気代とあまり変わりがありません。

まずはGoogle Homeか空調からはじめてみては?

自宅をスマートホーム化するにあたり、まず何からはじめれば良いのかをせにょさんに伺ってみました。

せにょ「スマートホーム化するには、まず自宅にインターネット回線がある必要があります。そのうえで、まず買ったほうがいいと思うのはGoogle Homeですね。単体でラジオや音楽を聞けますし。追加でChromecastとNetflixの契約もあれば、Google Homeと連携させてテレビに呼びかければ映画も観られますからね。『OK Google ショーシャンクの空にを見せて』というだけで映画が始まります。もう一つあげるとしたらNature Remoです。家に帰ってきたときに部屋が温まっているっていいですよ。夏だったら帰宅した瞬間に涼しい部屋になっていますし。先ほどあげたGoogle Homeと連携させて音声でエアコンも操作できるようになります」

使い方次第で自分の生活を豊かにしてくれるスマートホーム。まずはスマートスピーカーとエアコンからスマート化してみてはいかがでしょうか?

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:PreBell編集部

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