AIと著作権の関係とは?普段の生活で気を付けるべきことも徹底解説
普段生活をしていて、「AI」といった言葉を聞くことがかなり多くなってきたかと思います。
その中でも、ChatGPTが登場してから、一般の人の生活にも大きく関わってくるようになってきました。
ほとんど人間と同じように会話が出来て、仕事でも使えるレベルになってきています。
実際、ChatGPTに絵を描いてほしいと頼むと、ある程度のレベルの絵であれば作ってくれるようになってきています。
その影響で、中国などでデザイナーが仕事を失うことになってきています。
そんな中で疑問として上がってきているのが、AIが作成したものの著作権についてです。
通常のように人が作成した著作物であれば、その人に著作権が帰属しますが、AIが作成したものであると話が異なってきます。
今回の記事では、AIと著作権の関係と、普段の生活で気を付けるべきことについて解説をしていきます。
- 著作権法は、「著作者等の権利と利益を保護すること」を重要視している
- 現行法上、AIを生成する段階で著作物を使用するのは問題無いが、AIが生成したものに関しては通常の著作権が発生する
- 現行の新幹線の約2倍のスピードで走るリニア新幹線には、最新のブレーキシステムや高速ネットワークが搭載される見込み
目次
そもそも「著作権」とは何なのかについて解説をしていきます。
通常「著作権」といわれるものは、「著作権法」を指すものです。
著作権法とは、作品の作成者の権利を保護することで、新たな創作活動を促すことを目的にしています。
そのため、著作権法では「著作者等の権利と利益を保護すること」が重要視されています。
したがって、著作権法の規定も、このような考え方に基づいて作成されています。
今回の記事では、著作権法の中でも「AI」に関わる概念を解説していきます。
AIが関わってくる著作権法の概念は以下の2つです。
・著作者・著作権者
・著作者の権利
以下に詳しく解説していきます。
1つ目の概念が、著作者・著作権者という概念です。
著作権法では、著作物を創作する者のことを指しています。
著作者はなんの手続きを取らなくても、何かを作成すれば自動的に「著作権」を取得し、「著作権者」となります。
この概念は当然ですが、「人間が何かを作る」ということを前提とした法律です。
逆に考えると、現在の著作権法ではAIといった人間でないものが著作物を作るような世の中を想定していません。
現行法上は、AIも人間と同じく扱われます。
AIと著作権を考える上で重要な概念の一つになっています。
2つ目の概念が「著作者の権利」という概念です。
著作権は、複製や公表といったように、著作物の利用の形態ごとに権利を定めています。
例えば、本を印刷して複製することは「複製の権利」、中身をネット上に公表することは「公衆送信の権利」によって保護されています。
AIで作成されたもの(文章や絵)も複製して、ネット上に公開することもあるかと思います。
そのため、この著作者の権利が関わってきます。
具体的に、著作権法はどのようにAIと関わってくるのでしょうか。
文化庁によると、AIの作成したものをどのように使用するかによって考えが変わってくるとされています。
以下2つの点に絞って解説をしていきます。
・AI開発段階・学習段階
・AIがものを生成する段階、使用する段階
1つ目の段階が、AIを開発したり学習をさせたりする段階です。
AIは、学習させたデータを収集してそれを自分で学習することで、より精度を上げていく仕組みになっています。
そのため、ある段階で他の人の著作物を学習データとしてAIに取り込む必要が出てきます。
現時点の法律では、この用途での使用は問題無いと解釈されています。
その根拠となっているのが、「層」の考え方です。
著作権を使用する行為は、3段階の層に分けられています。
1層目が、「利益を害さない」行為です。
著作物となる本を自分自身の研究分析に使用したり等、権利者の利益を大きく害さないと考えられる行為です。
2層目が、軽微な損害を与える可能性のある行為です。
本の所在検索サービス等に無断で載せたり、本の内容とは直接関係の無い形で、軽微な権利侵害が出ると考えられている行為です。
3層目が、適切なステップを踏まないと通常の損害が出る可能性がある行為です。
著作物の本を引用して発売したりする行為がこれにあたります。
現時点では、AIの開発・研究段階で使用する行為は、直接的に権利者に損害を与える可能性は低いということで、「第1層」の行為と分類されています。
そのため、現状の著作権法上では問題はありませんが、今後法整備が進められる可能性も出てきています。
2つ目の段階が、AIの生成・利用段階です。
最近、ChatGPTの話をよく聞くようになりましたが、ChatGPTに何か文章を入力して、生成されたものがこれにあたります。
現行の法律では、たとえAIを利用して画像等を生成した場合でも、人がAIを利用せず絵を描いた場合などと同じように判断されます。
そのため、AIが生成したものの著作権を無視して使用することは、通常の著作権違反と同じように民事刑事の責任を問われることになります。
加えて、AIの創作物の場合は「類似性」も重要な観点です。
「類似性」とは、著作物が他の著作物と酷似しているという考え方です。
現行の法律では、自分の著作物と類似しているものが勝手に使われていると考えた他の著作者が、損害賠償請求等をすることが可能になっています。
そのため、AIの創作物に関しては他の作品と著しく類似しているものが無いか、注意が必要になってきます。
これらの著作権法のことを考えると、通常のAIユーザーとしては以下の2点に気を付ける必要があります。
・人が作った通常の著作物と同じように扱う
・他の類似作品が無いか気を付ける
以下に解説をします。
ChatGPT等のAIを使って何かを作る時に、「AIは機械だ」と考え、著作権を軽視することは避けていきましょう。
上記に解説してきたように、現行の著作権法では人間以外が著作物を作ることを想定していないため、AIの著作物でも同じように扱われます。
そのため、ChatGPT等を使って文章や作品を作る場合は、「AIが作った」と軽視せずに、通常の人が作った作品と同じような著作権意識を持って使用しましょう。
2点目が類似作品への注意です。
AIは、学習データとして他の通常の著作物を取り込んでいる関係上、他の著作物と類似するものを生成する可能性があります。
もしAIが生成したものが、何か他の著作物と類似していて、それを知らずに使ってしまった場合、元の著作者から損害賠償請求が来る場合もあります。
言い換えれば、無意識に「パクリ」を行ってしまうリスクがあります。
そのため、AIの著作物を使用する場合は、何か似ているものがないかチェックをしてから使うようにしましょう。
今回の記事では、AIと著作権の関係性について解説をしてきました。
AIは最近、一般ユーザーにも広く使われるようになり、法整備も追いついていない状態です。
そのため、現行の著作権法上では通常の人が作った著作物と同じように扱われます。
今後、AIとうまく付き合っていく中で、法律のことも十分に気をつけていってください。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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