ソフトバンクが上場させるArmについて徹底解説
IT革新によって、AIやIoTなどの様々なデバイスやテクノロジーが誕生しています。
普段私たちが使用しているスマートフォンやIoTデバイスの機能に注目することはあっても、その中身に注目することは少ないのではないでしょうか。
デバイスの中身に投資をすることで、大きく成長をしようとしている会社がソフトバンクです。
ソフトバンクは2023年5月、同社が100%保有するイギリスのArmと呼ばれる会社を米国ナスダック市場に上場の申請を行いました。
今回は、ソフトバンクが上場をさせようとしているArmと呼ばれる会社について、この会社の将来について徹底解説していきます。
- Armはイギリスに本社がある半導体企業であり、スマートフォンやIoTデバイスで使われているプロセッサーのシェアのほとんどを占めている
- ソフトバンクはArmを買収し、2023年5月に米国ナスダック市場へ上場の申請を行った
- モバイルWi-Fiはコストをかけずに気軽に利用できるメリットがある一方で、契約している通信プランの制限を超えると、通信速度が低下したり、ダウンロードに時間がかかるなどのデメリットがある。
- ソフトバンクがArmを買収した理由は、今後のIoT機器市場のプレゼンス向上等様々な理由が考えられる
- ソフトバンクがArmを買収したことにより、同社は今後通信業界での大きなプレゼンス向上や従来のスマートフォン市場で更なる大きな投資が出来るようになると予想される
目次
まず初めに、Armとは何かについて解説をしてきます。
Armは、イギリスに本社を置く半導体企業です。
2016年の9月にソフトバンクに買収され、2023年5月現在はソフトバンクが100%保有する会社となっています。
Armは、世界中のスマートフォンやタブレット端末、IoTデバイスなどに利用されるプロセッサーの技術を開発しています。
プロセッサとは、スマートフォンやタブレットといった機器の中枢を担うCPUのことです。
Armのプロセッサー技術には、他のメーカーのプロセッサーに比べて「エネルギー効率が高い」、「小型化が容易」といった特徴があります。
ソフトバンクがArmの事業に投資をした理由には、以下の2つがあるとされています。
Armが圧倒的な市場シェアを持っているため
IoTの周辺市場へも参入が出来るため
以下に詳しく解説していきます。
1つ目の理由は、Armが圧倒的な市場シェアを持っているからです。
スマートフォンやディスクドライブのプロセッサーの市場では、ほぼ全ての製品にArmの製品が使われているとされています。
グラフィックボード(映像や画像を司るパーツ)等は他の会社のシェアが多いケースがありますが、中枢となるプロセッサーの多くにArmの製品が使用されています。
今後、AI等の進化を支える機器の需要は増えていくことが予想されています。
これを考えると、機器を支える中枢となる市場で圧倒的なシェアを持っているArmを買収すれば、さらなる成長が出来ることが予想できます。
この成長のため、ソフトバンクはArmを買収したと考えられています。
2つ目の特徴が、IoTの周辺市場への参入も出来るという点です。
プロセッサーの市場のほとんどを占めているArmを買収することで、IoT機器の周辺市場にも先行投資をすることができます。
たとえば、今後VRを小型化したスマートグラス等が本格的に使用されてくることが予想されています。
それらにも当然プロセッサーが必要となります。
こういった、今後出てくる市場に新規で参入することができれば、莫大な利益をもたらす可能性があります。
実際、ソフトバンクグループはArmを買収後、研究開発に多くの投資を行っています。
技術力を強化することにより、今後のAIやコンピュータビジョン、拡張現実(VR)の範囲で参入する市場を広げていくことを考えています。
Arm事業を抱えたソフトバンクは、今後どのような会社になっていくことが見込まれているのでしょうか。
以下3つの点に絞って解説をしていきます。
・通信市場で大きなプレゼンス
・IoT機器市場での更なるプレゼンスが上がる
・事業内容の拡大
まず、現在メインの事業として行っている通信事業でさらに大きなプレゼンスを持つ可能性があります。
現在ソフトバンクのメイン事業は日本国内での通信事業です。
ですが、Arm事業を買収したことにより、日本以外の市場もターゲットとなります。
その理由としては、世界中に販売される機器のプロセッサー部分のシェアを獲得することができるためです。
たとえば、スマートグラスが今後普及していくと、ソフトバンク以外の通信会社は日本国内のその通信を支えるだけに留まる可能性が高いです。
ですが、もしArmがその中のプロセッサを作る場合、スマートグラスの普及と同時に、ソフトバンクは世界中で売り上げが上がるようになります。
2点目が、IoT機器市場での更なるプレゼンスの向上です。
IoT機器に幅広く使用されているプロセッサーの市場のほとんどを占めるArmを買収することで、IoT機器市場にさらなるプレゼンスを高めることができます。
現時点では、ソフトバンクは通信事業が大きな事業の柱になっています。
ですが、IoT機器の市場の多くで使用されるプロセッサーを製造しているArmの事業を持つことで、通信業界だけではなく、IoT周辺市場のプレゼンスも高めることが可能となります。
プロセッサー市場での更なるプレゼンスを高めることにより、従来の通信事業でも大きな投資を行うことが可能です。
プロセッサー市場で大きな利益を得ることができるようになると、従来行ってきたスマートフォン事業や通信事業でも大きな投資等が出来るようになります。
たとえば、他の企業ができない地域に基地局等を設置することで、他の通信企業よりも広い事業を行うことができるようになるかもしれません。
このように、プロセッサー事業で利益をあげることができれば、従来の通信事業やスマートフォン事業でも相乗効果を見込むことができます。
ArmはIoTデバイスやスマートフォンの中核となるプロセッサーを作成するイギリスの半導体会社です。
ソフトバンクはそのArmを買収し、米国ナスダック市場に上場をさせました。
このことで、ソフトバンクは通信業のみを行う会社ではなく、通信機器も支える会社となりました。
スマートフォンやIoTといったデバイスの話をする時は「どういった機能があるか」というところに注目が行ってしまいます。
そのため、裏でどんな部品があり、機器が動いているのかに注目することは少ないです。
今後IoTやテクノロジーのニュースを見る時は、テクノロジーを支える物理的な機器の巨額のビジネスについて考えてみてはいかがでしょうか。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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