CASE革命とは何か?自動車の今後を考えるための技術を徹底解説
自動車産業は、長らく私たちの生活に欠かせない一部であり、常に進化し続けてきました。
元々蒸気で動いていた車はガソリン車になり、ガソリン車が電気になるといった変化を経験してきました。
近年、CASE(Connected, Autonomous, Shared,Electric)という新たな技術が自動車産業に大きな変化をもたらそうとしています。
この記事では、CASEとは何か、それぞれの要素について徹底解説をしていきます。
今後の自動車産業がどのように変わるかについて理解して頂ければ幸いです。
- CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electronic)とは、自動車産業における重要なトレンドを表す4つの単語の頭文字を取ったもの
- Connectedは車をインターネットに接続する技術
- Autonomousは自動運転を実現する技術
- Sharedはカーシェア等の交通手段の共用を表す言葉
- Electronicは電気駆動の自動車を実現する技術
- CASEは自動車産業だけでなく、その周辺産業にも大きな影響を与えている
CASEとは、自動車産業における重要なトレンドを表す4つの単語の頭文字を取ったものです。
それぞれの単語を以下に詳しく説明します。
Connected(接続)は、自動車をインターネットに接続し、データを収集・共有できるようにする技術です。
従来の車では接続がされていてもラジオの電波やカーナビのGPS等だけでした。
ですが、近年の車はインターネットに接続することが多くなってきています。
これにより、車のユーザーやリアルタイムの情報を得ることが可能になります。
例えば、近年の車では気象情報、駐車場の空き状況といった情報をリアルタイムで表示することが可能です。
これらの技術はConnected(接続)によって成り立っているサービスです。
実際、Teslaといった車では、車に搭載された大きなディスプレイでリアルタイムの渋滞情報も記載されたナビゲーションを見ることができます。
その他にも、YouTubeやNetflixといったエンターテインメントを楽しむことも可能になっています。
この他にも、会社側にとってもメリットがあります。
車両の動作状況をリアルタイムで監視することができるため、修理のサービスや保険のサービス等に役立たせることができます。
実際、車の走行距離やブレーキのかけ方等をリアルタイムで情報を取得し、運転の仕方によって保険料が変動するテレマティクス保険と呼ばれる保険が存在します。
車をインターネットに接続し、こういった体験を実現する技術をConnectedと呼びます。
CASEのAはAutonomous(自動)を表しています。
自動運転技術は、自動車が人間の運転手無しに操作できるようにするものです。
センサー、カメラ、ライダーなどのデバイスを車に搭載することによって、自動車は周囲の状況を認識しながら自動で運転をすることが可能です。
自動運転技術の進歩には以下のようなメリットが存在します。
自動車事故の多くの原因は人為的なものです。
三井住友海上がまとめたレポートによると、交通事故の原因の1位が「安全義務違反(わき見運転等)」、2位が「信号無視」、3位が「右左折違反」となっています。
自動運転技術が発展すると、信号無視やわき見運転等も発生しなくなると考えられます。
したがって、人為的な事故がかなり減ると予測されています。
自動車同士の通信により、車両間の間隔を最適化し、交通渋滞を軽減することも可能です。
渋滞の大きな原因となっているとされているのは、「上り坂での気づかない減速」、「事故」等の人為的な要因も多くあります。
自動運転を導入すると、人為的な要因を少なくすることも可能になるため、こういった交通渋滞も軽減することが可能になってきます。
自動運転を活用することにより、従来運転に集中する必要があった時間を他の活動に充てることが可能になります。
こうすることで、たとえタクシー等で他の人に運転して貰わなくても通勤時間などが有効に活用できます。
完全自動運転を利用すれば、通勤時間中に仕事をしたり、疲れている場合は昼寝等まで可能になります。
このように、利便性が向上することが大きなメリットの1つです。
Shared(共有)は主に「シェアドモビリティ」のことを指しています。
自動車を共有する新しいビジネスモデルです。
最も有名なビジネスモデルが「カーシェアリングサービス」です。
複数のユーザーが同じ車を共有し、必要なときに利用できるサービスです。
日本国内ではTimesカーシェア、ドコモカーシェア等様々なサービスがあります。
車だけではなく自転車やバイクを共有するシェアリングサービスもあり、様々な交通手段が「所有」をしなくても利用できるようになっています。
こうすることで、車両を所有する際に発生する「保険料」や「車検料」、「税金」等全てカットすることができます。
その他にも、「ライドシェアリング」というサービスも人気です。
通常タクシー等を使うときは自分と自分のグループメンバーだけでタクシーを使います。
ですが、「ライドシェアリング」では複数の人とタクシーをシェアします。
例えば、主要駅から空港といった利用者が多い場所で活用されています。
タクシーをシェアすることにより、利用料を安く済ませることが可能です。
実際、ある日本のライドシェアサービスでは、通常であれば数万円かかる東京→成田空港間のタクシー移動も、6000円程度で済ませることができます。
こうしたシェアリングサービスを使用することにより、1人1人が所有するよりも車両の効率的な利用が可能となります。
電気自動車(EV)技術は、ガソリンエンジンに代わるクリーンエネルギーを使用する自動車を指します。
電池駆動のEVは、ガソリン車に比べて環境への負担が少なく、排出ガスの問題に対して有効な手段です。
こうした背景から、充電インフラの整備が進んでおり、EVの普及が進んでいます。
実際、EUでは2035年には全てのガソリン車を電気に置き換える計画を進めています。
電気自動車は環境への問題に対してだけではなく、個人としてもコスト面でのメリットがあります。
ガソリンを入れるよりも燃料費が約半分程度に抑えられるという試算もあります。
そのため、電気自動車は環境だけではなく、個人の経済的なメリットも存在しています。
CASE技術は、自動車産業に大きな影響を与えています。
具体的には、私たちの移動方法や車両の所有概念を変えつつあります。
自動車産業だけでなく、Sharedが広まることによって旅行産業に影響を与えたりするなど、その他の産業にも大きな影響を及ぼしています。
これによって生活や環境、ビジネスのあり方に大きな影響を与えることは間違いありません。
CASE技術の進化に注目しつつ、自動車産業の今後に期待してみましょう。
PHOTO:iStock
TEXT:PreBell編集部
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